[BlueSky: 3945] 無洗米について、まだ色々調べています。


[From] "RIO" [Date] Mon, 18 Feb 2002 18:59:08 +0900

日本の窒素・リンの収支 と 生活からの排出の様子

『水と水質環境の基礎知識』武田育郎 オーム社出版局 平成13年 より

引用開始
P.66
日本の窒素収支     1970    1990 (単位 10000トン)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
インプット   食品輸入  61.3   104.7
        漁業     28.2    26.6
        施肥 68.8    61.2

アウトプット 食生活    33.8    51.7
        食品産業  17.1    23.9
        畜産 3.9     6.2
        農地 25.7    27.4

P.70
日本のリン収支       1970    1990 (単位 10000ト
ン)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
インプット   食品輸入   9.2    27.0
        漁業 2.4     2.4
        肥料 28.5    30.1

アウトプット 食生活 3.8     5.6
        食品産業 1.2     3.5
        畜産 1.1     1.6
        農地 0.8     1.0

P.95
生活排水の原単位
   (社)日本下水道協会:流域別下水道整備総合計画調査指針と解説、1999

グラム/人・日  生活雑排水     トイレ       計 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
BOD       40        18       58
COD       17        10       27
全窒素       2         9       11
全リン        0.4       0.9      1.3

引用終了
窒素・リンとも、増加傾向にあります。
その原因は インプットでは 主に 食糧の輸入で、
アウトプットでは 主に 食生活と食品産業で、
まさに 表裏一体です。

以上から、あらためて 
栄養(=土壌)を海外から輸入し、
食事の質を西洋化しながら、
一方で その栄養を 土壌に還元したり、 輸入先に 戻すことなく
河川・海洋に放出していることがわかります。

また、排出源としてのトイレの大きさがわかると思います。
上述しましたが、窒素で80%、リンで70%です。

さらに 生活雑排水は、台所+洗濯+風呂ですが、
無リンの洗濯洗剤が当たり前になってきている一方で
シャンプー・リンスには 今でも リンが含まれています。
役所管轄が違うからです。
そういう生活雑排水の中での、台所排水と その中での米のとぎ汁です。
前にも書きましたが、昔に比べれば はるかに
とぎ汁の栄養価は 低くなっています。

最近の海洋汚染の犯人は誰なのでしょうか?
私は、私達自身とその意識にほかならないと思います。

あらためて、水環境や下水処理に関する書物を読むと、ふさぎこんでしまいます。
とぎ汁なんて ちっぽけな問題です。
マクロ的視点、複雑系視点 が なにより求められる、そう切に感じます。

貿易収支や食糧の輸出入に伴う 消費者としての便利さ(安い農産物が買えるなど)

外国とのあつれき(中国農産物へのセーフガード等)を考える前に、
「栄養=土壌だということ」
「その土壌がどのように出来るのか」
「それに お米がどのように関わってきたのか」
をたくさんの人に理解していただきたいとも思います。

小澤 量


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