[BlueSky: 3765] Re:3748 技術と科学のありかた


[From] "akira matsuda" [Date] Thu, 8 Nov 2001 01:58:07 +0900

農学部で大学院生をしておりますまつだと申します.
読み手にまわってばかりでしたが,いつも参考になります.
今回も「狂牛病と科学の限界」,「科学と技術のありかた」に関するやり取りを興味
深く読ませて頂いていました.

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・科学は拡大路線に世の中を向かわせる力を後押ししているという印象
・科学が安全だといっても,個人が判断する場合には「腹の虫」による直感的な判断
が優先される場合がある
・ひとはもともと論理的に行動しない
・研究者や技術者が慎重な態度でいても伝える者の恣意が加わるなどデータが一人歩
きすることがある
・拡大路線への反感,それに変わるパラダイムはないのか,その一つとして持続性と
いう価値観
・大きい影響力をもつ者(おえらさん)の判断が好ましい方向に向かい,科学が問題
を解決する方向に発展することを願いながら自分の持ち場でできることをする

・効率悪い畜産(牛肉消費)の推進への疑問
・判断を他人に委ねる「群徒」 ←→ 考えない生き方をすることも個人の自由な選
択だ

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国内で狂牛病が発覚するまでは,大枠では海外の牛肉よりも国内産の牛肉が安全と思
われていた,それが狂牛病のせいで肉骨粉の飼料利用をいち早く禁止したという理由
で米国,カナダ産の牛肉のほうが安全ということになった.いままでの外国産への不
信感はどこへいったのか,と考えると,安全かどうかというのも相対的なものなので
すね.

「風評被害」で肉類の消費が減るのは畜産業とそれに関わる経済(焼肉やさんも)に
とって悪いことである,として消費をゆり戻そうとする動き.これに対して,拡大路
線・資源の枯渇を根拠に疑問が投げかけられた.けれど風評被害に関してはそのよう
な広い視野に立ってでなく,個人はもっと目先のものにつられて動いているのではな
いか,という話.
たしかに産業全体をどうするかという問題と個人の行動は乖離しているという印象を
受けます.

政治家やマスコミが信じられないとしたら,つまり「何が安全か」「何を信じるか」
を個人が判断しなければならないとしたら,科学はそのための道具になると思いま
す.

例えばTVでこれが体にいいという番組が流れた次の日はスーパーでそれが飛ぶように
売れる.逆にこれらがどこまで一般的に体にいいのかを検証する番組があれば一度見
てみたい.たしかに検証は出来ない質のものなのかもしれない,食べ物の効き目は薬
のように一般化しやすいものでないから,効いたという肯定例さえあれば紹介され
る.過酸化物の解
毒やビタミンが多い,といった個々の根拠はある,このことが,豊かな日本の朝晩の
食事で他の食
品も食べ,それぞれに健康状態の異なる人たちにどこまで当てはめられるのかどうか


科学的に考えたり資料を集めたからといって必ずしも肯定することは出来ないが,疑
うことはできる.現時点で出る結論は結局効くのかどうか分からない,ということに
なるかもしれない,それでもいいと思います.

論点ずれていたらごめんなさい

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#僕個人では,金がないので,安全なもの,体にいい(といわれる)ものを選択する
余地がない,という別の理由もあるのですが.

mtdakr@cocoa.freemail.ne.jp  松田 晃



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