[BlueSky: 3583] 自然史系博物館の国際協力


[From] "SUKA, Takeshi" [Date] Fri, 10 Aug 2001 17:29:25 +0900

須賀です。

まるでBlueSkyに転載してくれといわんばかりのタイミングで(?)
またjeconetに千葉県立中央博物館の特別展とその記念講演会の案内
がありました。転載歓迎とのことですので、このメールの末尾に転載
いたします。

葛貫さんは上野の科学博物館へ行かれたのですね。これからお盆休み
の時期ですから、それぞれ近くの博物館に足を運ばれるご家族なども
たくさんいらっしゃるでしょうね。

今週の月曜日には大塚さん@東京医科歯科大学が[3506]で案内を流され
たボルネオ熱帯林シンポジウム(東京会場)に出かけてきました。大塚
さんの案内にもありましたとおり、このシンポジウムは国際協力事業団
(JICA)と兵庫県立人と自然の博物館、ボルネオ島サバ州のサバ大学熱
帯生物保全研究所の3者が連携して「ボルネオ生物多様性保全国際協力
プログラム」をはじめるにあたって企画されたものでした。この地域は
オランウータンやラフレシアの花で知られるとおり、世界的にも貴重な
熱帯雨林が残されています。日本は一時期この地域から大量の木材を輸
入していました。現在では油ヤシのプランテーションが大規模につくら
れ、それを原料とした製品が「環境にやさしい」洗剤などとして日本で
も広く消費されているそうです。兵庫県立人と自然の博物館とサバ大学
は以前から学術協定をむすんで相互に協力をおこなってきました。その
活動のひとつに以前わたしが参加して[1080, 1091]でご報告した国立
公園の調査があります。また、日本の子どもたちにボルネオの森を体験
してもらう活動などもおこなってきたそうです。今回は、このような大
学と博物館の交流を土台としながら、JICAがくわわってのODAのプログ
ラムが新しくはじまるわけで、日本の博物館の活動のありかたとしても、
また環境分野での開発協力のありかたとしても注目に値する試みだと思い
ました。プログラムの進行状況や成果を国内の大学での環境教育などの場
にフィードバックすることの重要性もパネルディスカッションの場で語ら
れました。この点にも期待したいと思います。いろいろなひとがいろいろ
な立場から関心をもつことが大切なのではないでしょうか。当日会場では
大塚さんにもお会いしました。

自然史系博物館の役割も大きくひろがりつつあるのですね。

というわけで、以下に転載するのは千葉の博物館からの案内です。

****************(以下転載)****************
 千葉県立中央博物館では現在,特別展「ヒマラヤ―人・自然・文化―」
(会期6月30日(土)〜9月9日(土))を開催中ですが,関連講演会を
今週末8月12日(日)に行います.直前のご案内ですが,多くの方のお越
しをお待ちしています.
 特別展解説書も友の会ショップで販売しております.
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特別展「ヒマラヤ」記念講演会 第7回
日時:平成13年8月12日(日)
会場:千葉県立中央博物館 講堂 (聴講無料・定員200名、当日先着)
13:30-14:30 パキスタン・ヒマラヤの植物調査
      講師:中池敏之(千葉県立中央博物館副館長)
14:30-15:30 ブータンの自然保護
      講師:レベッカー・プラダウン(ブータン王立自然保護協会)
      通訳:大沢雅彦(東京大学大学院教授)
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内容
13:30-14:30 パキスタン・ヒマラヤの植物調査(中池敏之)
 皆様はパキスタンがどこにあって,どんな国柄なのか,ご存知でしょうか。
地図を開くとインドの西,アフガニスタンとイランの東,北部は中国と国境を
接し,ロシアもすぐ近くにあります。イスラム教が国教です。
 インダス川が北から南に流れ,有名なモヘンジョダロの遺跡があります。
 さて,パキスタンは,南部の海岸から北部には,標高8,000 m級のK2やナ
ンガパルバット山があり,地形や気候は変化に富んでおり,また,パキスタン
の首都であるイスラマバードの北部には,植物の分布から名付けられた日華植
物区の西の端にあたります。約6,000種類の維管束植物が生育しています。
 私は1979年からヒマラヤの植物,主にシダ植物を調査,研究してきました
が,1990,1991, 1992年には延べ半年間,パキスタンに滞在して植物調査を
行いました。今回はこの国の植物や人,自然についてお話します。
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14:30-15:30 ブータンの自然保護(レベッカー・プラダウン)
 本講演の演者は農業省森林局の頃からブータン各地の調査を行い、特に国立
公園設置のための調査の際には、研究者がほとんど入ったことのない地域を数
多く踏査している。植物、特にブータンの竹やフェノロジー、野鳥の生態など
様々な生物について該博な知識を持ち、ブータン最初の博物学者と言える。
著書「ブータンの野生シャクナゲ」
  「ブータンの絶滅に瀕した野鳥」
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特別展の内容などは以下のHPをご覧ください.
http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/
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Takeshi SUKA
Nagano Nature Conservation Research Institute (NACRI)
E-mail: suka@nacri.pref.nagano.jp


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