[BlueSky: 373] Re:366 遺伝子組み替え食品について


[From] can32960@pop07.odn.ne.jp (yuichiro) [Date] Tue, 10 Aug 1999 07:33:08 +0900

小宮です。中澤さん、みなさんこんにちは。

中澤さん、いろいろ興味深い情報ありがとうございました。

>#残留農薬は,またちょっと問題が違うと思いますが。

すみません、ちょっと勘違いしていました。確かに除草剤耐性農作物
を使えば、栽培に必要な農薬量をかえって減らすことができ、そういう
意味では環境にやさしいといえるかもしれません。

農薬に対しての危険に関しては、1997年の「ニューヨークタイムズ
紙」が、「除草剤耐性技術は、経済性を求める農民のニーズに対する
誤った解決策、資源、たとえば土地の健康や土地に生きる人にとって
有用ではない」と社説に書いているそうです。その例としては次の
ものがあります。

1997年、環境保護庁は癌や先天性欠損を起こす可能性があると示唆
されていた農薬の「プロモキシニル」の使用を禁止しました。しかし、
1994年からカルジーン社が既にプロモキシニル耐性ワタを販売して
いました。(そのことが関係しているかどうかは分りませんが、)1998
年後期にFDAは方針を変更、禁止措置を解いたため、アメリカ南西部
では現在プロモキシニル耐性ワタが花を咲かせているそうです。結局
は、農薬量を減らせて環境にいい、といっても、企業が適切な使い方
をしない限りは、かえって危険なことにもなりかねないようです。


>ただし,Natureの7月1日号には,Florence Wambuguという人が
>書いた,「なぜアフリカは農業生物工学を必要とするのか?」
>という記事(pp.15-16)も載っています。

このFlorence Wambuguさんという科学者は、ラウンドアップなどの
農薬、また、その耐性農作物などを開発しているバイオ企業の
モンサント社がアフリカから招き、共にアフリカのサツマイモ改良プロ
ジェクトを共同研究されている方ですね。ウイルス耐性のサツマイモは、
確かにアフリカの食料不足の解決に大きく貢献できるようです。

>この記事では,英国人が
>狂牛病によって遺伝子組み換え食品に過敏になったことは(タン
>パク質の経口摂取で感染するというのですから,PSRASTの(3)(8)
>を考えたら,遺伝子組み換え食品を拒否したくなるのは当然なの
>ですが)根拠が乏しいとされ,ヨーロッパが心配する"Terminator
>Technology"(遺伝子組み換えされた有用植物に種ができないよう
>にして,主として米国の種会社から種を買い続けなければ農業が
>できなくなるようにする技術)は単なる構想であってアフリカなど
>に向けて輸出されるという根拠はない,と遺伝子組み換えを擁護
>しています。アフリカが新しい技術を必要とする論拠としては,
>25%の食料を輸入に頼っていることと,アフリカの土地生産性が
>低いこと(トウモロコシでいうと,年平均収量が1.7 t/haで,全
>世界平均の4 t/haに比べて低く,これが主にMaize Streak Virus
>というウイルスによること)を上げ,種が多国籍企業に占有され
>るのを防ぎ,地域組織が遺伝子組み換え技術の発達とその利益に
>参与すれば,南北問題の拡大にはつながらない,と論じています。
>だから,アフリカでの遺伝子組み換え植物は,需要ベースで行わ
>れているのだ,と。
>
>これが本当だとすると,(10)は否定されることになりますが,
>ここには2つの問題があります。
>
>病害虫との鼬ごっこに負けてしまうのであれば遺伝子組み換え
>を推進したところで収量増にはつながらない可能性があること
>が1点,さらに,Wambuguさん自身も暗に認めているように,
>適切な運用が確保されないと新たな南北問題につながることが
>第2点です。従って,Wambuguさんの論理には,やや脆弱な点が
>あると思います。

これは確かにそう思います。特に、この第2点目は、解決が難しい
のではないでしょうか。結局は企業は収益のためにやっているので、
外から規制しない限りは、適切な運用が確保されるとは思えません。

Terminator Technologyに関しては次のような話があります。1998年
に、デルタ&パインランド社(後にモンサント社に買収)とアメリカ農務省
は、二世代目の種子の発芽を阻害する技術「ターミネーター」に関する
特許を取得。1998年末には、モンサント社は種子不稔技術に対する独占
使用権をデルタ&パインランド社に与えるよう、アメリカ農務省の説得に
乗り出しています。

また、ターミネーターの後に、新たな種子不稔技術であるバーミネーター
も登場しています。このバーミネーターは種子中にげっ歯類の脂肪遺伝子
が組み込まれたもので、開発企業であるゼネカ社は、多くの国で特許を
申請しようとしているそうです。

これらの技術使用料は、単に種子企業に対して請求されるのみでなく、
直接農民にも請求されています。モンサント社は自社のバイオ技術を
使用する場合、農民は「技術使用契約」に署名しなければいけないと
しています。この契約を結んだら、まず登録会議に出席し、種子を保存
しないこと、また、種子を栽培用に販売や供与しないことに同意し、
栽培後三年間、モンサント社の査察を受け入れなければなりません。
(以上、参考「不自然な科学」インゲルング・ボーエンズ 光文社)

バイオ技術を南北問題の拡大なしに使用するにはまだまだ障壁が多い
ように思えます。結局はどのようにして企業の技術独占を防ぐか、と
いうことになるのでしょうか。

#まずは僕もこの記事を読んでみようと思います。

>以上の考察から,現時点でのぼくの結論としては,遺伝子組み
>換えすべてが問題ではないにしても,組み換えによる病虫害防除
>には問題が多いということになります。他の方の意見もお聞きしたいです。

同感です。


#ところで…ここのMLってテンポが早いですねー(^^; 教育関係にもレス
したいと思っていましたが、もう全然話についていっていません。

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yuichiro komiya (小宮祐一郎)
e-mail:can32960@pop07.odn.ne.jp


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