[BlueSky: 4020] Re:4015/4018 ゲノム解析


[From] Akifumi Murase [Date] Tue, 19 Mar 2002 11:47:57 +0900

邑瀬です。

葛貫さん:
> DNAの塩基配列は、蛋白質の一次構造を表わしているものす。
> 一次構造が決まれば、その性質や機能を左右する高次構造が自動的に
> 決まる情報を持つものが生物として残ってきているのだと思います。
> そういう意味で、遺伝子の塩基配列から得られる情報はとても貴重な
> ものだと思います。

貴重ですが、やはり解釈が難しいですね。

生体では、異なる酵素で同じ遺伝子(をもとに設計されたタンパク質の
サブユニット)が使われたり、遺伝子がほかの遺伝子(の転写)を制御し
たり、最近では、遺伝子は一つなのに、別の臓器で使われるときには、
転写物が組み換えられて別の酵素になったりする例が見つかっています。

「遺伝子→タンパク質」の因果関係が複雑で、しかも、ある遺伝子の変
異が決定的なものなのかは、そのタンパク質の構造や機能を調べないと
分からない(重要な変異とどうでもよい変異がある)、さらにその機能
の変化自体もまた重要なものなのかどうかも見る必要があること等々を
考えると、単純に計算機上だけの話ではなくなります。すべてのDNAの
塩基(の変異)が同等に重要という前提ではないということです。

# 私の想像では、重要な塩基配列にはそれだけその変異を修復する仕組
# みがあるのではないかと思います。とすると、すべての塩基の変異し
# やすさは同じとする分子進化(の計算)の前提も成り立たなくなるわけ
# で...

逆に、遺伝子配列は全然違うのにタンパク質の構造は似ていることも多
いですね。

ところで、タンパク質の高次構造はすべて自動的に決まるのでしょうか?
つまり、エネルギー的に一番安定な形になっているのかということです。
分子シャペロンなどが(タンパク質の折りたたみの場を提供するだけで
なく)積極的に関与して、二番目や三番目に安定な形に落ち着かせたり
していないのでしょうか?(←単なる疑問です。)となると、これまた
計算機上だけでは対応できなくなります。

田邊さん:
> 私の場合、社会科学、特に公共経済学や公共投資論が専門で、
> 主に(悪名高き?)道路整備に関しての研究をしています。
> 遺伝的アルゴリズム(GA)によって整備順位などを決定する方法
> などです。という中で、60!の最適組合せは、I.C.間の整備順位で
> バイオインフォマティクスではなく、その単なるツールとして使いました。
> 私の場合、たった1台に長い間向かっています。

失礼いたしました。(^^;
そのような分野にも遺伝的アルゴリズムが利用されているのですね。


▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。