こんばんは。遠藤@埼玉です。
IAVEセミナーの模様をお送りいたします。
「核のない地球を作ろう」
日時:2001年12月2日 13:00〜16:30
場所:NYC国際交流棟 第1ミーティングルーム
パネラー:広川 隆一
司会:櫛渕 万里(ピースボートスタッフ)
私のライフワークはパレスティナ問題と核問題だ。アフガンからは5日前に
帰国したばかりだ。チェルノブイリは環境問題の一つで、このままでは22世紀
はないと思っている。
一連のパレスティナ問題は自分の問題として考えないといけない。アメリカ
でおこった一連のテロ事件は南北問題の最たるものだ。日本人は南北問題につ
いてよく理解できないのは、それだけ南の諸国から恩恵を受けているからだ。
ここに来ている人たちは人道援助問題を勉強したいと思っている人間が多い。
人道援助は助けたい人と、その国の政府の意志がぶつかる。また人道援助は使
い方によっては、正義の手段にも、不正義を助ける手段にもなる。人を助ける
ために、何でこれだけの難問が降りかかるのかを考えて欲しい。
「ヒロシマ」という言葉はいろんなところで使われている。被爆者からいわ
せれば、原発と原爆は同じだ。核爆弾を作る課程できるのがプルトニウムだか
らだ。アメリカのとある組織が、原爆のデータ収集のために日本にやってきた。
そのデータはアメリカの施設に送られた。その施設は後に「放射線影響研究所」
と名前を変えた。チェルノブイリ原発事件が起こった時、その時の代表がシゲ
マツという広島出身の人間だったが、彼はマスコミに対して「原発の影響はな
い」と発表してしまった。諸外国は「ヒロシマの人間がそういうのだから間違
いないだろう」と判断したために援助を止めたため、助かるはずの命も助から
なくなってしまった。
アメリカ・ネバダの核実験場から100km離れた村に、ロッキーフラッグとい
う村がある。ロサンゼルスなどの風下に当たる地域に影響がない日を選んで、
核実験をしていた。そこは核実験の影響で、プルトニウムで汚染されていた。
政府は危険地域だと発表したが、その地域の大地主やその地域で建売住宅建設
を計画していた会社は猛反発し、結果として政府担当者はクビになった。だが
住人には乳ガンが多発した。
(ここから広川氏が撮影したスライド写真を見ながら解説)
チェルノブイリで事故が起こった時、ウラル地方では木製の家は全部地下に
埋められ、地上にあるのは石で作った教会だけ。当時現地では「病は気から」
というキャンペーンがはられ、放射能の影響を認めなかった(3号炉はつい最近
まで運転されていたらしい)。墓は汚染され、子供は中に入れない。隣町の住
人は皆疎開した。付近の森は木が真っ赤になった。歩いていた人は大やけどを
負った。木は切り倒され、地下に埋められているので、地下水も汚染されてい
る。
被害を受けた村で一番遠くにある村は、チェルノブイリから280kmも離れて
いる。これは岐阜で事件が起こったら、東京まで被害を受けてるのと同じだ。
消えた町村は600にも上り、住民はいまだに帰れない。村にはドロボーが侵入
し、盗品は街中で売られているが、盗品も放射能汚染されているので、これは2
次汚染になっている。家を地下に埋めるのはドロボーと2次汚染を防ぐためで、
中には老人だけが残っている村もある。ディスコも朽ち果て、教会には十字架
だけが残り、子供達にはそれがトラウマとして残っている。キノコは巨大化し、
シダの葉は葉の並びが乱れてしまい、もみの木はすっかり変形してしまった。
ベラルーシでは80人からの母乳から放射能物質が見つかった。子供は抵抗力
も集中力もない。たくさんの病気が流行し、チェルノブイリの子供達の間には
甲状腺のガンが多発した。甲状腺ガンは子供の場合、普通はまったくおこらな
い。
リンパ腺に転移しやすいのだが、早期発見の機会を奪ったのは先ほど行った広
島出身の人間だ。白血病や白内障にかかった子供も多い。
チェルノブイリの子供達の描いた絵には「SOS」の文字が書かれている。事故当
時は0歳〜4歳までの子供が圧倒的に多く、その子達が成長した今頃になって発
病するケースが多い。子供達は手術後の傷跡を見られたくないために自宅に引
きこもるケースが目立つし、最近では原発労働者の犠牲者も増えている。
原発事故が起こると、我々の手ではもうどうしようもない。放射能汚染を防ぐ
服はない。コウノトリの数も少なくなっている。ヒマワリ畑も汚染された。彼ら
もヒロシマ、ナガサキを経験した我々の気持ちもわかるだろう……。
最近原発事故が起こった浜岡では、原発事故対策は何もやっていない。ヨード
剤も役人とその家族にしか渡されていない。原発は安全と主張している以上、住
人にヨード剤を渡すわけにはいかないからだ。
風力発電ですら、日本の官公庁の間では対立が激しい。エネルギーを扱う官庁
は、いまだに原発に固執している。だから、風力発電の部品は日本国内で調達し
ようとすると、アメリカの3倍もの経費がかかるほどだ。太陽発電も徐々に増え
ている。原発よりも効果的だというデータもある。阪神大震災の時、六甲を照明
した光は自然発言によるものだった。
キエフに、学校に行かずに独力で日本語を勉強し、外国語大の日本語学科に入
学した女子がいる。彼女は手術の傷跡を気にして、学校に行かなかったのだ。暇
つぶしにと日本語の教材を渡したところ夢中になって勉強し、以後私が現地に
行くたびにレベルの高い教材を要求するようになった。どんどん自力で日本語
と日本文化について勉強し、難関といわれる外国語大学の日本語学科に合格し
たのだ。ベラルーシにある施設は日本とドイツの援助で運営されている。コウノ
トリは我々の団体のシンボルマークになっている。
(スライドここまで)
前半はここまで。
後半に続く。
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遠藤嘉則 Yoshinori Endo
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