邑瀬です。
葛貫さん:
> 過剰な期待をかけないで、「はっきりわかっているのは、
> こんなもんなんです。」ということを科学者が言える社会的な
> 雰囲気をつくらないと、情報公開するのがためらわれてしま
> うのではないかな。
科学者は言っているのですが、データやその考察が一人歩きするのが怖いです。
つい先週、まさにそのような経験をしました。
琵琶湖の水質に関する記事だったのですが、私が少し手伝っていた研究のデー
タを元にしたと思われる記述があり、しかもその記事の結論が本来の報告書の
考察と違うのです。報告書の提出先の機関が新聞記者に説明するとき、その記
者が記事を書くときにそれぞれ脚色されてしまったようです。しかも、その結
論の後にさらにほかの取材等をもとに論理展開され、最後には「早急な対策を
取るべき」という話にまで発展していました。
結構特殊な研究、つまりほかに比較対照がない研究だったので、データが少し
でも出るや、すぐさま拡大解釈されたのでした。追試や経時変化を確かめない
と何も言えないのに、たった1度の実験ですぐに結論まで飛んでしまいました。
これがもし人の命に関わるような急を要することであったら、データの扱いは
もっと難しいですね。
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