[BlueSky: 369] Re:364 教育に関して思うこと


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Mon, 9 Aug 1999 20:57:40 +0900

喜多さん、こんにちは、葛貫です。

>>私が通った中学・高校と学校では、教師を採用する時、幸福な(richではない)子
>>供時代をおくった人という選抜基準があったという話を聞いたこ
>> とがあります。
>
>この反対の事は,良く聞いた事はありますが(私も私学の教師生活を少し経験したも
>のですが),採用条件に「幸福な子供時代」って,どこに基準を置いたのでしょう?
>,本人の子供時代の「思い出」から選択したのでしょうか。噂と真実は全く異なると
>言う事はよくあり,私にはもっと違った選択基準の隠蓑の様に思えてなりません。す
>みません。


今は、どうなっているか知りませんが、私が在学していた頃は、6年間日常生活を見て
きた卒業生の中から適任者を選んで依頼することが多かったようです。
どのような自己申告をしても、どのようなつくられた(?)良い噂があっても、
本人としばらく一緒にいれば、「幸福な子供時代」を過ごしたかどうかは、
言動に滲み出してしまうのではないでしょうか。
どんな、といわれても上手に説明できないのですが、変に攻撃的だったり、必要以上に
謙ったていたり、自分自身でいることがとても心地悪そうな感じがしたり・・・・・。

>私は余り「天才」とか「才能がある」と言う事を信じていないのですが,モーツアル
>トは3歳から演奏活動をしていたとか,これを天才と言うのかも知れませんが,それ
>でも彼がもしピアノの前に座らなければ,「天才」とも言われなかったかも。私も「
>努力」を例え人のあ3倍しても,全く唯の「徒労」に終わる事象を多く見てきました


すべてが努力によってあがなえるものではない、天賦の才能、筋の良さというものが
存在するといういのが、私の実感です。
芸術家でも、研究者でも、自分の内側から湧き出してくるものがある人と、
技術を磨くことによって、それなりのものをつくり出す人がいるように、私には感じられます。
根拠はと問われると困るのですが、年間1000件ほどの研究論文を読む仕事をしていて、
そのように感じられるという、私の主観です。
(私が努力、忍耐、根性を嫌う凡夫だから、そう思いたいだけなのかもしれません。)

>が,さりとてモーツアルトも死んだ時は誰も知らなかったとか。

死んだ時誰もしらなくても、モーツアルトの作品は、時間による淘汰に耐え、
今も残っており、サリエリの作品、否、サリエリの存在自体も、知っている人は少ない。
何によって評価するか、好みの問題かもしれません。

>私は与謝野晶子さんを「凄い女性だった」と思っています。彼女は11人も子供がい
>て,しかも,確かデザイン学校の校長までして,おまけに「情熱一杯に駆け落ちまで
>して(ちょっと,順序が逆ですが)
>私の回りには「4児の母」と言う「凄い人」の友人はいません。

与謝野晶子さんの娘さんに、高校生の時、数学を習ったことがあります。
もうお孫さんがいらっしゃるようなお歳でしたが、いきいきとした魅力的な方でした。
私の周囲には、5児の母や、6児の母になろうとしている人もいます。
(別に、カトリックの信者というわけではありません。)
凄くも、珍しくもありません。

>私にはモーツアルトがサリエリに何を「潰された」のか,少し理解が出来ません。

映画では、サリエリは、モーツアルトが怖れている唯一の権威ある存在(よくやったと認め、
愛してほしいと望んでいる人)であるモーツアルトのお父さんをだしにして、モーツアルトを
追い詰めたように記憶します。
自分を認めてくれない父親は恐怖の対象で、彼の潜在的な支配者であったように思われます。
サリエリは、モーツアルトの「生き生きと自分を表現して生きる力」を潰したように感じられます。
これも私の主観です。

>出来ましたら「サリエリの大量生産」とは何を意味し,それは又,今の教育の弊害なのか,有意義な事なのか,教えて頂ければと思います。

私には、映画で描かれていたサリエリは、理論を身につけ、定法により作品を作り上げて行く、いわゆる既知のものからはみでることはない技術者
であったように思われました。
モーツアルトは、自ずとあふれ出てくるものを、楽しみながら表現する者、表現せずにはいられなかった者であったように思われます。
作り上げられた頭でっかちではなく、「好きこそものの上手なれ」の人が、適材適所で楽しみながら活躍できるようになればいいなと思いました。
また、先生・先輩や親が、子供の成長を望みながらも、自分を超えようとすると足を引っ張るようなことがなくなればいいな、と思いました。
まとまらなくて、すみません。

ではでは、

Y.Kuzunuki <kuzuny@geocities.co.jp>




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