[BlueSky: 3566] Re:3563 排出削減と構造改革


[From] "Hisao Fujii(藤井 久雄)" [Date] Mon, 30 Jul 2001 13:34:09 +0900

一ノ瀬殿
森林NGO緑友会 事務局 藤井久雄

 あなたの議論はあまりに単純すぎて、そんなシンプルな頭で政策を論じられた
ら、世の中無茶苦茶になってしまうと思いますが。

On Sun, 29 Jul 2001 23:41:25 +0900
ICHINOSE-Takeshi <Nose@t.email.ne.jp> wrote:

> 尼崎市の一ノ瀬です。
>
> 葛貫さん(#3550)<
> 「環境問題の解決に力を入れると経済は滞る」かというと、必ずしもそうでもな
> いのでは、と思うのですが。
> >
>  温暖化ガス排出削減の話に絞っても、停滞する場合、発展する場合、の両方が
> あり得ます。
>
>  発展する場合については、政府は、排出削減を促す施策をどんどん実行して、
> あとは民間の行動を監視していればいいのです。
>  停滞、或いは後退を招く要因となる場合は、何らかの法的規制がなければ進み
> ません。そして、規制を制定する場合には、その負荷が経済全体が背負える範囲
> 内に留めるよう、削減のペースを調整する必要があります。
>
>  どの様な場合発展するのかと言えば、現在のドイツやイギリスや70年代の日
> 本がこれに当たります。
>  産業、運輸面でのエネルギー原単位が高く、コスト高の原因となって産業競争
> 力を圧迫しているのがこれらの国です。
>

 これ以外にも発展する場合はいくらでもあります。例えば、いち早く環境対策
技術を開発すれば、それが輸出産業に育って経済が発展するかもしれません。

 また環境対策を怠れば、それが環境を著しく汚染し経済を停滞させるかもしれ
ません。実際、温暖化に伴うエネルギー消費増や弊害、原発事故による放射性物
質汚染や、廃棄物処理排煙・火力発電等による重金属・ダイオキシン等環境汚染
等は、経済にブレーキになり消費需要も随分減らしていると思いますよ(これら
汚染が十分明らかにされず隠蔽されているから、その影響も明らかにされないだ
けだと思います)。現在は、環境汚染対策無しには安定した経済発展は望めない
時代だと思います。先日の森林NGO緑友会要望書にも、そういう記述をしてい
るのに、あなたは無視してこのような下らない議論を書いている。



>  やるとどうなるか分からないのが、現在の日本のような国です。
>
>  これ以上に削減しようとしても、既存技術では設備投資等のコスト負担が、原
> 単位低減によるメリットを上回るため、経済成長にマイナスに寄与してしまいま
> す。
>  新技術を導入することで、この状況は打破できる可能性があるのですが、新技
> 術にはリスクが伴います。
>  思ったほどの効果が上がらないかも知れないし、或いは、パイロットプラント
> レベルでは上手く行ったが、実際に国全体の規模で実行してみると、思わぬ副作
> 用が出て断念せざるを得なくなる、等の心配があります。
>  そういう”目減り”を考慮して、”新技術は何でもかんでもどんどん試す”と
> いうやり方もありますが、それは、日本を、未知の新技術の実験場にしてしまう
> ことを意味します。国民にかかるコスト負担も増します。
>
>  つまり、削減のための努力をするのは問題ないのだけれど、削減目標を国際公
> 約してしまうことには、非常に大きなリスクが伴うのが日本です。
>

 上記の様な問題を無視してこのような机上の空論を書いても意味がないと思い
ます。


>  以上は、現在の”大量生産大量消費社会”を維持するとした場合の話です。
>  社会のあり方を見直し、環境負荷の小さい社会に変えて行くことも、考えなけ
> ればなりません。
>
>  しかしこれは、いわゆる”構造改革”に、新たに取り組むことを意味します。
>  既存の産業を縮小/消滅させる一方で、スムーズに新規産業が立ち上がらなけ
> れば、大量の雇用ギャップが生じます。
>  しかも、失業者が新たな仕事に適合できるか、となると、これは簡単には行き
> ません。大きな雇用のミスマッチが生じます。
>
>  小泉首相が掲げる”構造改革”は、所詮”大量生産大量消費社会”の枠内での
> 構造改革です。
>  消費者が要らないというものの生産を止めて、消費者が欲しがるものの生産
> に、ヒトとカネを移動させるだけです。
>
>  環境適合型構造改革の難しいところは、環境負荷の大きなものの生産を止め
> て、環境負荷の小さなものの生産にヒトとカネをシフトさせ、なおかつ、その環
> 境負荷の小さなものを、消費者に喜んで買って貰わなくてはならない点にありま
> す。買って貰えなかったら大不況が起きる。
>
>  普通の政治家ならば、このような危険度の高い改革には二の足を踏んでも当然
> だと思います。
>  そういう姿勢を、一部のNGOの方々は批判するわけですが、彼らは、上述し
> たような深刻なリスク−−痛み−−が伴うことを、正しく国民に説明していると
> は言えません。
>  それどころか、「やれば簡単に出来るのに、やらないのは、政治家が企業寄り
> の姿勢であるためだ」などという誹謗を浴びせかける始末です。自分で手を汚し
> てやるつもりはないくせに。
>

 環境税の他に、環境に優しい製品が売れる様にする方法も、森林NGO緑友会
ではちゃんと提言していますよ。要望書の関連部分を再掲しておきます。

4.環境税だけでなく、市場経済・貨幣経済の中に、出来るだけ環境価値を算入
させて流通させることにより、適切な環境政策を効率的に実現することを要望い
たします。具体的案として、 エコポイント・カードのような市場インセンティ
ブ政策を導入し、温暖化対策に全般的インセンティブを発揮させ、合わせてその
他の面での環境保全も進めることが有効 だと思います。このような方法は、環
境税の様な大きな経済的負担をもたらさずに、大規模・効率的な温暖化対策を行
なえる可能性を秘めていると思います。

 現在多くの資本主義国は、貨幣価値を経済活動の価値の基準として動いており
ます。しかし、環境汚染が深刻化し、国民の生活が環境汚染により多大な影響を
被り、また経済成長も環境汚染により大きな影響を受ける様になっている昨今、
貨幣価値だけを主とする経済活動では問題が大きいことが明らかとなり、市場経
済の中に環境という価値を上乗せして、 環境を市場経済の中に組み込み貨幣価
値のように流通させていくことが、適切な社会経済活動の上で望まれていると考
えられます。

 上記環境税もその一つの形態ですし、最近各地で行なわれている地域通貨等の
試みもその一種としての側面を持っています。この地域通貨の様な試みを、全国
規模で環境保全のために導入することで、特段の経済的負担なく効果的な温暖化
防止対策が行なえるのではないかというのが、本提案です。最近、小売り店、チェー
ン店、ガソリンスタンド、飛行機等で、ポイントカードのようなことが随分やら
れております。小売店が積極的に導入しているということは、経済活動として採
算ベースに載せてやれているということです。そのような ポイントカードを、
全国的に、環境に優しい商品でやったら良いと思います。環境に優しい商品を買っ
たら、環境への貢献度に応じてカードにポイントが溜まって、溜まったポイント
の高に応じてなにがしかの特典がもらえる、といったシステムを全国的規模で導
入 すれば、環境に優しい商品の購入拡大に大きく貢献するでしょう。企業・小
売店も、環境保全商品の販拡のためだけでなく、企業・店イメージのアップのた
めの広告も兼ねて、このエコポイントへのサービス提供を積極的に行ってくれる
と思います。できるだけ、時代に即応した柔軟な環境保全が出来るように、商品
ごとのポイント数は、環境保全内容の必要性等が自然に反映されるシステムがで
きれば良いと思います(例えばポイント数と理由を公開で国民意見を集めながら
決定したら良いと思います)。これなら、 購入にインセンティブになりますし、
増税や規制でないので産業界等からの反対も少ないと思われ、有効な対策になる
と思います。


 相手の書いていることも読まずに、あなたは下らない議論を書き連ねて、温暖
化対策を妨害しているだけです。



>  特に今は時期が悪い。
>  小宮さんのコメント、
>
> 小宮さん(#3556)<
>  もし京都議定書に批准することで、なにも痛みがないのならば、参院選の前で
> すし、すぐにやっていたでしょう。
>  それをなぜあそこまでひっぱったかというと、今の日本経済の立てなおしに京
> 都議定書が悪影響を及ぼすからではないでしょうか。
> >
> に、私も全く同感です。経済にマイナスに働く二つの改革を、同時に行うのは、
> 危険を通り越して無謀です。不況のために、毎年一体何万人の人々が自殺してい
> ることか。

 私は、いまのまま環境を汚しっぱなしにして目先の経済効率だけを追い求める
方が、経済にも長期的にマイナスがでて(私は現在の不況の大きな背景原因は環
境汚染だと思っています)無謀だと思います。


>
>  環境NGOの方々は、結局環境の事しか見ていない様に感じられます。
>  環境のことだけ考えることが許されるのならば、環境問題など、とうの昔に解
> 決してしまっています。

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藤 井 久 雄(fujiihi@nisiq.net)
森林NGO緑友会(森林・林業・自然と研究のためのNGO)事務局
http://www2s.biglobe.ne.jp/~ryokuyu/ E-mail ryokuyu@nisiq.net
TEL 090-1800-4721
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