[BlueSky: 3814] NGO・NPOの政治性についてコメント


[From] "Takashi Goto" [Date] Fri, 16 Nov 2001 01:56:23 +0900

一ノ瀬さん、みなさん

後藤@環境NPO研究会です。

一ノ瀬さんご指摘の「..NGOやNPOと政府との関わり方」について
コメントさせてください。

結論から言えば、NGO/NPOはあるミッションを結実・成功させるため
に「政治的」な手法を用いた活動を行うことが求められる場面は必ずあり
、それは必要であると思います。なぜなら、政策提言を成功させるために
、政治の場への強いアピールは不可欠だからです。
しかし、政治活動そのものを行うことは、非政府組織として公益性の高い
活動を市民側に立って行くという、NGO(時にはNPO)本来のミッション
に反し、まさに一ノ瀬さんの言う「政治結社」になってしまうので、これは
いけません。

例えば、以前ぼくも参加した「フロンネット」は、フロン回収・破壊法を成
立させるため、自民党の環境部会と協働し、非常に市民提案に近い法
案を成立させることに成功しましたが、これは「政治的な活動」に見えま
が、実は、単に「政治的」な手法を用いただけで、別に自民党を応援した
わけではないので、NGOの活動として問題はないでしょう。
先方が珍しくその点は良識をもって理解してくれたのは、「わが党はNG
Oと協働しています!」とアピールしたかったのでしょうが、それはこちら
の預かり知らぬこと、、、つまりは「化かし合い」の次元です。

ところが、もしそうしたことがあった次の選挙かなにかの時に「法律を通
してくれた○□党を応援しましょう」とやると、これはロビーを超え、もろ
政治活動になるので、ゼッタイいけません。党ではなく、議員個人を応
援するのならいいのでは、と言う意見もありますが、やはりマズイでしょう。

以下は雑談的に..
一点付け加えると、アメリカでは「内国歳入法」の501条でNPO=米国
非営利法人の分類がなされています。確か21もの区分があります。
そのうち日本のNPOに近い「501(C)(3)」と「501(C)(4)」を見ると、
501(C)(3)は、教育的要素のある学校法人や宗教法人などを指し、
寄付した分に対しては所得税などがかからず、寄付控除を受けられます。
税金を払うより使い道がはっきりしていて社会に還元できるので、多くの
個人が501(C)(3)に寄付するようになっています。
一方、501(C)(4)は、NPOの中でも法律など、直接政治的なことを
行う団体を指します。その代わり、「共益団体型」のNPOとされ寄付の
税控除はみとめられません。
それでも、米国では、NPOは法人税を全て免除されています。
もう一つ付け加えれば、アメリカのNPOの中には、同じ団体で「501
(C)(3)」と「(C)(4)」を巧妙に使い分けるなど、さじかげんが上手な
ところもあるようです。

EUでも、国によって差は有りますが、オランダやイギリスは非常に手厚
い優遇措置をNPOに与えています。
この点については、ぼくも会員で懇意にしているNPO法人環境文明21
が毎年海外調査を行い、ブックレットも出しています。
→ http://www.neting.or.jp/eco/kanbun/

一方で、日本のNPO支援は、NPO法人のうち一定の要件を満たものと
して国税庁長官の認定を受けた「認定NPO法人」に対し、個人・法人が
寄附をした場合に、寄付金控除や損金算入を認めるように今年改正さ
れました。
しかし、その「認定NPO法人」の要件は非常に厳しく、現在までに「認定
NPO法人」になるため申請したNPOは数団体です。理由は、財務省の
強硬な反対のためですが、要は、現状では介護事業を行うなど一部の
事業系NPOを除けば、NPOが経済的な基盤を築くわずかなサポートも
ない状態です。ちょうどわが国のベンチャー支援策の欠如にも似ています。

半端ですがこのヘンで。ではでは。

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後 藤   隆 [ Takashi Goto ]
E-mail: takapi-@sf6.so-net.ne.jp
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