[BlueSky: 4027] ヨハネス・サミット・カウントダウン報告


[From] mataro [Date] Wed, 27 Mar 2002 22:34:44 +0900


 どうも。遠藤@埼玉です。
 先日「ヨハネス・サミット・カウントダウン」に行ってきましたので、その
報告をさせていただきます。クロスポストご容赦願います。

「ヨハネス・サミット・カウントダウン」
〜世界サミットに向けて行動をはじめよう〜
日時:2002年3月17日(日) 13:00〜17:00
場所:御茶ノ水スクエア・C館2階ホール
主催:A SEED JAPAN
   リオマイナステン キャンペーン実行委員会
協力:ヨハネスブルク サミット・提言フォーラム
司会:星野 智子(A SEED JAPAN)
 
 オープニングスピーチ
 本山 央子(もとやま ひさこ アジア女性資料センター)
 今回はジェンダーのに絞って話をしたいと思っている。
 リオサミットではジェンダーについては不十分なところがあったと思う。持
続可能でない開発が根本的な原因だが、地球環境の問題と社会的公平について
あまり議論されなかった。今回は地球環境や社会的公正の問題にリンクすると
同時に、ジェンダーの視点を含める必要がある。
 女性は環境を守る上で重要な役割がある。環境と開発について意志決定をす
る中で平等に参加することが大事だ。これは今度のサミットで確認される必要
がある。しかし権力と資源を半分よこせといっるわけでなく、開発の中での環
境という問題と、開発の中での女性ということの問題をリンクするのが重要だ。
 例を挙げれば、食べ物や着物に使う植物・森林資源が女性の手に届かない。
多様性という意味でたくさんの種類の野菜や資源が失われるが、同時に女性の
地位や役割が見えなくなってくる。そうなると女性は夫に頼って生きるしかな
い。西欧社会でも長い間女性は合理的ではないということが当たり前に言われ
てきた。つまり男は合理的、女性と自然は価値が低いという概念化が行われた。
その観念と制度ががっちり組み合って今の制度ができた。これまで議論はある
がうまく伝わらず、日本では女性に関するトンチンカンなことが言われている。
 グローバリゼーションは環境面や社会格差を広げた。国家間、男女間の格差
も広がり、貧困層の7割は女性で、暴力と深く関わっている。
 9・11は不平等の問題が大きく関わり、貧しい人間ほど日常的に軍隊や警
察、有力者からハラスメントを受けている。女性の暴力に関しては認識すらさ
れなかった。
 地球環境をどうするのか、どうやって平等な社会を作っていくのか、人権を
守っていくのか、暴力をなくしていくのかをリンクしないと、切り離して考え
るのはとても危険だ。なかには。第三世界の女性は子供をたくさん産むから出
産制限を主張する人間もいるが、その人間は背後の問題や暴力の問題について
見ていないし、戦争のために子供をどんどん産みなさいという政府と変わらな
い社会的平等、平和と人権をリンクさせ、これらの問題を捉えなおしていくこ
とが重要だ。男女関係を見るということは、社会不平等の問題を把握すること
に役に立つと思うので関心を持っていただきたい。
 日本は経済が悪化して、これまでのシステムが行き詰まっているという認識
を持っているが、経済の問題と同時に少子高齢化の問題も浮上した。日本は大
量生産・大量消費・大量廃棄という持続可能なシステムを作ってきたわけだが、
経済成長のために莫大なシステムを作ってきた。だが福祉には金を回さず、企
業戦士をどんどん作成して来た。24時間会社のために働くから、自分でご飯
を作ったり、親の世話をしたり、洗濯したり、子供の面倒を見たり、地域のた
めに環境ボランティアとかできず、それを支えるために高い給料をもらって専
業主婦を養う。専業主婦はそれらが仕事である。また税金や年金制度も国と大
企業と大労組の中に作ったシステムに組みいられている。このシステムを維持
するのにコストがかかる。女性はいくら働いても賃金は半分だけだ。経済力が
ないからいくら夫に殴られても出られない人間がたくさんいる。
 そうした意味でジェンダーの視点を持ってもらいたいと思っている。
  
 神田 浩史 (ODA改革ネットワーク 水フォーラム市民ネットワーク) 
関西でも動き出さなければいけないなあと思っていたら、今日ここまで来てお
話をしろといわれた。 ODAのの問題は80年代後半からから語られだした。そ
のことをリオサミットの提言ペーパーに書けといわれ、訳のわからんままに書
いた。いろんな形で環境に関する国際会議などが開かれたが、10年前から見る
と後退しているのでは? 関西では新しい問題が出すぎて、しかも事の根幹に
関わるような問題が顕在化してきた。グローバリゼーションという怪物が世界
中に現れてきて、それが社会に大きな影響を及ぼしてきて、10年前に語られな
かった問題が大きな姿として現れている。個別の環境問題に対しては前進して
いるが、グローバリゼーションという大量生産、大量消費という市場の原理に
任せる世の中がうまくいくという楽観的なアイディアがこの10年間相当大き
な弊害を出しているし、地球の将来に関して見取り図がかけない大きな要因に
なっている。自分自身のテーマはODAの問題のほかに経済グローバル化に重き
を置いてきた。’95年にWTOが発足し、それと同時に債務帳消しキャンペーン
が始まり、債務の問題がクローズアップされ、IMF、WTO等の巨大な力を持った
国際機関がクローズアップされ、国連主導の会議が開かれながら、それらをな
いがしろにするという動きも進行している。ヨハネスブルグで国連が主導して
地球環境のことを考え直そうという会議がもうけられるのは重要だが、果たし
てこれらの成果が現実世界にどのように適用されるかという危惧も強くある。
国際会議はNGOが注目されるし、提言するに値する場ではあるが、そこだけに
腐心するだけでなく、社会にどうやって具体化するかという動きがなければ空
文化してしまう。環境にとって良かれということを阻害する動きに対して、ど
うやって違う流れを作り出すのかということを構想するのも大事だと思う。い
うだけでなしに自分は行動していこうと思っている。 関西の場合は独立独歩
の気風が強いが、NGOの連携は格段にいい。今回はいつになくNGOが連携を取り
合っている。それはNGOの数が限られていることもあるかもしれない。特に環
境系のNGOと連携ががいいと思っているので、関西から東京に「こんな事やっ
ていったらいいのではないか」という気概を持ってていきたい。3月に環境省
から人を招いてシンポジウムをやったが、4月はアースデイを中心にイベント
を企画している。この10年か何があったかということを振り返って、これから
どういうことを提言したらいいかを模索する集まりを考えている。連携するチ
ャンスがいっぱいあるので、できる範囲でやっていきたい。地域・分野・世代
を超えてやるつもり。   
 
 木附 文化(きつき ふみお ヨハネスブルグ・サミット提言フォーラム)
 リオサミットから10年たち、いろんな問題がおきてきた。貧困、グローバリ
ゼーションは環境をよくするどころか、悪いほうに持っていった。だが去年の
9・11のおかげで世界中の人々が貧困問題に関心をいくらか持つようになっ
たようだし、世界中の指導者も考え直しているみたいだ。 環境問題は方式に
従っていけばいいという問題ではなく、一人一人の自覚が重要だ。コンピュー
ターができて紙がたくさん使われ、車もエンジンの効率が良くなってガソリン
の消費量が少なくなった。しかしその分エンジンが大きくなりスピードも速く
なって、より快適な車がでるようになった。数もどんどん増えた。持続可能な
開発を考えるなら、それぞれが痛みを感じ、自制心がないといけない。一人一
人の心がけだ。 いろいろな問題があるが、水、食料を巡って紛争。テロが起
こるかもしれない。日本は水はあるといっても、食糧を輸入しているが、食料
を作るのには水をたくさん消費しているのと同じだから、貧困国の人々はきれ
いな飲める水が得られなくなるのではないか?これから世界中の問題にどう対
応し、どう国際貢献していくか、当事者意識を持たないといけない。それは専
門家だけではいけない。 貧困国から国連に来る人間は、ものすごく優秀な人
間が多い。個々人は優秀な人間が多いが、帰国しても能力の使う場所がないと
いう問題がある。途上国には根本的な問題があるのだろう。 じゃあ日本はど
うだろう?技術・教育レベルは高いが、国際社会貢献から見るとまだまだ評価
されないとよくいわれる。国連内での発言力もない。それは国際貢献や地球社
会に対する当事者意識をもって考え、行動する人間がもっともと出てこないと
いけない。 今日の会合は意義があるものだ。持続可能な開発は、専門分野だ
けでは意味がなく、すべての問題が複雑に絡み合っているので、異分野で意見
・情報交換をし、同時に専門分野の勉強をしなくてはならない。いろんな問題
を総合的に考える必要がある。学際的に考え、行動するという大きな流れを生
み出すのはとても重要だ。たくさんの人たちと連携を取れるようにしなくては
いけないと思う。情報を提供し、意見を聞きながらこの運動を盛り上げて生き
たいと思っている。  

  田中 優(未来バンク) 根本的な疑問がある。これは目標があってやる
ものだが、これが見落とされると意味がない。リオの会場と我々の会場はバス
で40分もあったので、何の影響を及ぼせなかった。これが現実だ。ヨハネスに
提言書を持っていっても野積みになるだけ。それがなんかの役に立つのだと思
うのならそれは幻想だ。何をやるのかを自分できっちり考えてもらいたい。何
が問題なのかをしっかり見てほしい。地球温暖化の問題で政府がいったのは
「皆さん、テレビを見るのを1時間短くしてください」。地球温暖化問題はこ
の程度の問題だったのか?問題はいつもすり返られ、「みんなのせいだ」とい
うところに持っていかれる。その結果「1億総懺悔」というパターンが繰り返
された。現実にCo2の3/4は産業だ。ごみの3/4も産業だ。産業に対して文句が
言われず、ライフスタイルの問題といわれた。個人でがんばってもゴミは1/24
しか減らない。これでゴミ問題を語られてはかなわない。原因がどこにあるか
を突き詰めない運動は役に立たない。原因をちゃんととらえなければならない
。その原因を見て、対策する。それを効果的にやっていくのかをイメージしな
ければならない。今回のサミットでも、今年の正月にマスコミに情報が載せら
れなかったから半分失敗している。タイミングを失している。後はサミット寸
前、最中と直後しか行かせる山場がないから、それをどう生かすかを戦略的に
考えないといけない。 運動は縦、横、オルタ。その3つしかない。政治、国
際関係に縦系列に切り込んでいくやり方。これがうまくいくこともある。我々
はマニアの運動をやっているわけではない。初めて知る人に参加してもらえな
いと、マニアの運動になってしまう。絶えず新しい血を取り入れていかなくて
はいけない。オルタナティブの社会を自分たちで作っていくということが必要
。リオサミットが終わった時には徒労感があった。会議が終わった後何かが起
こるのだろうなと思っていたが、結局は不発だった。 なぜ不発だったのか?
実は国際社会はそんなことにはあまり興味がないが、市民がワーワー言うから
形だけ整えた。市民参加というのも、刺身のツマとして加えてみました。だか
ら市民参加といっても、実際は市民は会場に入れなかった。そばに行くと警備
員に追い立てられる。それが現実だった。そういうところを考え、感じていい
くなかから次の社会を自分たちで作っていくという運動が必要だと思うように
なった。 その後NPOが続々と立ち上がった。NPOにはカネが必要だ。だがカネ
というのは郵貯や銀行に預けられているカネというのはそれこそむちゃくちゃ
な使われ方をしている。途上国の人たちをを殺すような使われ方をしている。
そのカネの加害性を問題にして、そのカネを自分たちできちんと使えるように
しようよという事で作ったのが未来バンクだ。 世界の問題についてまとめた
い。経済のグローバリズムとは何か?早い話、一部の人間にカネが集中してし
まったからだ。ごくごく一部の人間が世界のすべてを動かせるようになってし
まった。そんな事態を生んだのはどうしてなのか?原因がわからないと対策は
打てない。我々がやらされているのはイメージ的にいいことをやらされるだけ
で、自己満足でしかない。原因がわかっていると対策はつかめる。原因がわか
らないとこれをやる、あれをやるといっても当たらない。原因を考えていった
時に、お金の問題は重要だ。 お金がなぜ集中するのか?簡単に言えば金利だ
と思う。金利がプラスでカネに貸す側に集中していくという理屈にすぎない。
’80年代の社会でも、ものを作るより金を貸した方が儲かる社会になってい
た。今そのお金が世界を壊しかけている。金の仕組み事態を変えていく運動が
必要。 化石エネルギー中心にした社会も問題だ。化石エネルギー中心ででき
ているから中央集権型だ。これを地域分散型に直さないと今後も戦争はとまら
ない。今回の戦争だって石油がらみだ。カイザル議長だって石油会社の社員。
この戦争は石油利権の戦争だ。石油依存社会だからこういう事が起こるのだ。
これをどうやって変えるか?戦っても負けるだけだから、無効化させるしかな
い。石油を使いようがないようにしなくてはいけない。サウジアラビアの石油
大臣は、「石油の価格を上げてはならない」といっている。石油の値段が高く
なると代替エネルギーが安くなるから皆そちらに移ってしまう。石油の値段は
維持しなければならないと毎度毎度いっている。だったらそれをやってしまえ
。日本ではまだ非常識に感じられるかもしれないが、自然エネルギーにかえる
ことをヨーロッパではやっている。だから石油を掘ってもムダだ、金をいくら
使ってもムダだ、そういう社会を作ることが大事だ。そのきっかけ作りに今度
のサミットを利用してもらえばいいと思う。 従来の既成の権威に盲従するこ
となく、それらを持ち上げることなく、自分の頭で問題解決に導いてほしい。
そういう人たちが出てきてほしい。
 
 講演の様子は以上です。
 このイベントにでていた環境NGO団体の呼びかけおよびA SEED JAPAN
有志の「ジャパン・ユース・ビジョン」に関してはまたの機会に送信させてい
だだきたいと思います。。「ジャパン・ユース・ビジョン」に関してはA 
SEED JAPANのHPで見られるでしょう(たぶん)。

 それでは、また。
  
 


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      遠藤嘉則 Yoshinori Endo
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   mataro@ss.iij4u.or.jp
     owner-ngpwn@freeml.com
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