[BlueSky: 3769] Re:3766 狂牛病と科学


[From] "Sato, Kenji" [Date] Thu, 8 Nov 2001 16:48:26 -0800

佐藤@ミシガンです。

横山さんの投稿に対して、ちょっと異論をはさみたいと思います。
人口が増加する→食料生産を倍増させる必要がある→私の頭の中には「無農薬」の文
字はもはやありません・・・の部分なのですが、事実を反映させてない記述だと思い
ます。人口増加→食糧増産の必要性の部分では、生産が問題ではなく、分配が問題だ
というのが現在の一般認識かと思います。いくらアメリカ、ヨーロッパ、カナダ、
オーストラリアで食料生産が増加しようが、現在実際に飢えているバングラやアフリ
カの片田舎の人の口に入るとは考えられません。現在の自由主義経済が続く限り、貧
しい者は金持ちの国が生産した食料を買うことは出来ないのです。また、反対に食料
生産国がますます食料を増産し、ダンピングや援助と称してその食料を貧しい国に施
せば、それら貧しい国の農業を壊滅させます。日本のように食料を海外に依存して安
穏としていられる国それでいいのですが、外貨を稼ぐすべを持たないそれらの国々に
とっては、より不安定な社会にならざるを得ません。食料を必要とする場所で、食料
を増産する方向しかあり得ないと思うのですが、どうでしょう?

もう一方の、食糧増産の必要性→「無農薬」の否定もまた、ちょっと大局的に見すぎ
である気がします。農薬が農産物の増産に寄与した効果は全く否定しませんし、短期
的に途上国での農薬の必要性も否定するモノでもありません。しかし、先進国におけ
る(上位20%の裕福な人?)の要求を無視するのも得策ではない気がします。たと
えば、米国や日本で無農薬野菜や無農薬穀類を生産し高く売れるなら、どんどん推進
すべきだと思います。金持ちにはもっと食料にお金を払わせればいいのです。米国内
の農家も助かるだろうし。それで米国の生産量が20%減ろうがかまいはしません。
逆に米国の穀物輸出力が落ちれば、国際価格が上がり、食料を輸出する途上国には吉
報となります。

科学に関する件ですが。
田中さんの元投稿は科学と技術がごっちゃになっていて、僕にはあまりよく理解でき
てないのですが、僕の理解する”科学”は、「考える方法」自体だと思っています。
何かが起こって、その原因を推理する。推理が正しいかどうか実験する。実験の結果
から推理が間違っている事を発見し、また、他の推理をし、また実験をする。その積
み重ねが科学という手法だと思います。メーカーが1オーダー上の正確さ、性能を追
求するのは市場(多くの人)がそれを要求するからで、メーカーは科学を使ってその
目的を達成しようとするだけの話のような気がします。現在の、科学(という手法)
でもたらされた害悪を、科学自体が悪いんだと非難するのは変じゃないですか? 目
の前の害悪をなくす為には、祈祷ではなく、論理的な理屈を以て対処する以外、我々
の取り得る道はないと思っています。

科学の対局にあるのは、もしかしたら、「悟り」かもしれません。悟りはなんら説明
する必要がないし、私がわかったのだからそれでいいという、一種、東洋的な認識方
法かも知れません。(←戯言として無視してください)。

横山さん。
複雑系のなんたることかも知らないのに、口を挟むのも何ですが、予測不能の系を研
究の対象にする意味がよくわかりません。 たとえば、ある数値をいれると木の葉の
葉脈に似た形が現れる。でも、同じ数値を入れても2度と同じ形は現れない。それで
自然を模した系がコンピュータの中に出来たからと言って、自然がそういった仕組み
をとっているとは論証できない。ブラックボックスがあって、何かを入れると結果が
出てくる。でも、どんな結果が出てくるか、その範囲さえもわからないブラックボッ
クス。そんなモノなら、最初っから放っておいた方がいいのでは? 概念をお教え頂
けると幸いです。



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