[BlueSky: 4064] [4062] 選択肢。他。


[From] Abe Yasushi(阿部靖志) [Date] Fri, 12 Apr 2002 18:13:18 -0400

阿部@イジャペルです。

at [BlueSky: 4062] Re:4060 構造の変化。科学者の倫理。 葛貫さん。


> 偶々、昨日、ナナオサカキさんの「地球B」という詩集を
> 読んだのですが、「雪の海 漕いで行く」という詩の中に
>
>  ・・・前略・・・
>
>  昔 地球は 双生児
>  地球Aは 太陽系に 宿を借り
>  地球Bは 天の河の向こうへ 飛んでった
>
>  地球Aは 今や ロボット数十億の大スラム
>  地球Aは 青と緑 色あせて
>  虹の前に うなだれる
>
>  風の便り
>  地球Bは
>  森と水 豊か
>  花 鳥 けもの あでやかに
>  人は 虹の綾ぎぬ 身にまとい
>  踊りと歌で かたるとさ
>
>  ・・・後略・・・
>
> という一節があったのを思い出しました。
>
> 何処の分岐点で、どんな選択をしたから、あるいは、しなかったから
> 今のようになったのだろうと思うと同時に、今、これからのために、
> 現実味のある選択肢をどれだけ思い付けるだろう、とも思いました。

 人類が目指して来た社会は、誤解を恐れずに言えば今も昔も『遊
んで暮らす』ことが可能な世界なのだと思います(自己家畜化とい
う単語もありましたっけ)。一人当たりの生産は増加し、生存に必
須では無い労働の比率が上昇し続けているのは、数字を挙げて説明
する必要もないくらい明確な事実です。


 もっともこれは、技術の進歩によって生産効率が向上したので、
生存に必要な労働だけでは失業者が発生してしまうのに、働かない
と生存に必要な程度のお金さえ手に入らないという社会構造なので、
余剰労働力が生存に必須ではない労働に回ったのでしょう。

社会が必要とする労働<労働を希望する人の数
既存労働力−社会が必要とする労働→生存に必須ではない労働


 世界中の人を健康に養うに充分な生産量が世界には有るのに、貧
乏な人が多いまま…。こんな議論が10年以上も繰り返されています
が、産業構造の複雑化(≒生産量の増大)は止まりません(どれだ
け生産量を増やせば誰もが豊かになれるのか?)。多分、貨幣経済
という富の分配の仕組みが変らない限り、皆が「もうええやない
か」と思っても、この流れは止める事ができないのだと思います。

 それでも豊かになることで、我々の地球は少しずつでも地球Bに
近づきつつあるのだと思いたいですね(とんでもない回り道をして
いるのかもしれませんが)。もっとも、その前に不帰点を越えてし
まえば、地球Aにだってなり得るのですが。


> 余談ですが、パウエルさんが諸国歴訪なんてしていないでさっさと
> 当事国に入ったら、そうさせる土壌が米国にあったら、と思います。
> 今回のことは、アラスカ州の自然保護地域での石油・天然ガス開発に
> 有利(?)に働くことになるのかもしれませんね。

 石油産業・軍事産業が現在の米国政権の支持母体ですから、政権
担当者達にとっては効果的な行動なのでしょう(本気で戦争を止め
る気なんて、きっと無いと思う)。産油国であるベネズェラやイラ
クが石油輸出を止めている現在の状況が長引けば、油田開発への圧
力は高まるでしょうし。

 アフガニスタンのテロリスト達がイスラエルに火をつけた、とい
うのは穿ち過ぎた見方ですかねぇ。どっちみち、テロリストが殲滅
されるまで戦いが続くそうですから、中東での戦闘は長引く事だと
思います。


> 外からの反発を食らうと、より先鋭化して行く様子を見ていると、
> 止めることができるのは、内部からの不支持、再編しかないように
> 思えるのですが・・・。

 内部からは支持されているみたいですねぇ。きっと米国民は自己
家畜化が進み過ぎたので、ああなっちゃった(複雑な世界を受け入
れるのではなく、複雑さを生み出す他の存在を排除したがるように
なる)のかもしれません。他山の石にしたいものです。


> 当たり前のことですが、科学者も血肉を持ったひとりの人ですものね。

 肯定。だから科学の現場では無い部分で、既存の宗教を信じると
いうことも、アリなんだろうと思います(私には無理ですが)。


> ただ、その人が持つ「匂」のようなものを科学論文に込めるのは難しい。

 テーマの選択、手法の選択では、ある程度までは可能なのですが、
そこから先は自動的に導かれるモノでなければならない(違う結論
を導ける結果では突き詰めが不充分、ということ)ので、難しいで
すね。


> 研究の背景にある「想い」のようなものまで、読み手が承知していると、
> 話に奥行きが出てくるのかもしれませんが・・・。

 まぁ、科学者は科学論文の類しか書いてはいけない、と言う縛り
がある訳ではないので、その他の場で補完してもらう事にしましょ
う(^^)。


> 語調・表情等の情報も削がれてしまう文字だけの遣り取りだと、
> 誤解を招き、溝ができることが、増えてしまうのでしょうね。

 フォローありがとうございます。語調・表情等の非言語コミニュ
ケーションではない言語コミニュケーションについて述べたのです
が、解り難かったですよね。

 メールは簡単に送れるのですが、言語コミニュケーション能力が
洗練されていないと、誤解を招いたり、誤解したり、ということが
ホントに多くなりますよね。まぁ、こればっかりは経験で洗練させ
るしか無いのですが。

 本を読まなくなった事による言語コミニュケーション能力の発達
不全が問題にされる事もありますが、ネットワーク文化の広まりと
共に払拭される問題なのかもしれません。


> インタビュアーは、森山和道さんと仰しゃる方で、もとは
> 「NetScience Interview Mail」というメールマガジンで配送して
> 下さったものです。

 そのMMは、私も半年位前から読んでいます。今回の議論で参照し、
こんなインタビューもしていたのか、と驚いていた処です(^^)。


> 専門用語を使って仲間うちだけで楽しむ(?)のではなく、
> そのsense of wonderを普通の人にもわけてほしいなと思います(^^)。

 はい。心しておきます。

 あ、でも最近はサイエンス・エンターテイメントというジャンル
が出て来ていますから、需要が増えれば供給も増えるんじゃないか
と思います(「NetScience Interview Mail 」なんかも、供給の内
かな)。


それではまた。 阿部 靖志


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