[BlueSky: 4309] Re:4303  京都議定書を批准しても対策は幻


[From] "ICHINOSE,Takeshi" [Date] Fri, 31 May 2002 01:30:34 +0900

尼崎市の一ノ瀬です。

小宮さん#4303<
日本政府が深謀遠慮なしに政策を決めている、というのは、ちょっと
いいすぎなのではないでしょうか。京都議定書が日本にとって厳しい
ものであることは最初から分かっていましたし、・・・・・・・・・
川口前環境大臣や小泉首相が批准に慎重だったのも、そのことがよく
分かっていたからだと思います。

 私も全く同感です。
 何も考えていなかったのは、時の橋本首相と、15%削減とか25
%削減とかを声高に主張した日本の一部の環境NGOでした。
 当時、私は、そんな大幅な削減がどうして可能なのか、一部のNG
Oに説明を求めましたが、全く無視されました。
 私は、今でも、これらの軽率なNGOは厳しく批判されるべきだと
考えていますし、この失敗を積極的に取り返す活動をして行ってもら
いたいとも願っています。


 団藤氏のHPの内容については、同様の意見を以前このMLに流し
たことがありますが、とにかく京都議定書の実行は、殆ど目処が立ち
ません。京都議定書が明らかにしたことは、ヨーロッパ外交のしたた
かさと狡猾さのみで、将来に向けた本当の意味での温暖化ガスの排出
削減など、幻でした。

 正直なところ、川口前環境大臣や狐泉首相には、京都議定書を批准
しない、という蛮勇を期待したかったところです。議定書つぶしとい
う批判を受けることになっても、実行不可能な削減を約束するよりは
まだマシです。
 もし、それでEUが批判を強めたとしたら、日本は、米国と中国を
誘って、効率的なエネルギー(燃料)利用を可能にする技術交換協定
を結んで、それを温暖化ガス排出削減の実績として主張する、等の対
抗策を採ればよいのです。ロシアにタダで金を渡すよりは、遙かに意
味があります。

「1990年を基準に**%削減」等という基準では、発展途上国が
乗ってくるわけがないのですが、エネルギーの効率的な利用を可能に
する技術を安価に入手できる枠組みであれば、中国を引き込むことも
不可能ではありません。それによる温暖化ガス排出削減(中国の場合
は、排出量の増大抑制)は、非常に大きい。
 COP3が、このような合理的な方向に向かず、EUのエゴを実現
する場となってしまったことが残念でなりません。
 
 とはいえ、批准してしまった物はしようがない。
 どうしよう。

 長野モデルは実行したいところですが、自動車通勤の半減など、経
済社会への影響が強すぎて、特に現下のような不安定な経済情勢では
大規模には実行し難いと思います。
 小宮さん紹介の環境省の報告書も、かなり都合のいい仮定を置いて
いるようですから、あまり当てにはなりません。
 困りましたね。




▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。