日本の窒素・リンの収支 と 生活からの排出の様子
『水と水質環境の基礎知識』武田育郎 オーム社出版局 平成13年 より
引用開始
P.66
日本の窒素収支 1970 1990 (単位 10000トン)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
インプット 食品輸入 61.3 104.7
漁業 28.2 26.6
施肥 68.8 61.2
アウトプット 食生活 33.8 51.7
食品産業 17.1 23.9
畜産 3.9 6.2
農地 25.7 27.4
P.70
日本のリン収支 1970 1990 (単位 10000ト
ン)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
インプット 食品輸入 9.2 27.0
漁業 2.4 2.4
肥料 28.5 30.1
アウトプット 食生活 3.8 5.6
食品産業 1.2 3.5
畜産 1.1 1.6
農地 0.8 1.0
P.95
生活排水の原単位
(社)日本下水道協会:流域別下水道整備総合計画調査指針と解説、1999
グラム/人・日 生活雑排水 トイレ 計
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BOD 40 18 58
COD 17 10 27
全窒素 2 9 11
全リン 0.4 0.9 1.3
引用終了
窒素・リンとも、増加傾向にあります。
その原因は インプットでは 主に 食糧の輸入で、
アウトプットでは 主に 食生活と食品産業で、
まさに 表裏一体です。
以上から、あらためて
栄養(=土壌)を海外から輸入し、
食事の質を西洋化しながら、
一方で その栄養を 土壌に還元したり、 輸入先に 戻すことなく
河川・海洋に放出していることがわかります。
また、排出源としてのトイレの大きさがわかると思います。
上述しましたが、窒素で80%、リンで70%です。
さらに 生活雑排水は、台所+洗濯+風呂ですが、
無リンの洗濯洗剤が当たり前になってきている一方で
シャンプー・リンスには 今でも リンが含まれています。
役所管轄が違うからです。
そういう生活雑排水の中での、台所排水と その中での米のとぎ汁です。
前にも書きましたが、昔に比べれば はるかに
とぎ汁の栄養価は 低くなっています。
最近の海洋汚染の犯人は誰なのでしょうか?
私は、私達自身とその意識にほかならないと思います。
あらためて、水環境や下水処理に関する書物を読むと、ふさぎこんでしまいます。
とぎ汁なんて ちっぽけな問題です。
マクロ的視点、複雑系視点 が なにより求められる、そう切に感じます。
貿易収支や食糧の輸出入に伴う 消費者としての便利さ(安い農産物が買えるなど)
や
外国とのあつれき(中国農産物へのセーフガード等)を考える前に、
「栄養=土壌だということ」
「その土壌がどのように出来るのか」
「それに お米がどのように関わってきたのか」
をたくさんの人に理解していただきたいとも思います。
小澤 量
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