[BlueSky: 4504] Re:4503 シカの慢性消耗病


[From] Sato [Date] Thu, 01 Aug 2002 10:02:52 -0400

こんにちは、葛貫さん。佐藤@ミシガンです。

僕も朝日の記事を見て驚きました。この関係の記事は米国の新聞や
ProMed等でチェックしているつもりなのですが、全然ひっかかって来ませんでした。
CDCのページで検索しても、ウイスコンシンのこの話は載っていませんでした。
うう〜ん。何処が朝日の元ネタなんだろう。いつものことですが、新聞記事って
なんか扇動的ですね。

ずっと前に、比較的若い人(確か40代だったとおもう)3人にnvCJDが
疑われたけど、CWDとの関連は否定されてた論文を見ましたが・・・。

> 感染個体の割合はどの位なのか?
ご存じのように、CWDの診断は生きている鹿を診断するのは難しいので、
ハンターが狩ってきた鹿や車に轢かれた鹿を調べているのですが、発見の数は少ないです。コロラドとか、ワイオミングとか鹿の多い州で良く調べられています。問題のウイスコンシンでも2-3年前に予算が付いて、能動的な調査が行われ3頭のCWDが発見されたと州のウエッブページで読みました。

> ここの所で急激にCWD感染個体が増加したのか?
> 異常プリオン脳症が注目を浴びて、丁寧に調査されるようになったため
> 感染個体が数多く洗い出されているということはないのか?
経時的な変化に言及出来るほど持続的な調査が出来ていないので断定は出来ませんが、ここ1-2年、政府の予算が重点的にCWDに配分されているので、調査が拡大し、発見される個体数が増加しているのは確かです。このメーリングリストにも以前話題になったように、USDAが緊急予算(?)をあてています。

> 野生のシカのCWDは、どのような経路を経て感染するのか解明されて
> いるのか(垂直感染なのか? 水平感染だとしたら媒体は?)
色々な仮説が出されているようですが、まだほとんど闇の中みたいです。

> シカが激減することによる生態系への影響は?
この疾病による鹿の母集団に対する影響はほとんど無視できるほどの発現率です。ミシガンではむしろ鹿>牛への結核の影響が大きくて、結核のコントロールのために鹿を間引きしています。

> 北米でシカ、オオシカの慢性消耗性疾患は1967年に発見されている。
> 今迄、北米人は、さほど気にしてきたようには思えないのですが・・・。
北米人の都会の人は気にはしていませんが、中西部の鹿狩りが一般的な地域では大問題です。田舎に行くと鹿肉はけっこう食べていますので。たしか、カナダからも鹿肉が入ってきていたような気がします。


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