こんにちは、小宮です。
温暖化対策のため日本のシステムに合った環境税を導入すべきと
いうのには全く賛成です。以下、本旨とはずれるかもしれませんが、
少し感想を書きます。
> 環境保護政策を推進するための最も重要な要素は、国民一人一人の自覚である
> と思いますが、その自覚を促し維持するためには、国民の生活がある程度安定し
> ていることが必要条件です。仮に今のまま、不況が深化して、失業率が10%に
> 届くような事態になれば、環境問題の解決など、まともに主張することは出来な
> くなることでしょう。しかも、失業率10%で温暖化ガス排出も10%減ってく
> れるのならばまだ救いがありますが、多分、コンマ何%かの小幅でしょう。痛み
> のみがあって、排出削減には貢献しないのが、不況というものです。
>
> 故に、「国際競争力の低下」は、お話にならない理由などではなく、大変に重
> 要な論点だと思います。
国際競争力の維持というのは重要な要点ですが、これから温暖化対策を
考えるにあたって、もう今までのように経済成長率を維持する、というのは、
とうてい無理な話だと思います。ではどうするか、経済成長しなくても、雇用
が維持できて、ホームレスを減らせればいいのです。それにはワークシェアリング
の導入が有効だと思われます。
今、日本でもいくつかの企業で検討されています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020110-00000007-mai-l03
ただワークシェアリングの問題点は、技術競争の激しい分野の企業
ではあまり有効でない(導入すれば、競争力が低下する可能性が
高い)、少ない人数を雇ってサービス残業をやらせた方が有利、
といった点だと思います。そこで、日本全国一律に導入して、サービス
残業の規制を徹底的に行えばいいと思います。確かにそのことに
より、国際競争力は低下するかもしれませんが、アメリカ型の大量
消費を基本とした資本主義システムはもうこれからは長くは持たない
でしょう。インターネットのようなドラスティックな技術革新がない
以上、需要低下による不況を克服するには、今アメリカがやっている
ように戦争をするしかありません。日本の経済は今低迷していますが、
これをいい機会として経済成長を基本としたシステムから脱却して、
雇用維持を基本とした安定な経済を目指すシステム作りをした方が
いいと思います。たしか北欧のどこかの国が、国全体でワークシェアリング
を導入していたはずです。
> 現実にも、多くの企業が日本を脱出して中国等に移転していますが、それら企
> 業の中には、本来日本を捨てなくてもいいのに、エネルギーや輸送などのコスト
> 高に耐えかねて、拠点を移している企業が少なからずあります。
>
> 炭素税は、企業の排出削減努力を合理的に推進する効果がある、ということ
> で、その効果に期待が寄せられていますが、現下の情勢を見ると、導入には、よ
> ほど工夫が必要です。
> ”税をかければ、後は企業がどうするか考えるだろう”との、他人任せの無責任な
> 意見もあるようですが、企業がどうするかは目に見えています。効率改善のため
> の国内投資が、経営面でも合理的であったのは20年以前の話。今や、効率改善
> のための技術的余地は非常に小さく、一方で、途上国への移転は非常に魅力的です。
これも大きな問題だと思います。この間知り合いが上海に旅行
したのですが、上海は今高層ビルが立ち並び、スモッグが立ちこめる
大都会になっているようです。実際、日本経済が低迷な今、どこの
分野の企業も中国進出を考えています。半導体業界でも、数年の
うちにどこかの日本企業が工場を建てるようです。これだけ国家間を
企業が自由に移動できるグローバルな社会では、国ごとのCO2規制
というのは(企業の排出量に関しては)あまり意味がないのかも
しれません。(もちろん、だからといって京都議定書を守ることに
意味がないとは思いませんが)
> ではどうすべきか?少なくとも次のような方針は検討の価値があると思います。
> 屋上屋を架すがごとく、既存の税の上に炭素税を載せるのではなく、既存のエ
> ネルギー関連の税(5.0兆円)に高速道路料金(2.4兆円)等のエネルギー関連の
> 公共料金を含めて内容を見直します。そして、排出削減を進めることが、今より
> も経済的に合理的になるように組み直すのです。また、それらの方法でかき集め
> られた金の使い道についても、排出促進を念頭に見直します。
この後以降はまったくその通りだと思いますが、やはり導入にはいろいろなところ
からの反発が大きいでしょうね。ただでさえ不況なのですから、新税の導入は
企業にも一般市民にも簡単には受け入れられないでしょう。一ノ瀬さんのいわれる
とおり、なにか大幅な減税とセットにする必要があると思います。
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