こんばんは。遠藤@埼玉です。
「核のない地球を作ろう」の後編をお送りいたします。
日本国内にある原発は今現在で52基で世界3位である(1位アメリカは103基、2
位フランスは57基)。ドイツの海岸線を走っていると、やたらと風力発電の施設
が目立つ。地元住民が「少しでも安全な電気が欲しい」という願いから自分たち
で土地を提供しあって始めたものだ。最初はうまくいかなかったのだが、だんだ
ん採算ベースにのるようになり、利益もでてきた。それがきっかけで反原発運動
が盛んになったのだが、原子力産業はそれに異を唱えている。
本来は100%安全と確かめてから原子力に手をつけないといけないのに、日本
は絶対にそうしない。ここまで来たら、「原発は安全だ」と言い張るしかない。余
談だが、、今巷をにぎわせている「肉骨粉」は、汚染された分は発展途上国に引き
取らせるらしい。政府は何を考えているのか?
風力発電も、機械が1基だけだったら不安だが、機械を多く設置すれば供給電
力量は安定する。国内には風力発電に向いた土地が24%もある。太陽発電の研究
は日本が一番進んでいる。波動エネルギーも可能性はあるのに、電力会社は原発
を作ろうとする。電力会社も戦前はたくさんあったのに、戦争遂行にあたり政府
の国策で各会社はみんな国営になり、戦後は9電力会社に分割された。今電力の
自由化が叫ばれているのは競争力がなくなっているからだ。企業からすれば、1
円でも安価で安全な電気が欲しいという要望があるのは当然だ。フランスです
ら将来は原発を減らそうという方向にあるのに、原発推進を打ち出しているの
は日本だけだ。北海道の生協が中心になって、安全な電力を使おうとしているグ
ループがある。ドイツの市民発電所みたいなことは日本でもできると思うのだ
が、企業は危機感を持っているらしい。
これよりディスカッション
・個人的には原発には反対だが、感情論だけで反対できないのも事実だ。
・面積のわりには原発の数が多い。それだったら風力発電に移行したらよい
・原発以外の情報が意図的に止められているので、市民運動レベルでこれら
の情報を公開して欲しい
・今すぐ原発をなくすのはムリな注文だが、今日のスライドを見て原発の危
険性がよくわかった。
・学校の授業でも、リアリティーのある話をしてくれないから困る
・日本では景観が崩れるという理由で、風力発電に反対している人達がい
る
・自分たちの生活レベルを下げることも考える
・チェルノブイリの事故のおかげで、地元が元通りになるのには1億2,000万
年かかるといわれている。「原発は危ない」という事をしっかり教えないと
いけない。「原発作文グランプリ」というのがあるらしいが、そこでもグラン
プリを取った作文は「原発のエネルギーはクリーンだ」ということが書かれ
ている。
・原発に反対している人は地元住民ではなく「よそ者」である。地元は原子力
産業の城下町になっている。
・情報源が偏っているから、自分で情報を取捨選択できなければならない
・安全性の説明が曖昧になっているから、反対派の主張も曖昧といわざるを
得ない。
・チェルノブイリの事件があった時は小さかったからよくわからなかったが、
広川氏の講座でよくわかった
・経済のグローバリゼーション化に伴って、この問題は国レベルの問題では
対処できない
(ディスカッションここまで)
ここからまた講演
原発のある地域は経済効果があるから住民は反対していない。日本をここま
で悪い国にしているのは私たちだ。フィリピンにも昔、原発を作ろうとしたこと
があったのだが、国民の反対運動でなくなった。
キエフの施設に援助をしている国はドイツと日本だけではなく、他の国も援
助をしているが、だいたいは宗教団体が中心だ。ドイツの場合は戦後賠償の意味
もあるかもしれない。
チェルノブイリの事件が発生した時、ヒロシマの学者が「影響ない」と発表し
たのは、一つには賠償問題が絡んでいたからだ。旧ソ連時代とはいえ、国庫予算
が窮乏していた政府は経済的なもんで、IAIEと組んで「チェルノブイリは危険な
状態だ」といわれるのをいやがった。それをカモフラージュするのに、ヒロシマ
の学者を使ったらしい。
東海村では事故が起こるまで、事故の話をするのはタブーだった。
福井では原子力に汚染された人間を閉じこめるために、トンネルに鉄の扉を
つけている。原発のあるところは立地が悪いからいざとなったら逃げられない。
豪華な公共施設や立派な学校をを作っているのは、地元住民の不満を和らげる
ためだ。
放射能の影響は、学者でもよくわからない。チェルノブイリの時に消防士が現
場に突っ込んでいったのは、原発事故の影響の知識がなかったからで、また、似
たような事件があっても、消防士は現場に飛び込んでいかないだろう。日本の
NGOはもっと権力を持たなくてはならない。政府は何か事があるとすぐに真相を
隠すからだ。
僕が育った時代は、原子力は「夢のエネルギー」だった。チェルノブイリの仕事
をするまでは、原子力の持つ夢を信じていた。スリーマイル島原発が事故をおこ
した時も、アメリカ政府は安全だといっていたが、一箇所から多くの異変が起こ
るのは、だいたい原発がらみのことが多い。チェルノブイリ事件の時は政府が外
国人ジャーナリストに取材許可を出していなかったので、自分で直接KGBと交渉
した。そこから60km離れた地域では、ガイガーカウンターの針が振り切れてしま
った。土地の人間はそのデーターをくれ、といった。そのデーターをもとに役所
と交渉するためだ。
これからは、NGOのネットワーク構築が重要になってくると思う。
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遠藤嘉則 Yoshinori Endo
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