[BlueSky: 3565] Re:3562 冬がとっても寒いので−京都議定書・温暖化防止問題


[From] "Hisao Fujii(藤井 久雄)" [Date] Mon, 30 Jul 2001 13:16:00 +0900

一ノ瀬殿
森林NGO緑友会 事務局 藤井久雄


 ドイツについての記述に付きまして、私の以前の投稿に不十分が有りましたの
で、お返事のついでにお詫びして補足・訂正致します(一ノ瀬さんの言われてい
るのとは少し違いますが)。

On Sun, 29 Jul 2001 23:39:39 +0900
ICHINOSE-Takeshi <Nose@t.email.ne.jp> wrote:

> 尼崎市の一ノ瀬です。
>
>  藤井さん(#3548)の主張;
>
> 「ドイツの削減分は、EU他地域の増加分をカバーしない」
> 「旧東独地域の経済崩壊の影響は、無視して良い」
> 「旧東独地域から西独地域へ生産移転しても、排出削減には寄与しない」
> 「ドイツの排出量が多いのは、冬が寒いからである」
> および
> 「環境税で排出削減は可能だ(#3536)」
> について、反論しておきます。
>
>
> 1.「ドイツの削減分は、EU全体の削減分をカバーしない」か?
>
>  この点について、
> <
>  京都議定書で決めているのはEU全体で1990年排出量より2010年に
> 8%削減ということだけです。
> >
> と指摘されました。正にその通りですが、その後EU内部での負担割合について
> 話し合われていますね?
>
>  それによると、+20%台から−20%台まで様々に分散していて、排出量の
> シェア1,2位のドイツ、イギリスが、それぞれ−21%、−12.5%を負担
> しています。
>  このお陰で、他の国は、少々排出を増やしても問題ない構造ができあがってい
> ます。

 出典を明らかにして下さい。現在の実績を見る限り、特にイギリス等はそのよ
うにはなっていないようですが。


>  この2カ国がこれだけ削減しているのに、何故、全体では8%削減でしかない
> のか。それは、ドイツの”ガスの傘”の下に他国が入っていることを意味しま
> す。
>
>  付け加えると、イギリスやドイツは、エネルギー使用効率を高めなければ、産
> 業競争力を維持できないと見られます。
>  故に、この2カ国については、たとえ、”止めてくれ”と我々が頼んだとして
> も、炭酸ガスの排出削減を進めます。その方が企業が儲かるからです。
>  その影に、他の排出増加国が隠れている、のが、EUの姿です。
> ”多くの国が協力して削減する”という存在ではありません。
>

 ドイツの排出量につきまして、この前私の書きました説明に欠落・不十分があ
りました。この前、1990年以降のエネルギー消費は殆ど変わっていないので
はないかということを数字を挙げて説明しましたが、エネルギー消費量はあまり
変わっていないものの、石炭から石油・天然ガスへの燃料転換が行なわれていま
すので、その分によるCO2排出量削減が1997年時点で1990年より20%近い削減に
なるかもしれません(あくまで概算ですが、ドイツの石炭類由来エネルギーの過
半が熱効率の悪い亜炭・褐炭由来のもので、亜炭・褐炭の削減が特に大きいこと
を算入し、亜炭・褐炭の炭素含量を28%として計算しています。確かにエネルギー
消費とCO2排出量の差は、主に燃料転換が起きた場合に大きく現れてきますので、
この場合にはCO2排出量で比較する必要がありました)。この点は、お詫びして
補足しておきます。但し、ドイツの排出量はEU全体の1/4程度ですから、ドイツ
が20%の削減になってもEU全体の5%程度にしかなりません。1994年と1997年の
間の石炭固形燃料消費量はあまり変わらなくなっていますので(その後は手元に
統計が有りませんしこの間の亜炭・褐炭の割合の変化も不明ですが)、今後この
ペースで削減が続くかどうかは疑わしいです。

 つまり、1990年以降のドイツのCO2削減は、あなたが上記に言われている様
なエネルギー使用効率を高めることが産業競争力上必要というようなこととは違
い、ドイツやイギリスが特にエネルギー使用効率が悪いわけではありません。ド
イツの場合は、国内産で殆どがまかなえる石炭(亜炭・かっ炭が多い)から大部
分を輸入に頼らねばならない石油・天然ガスに依存することが産業競争力上どう
影響するかという議論に過ぎません。後述します様に、燃料転換にもコストはか
かりますから、ドイツやEUが楽をして削減できているかどうかは疑わしいです。

 イギリスについてもやはり石炭から天然ガス・石油への転換が進んでいますが、
1990年以降1997年までのそれによるCO2削減量は数%程度と思われ、エネルギー
消費がその間9%増加していることを考えるとトータルでは削減できていないと
思われます。

 つまり、ドイツ等の削減はあなたが言われる様なエネルギー使用効率の改善で
はなく、主に燃料転換によるものと考えられるということです。これは、石油の
使用割合が高い日本では削減余地が小さい(特にドイツの亜炭・褐炭は削減余地
が大きい)という議論はありますが、燃料転換にも削減コストはかかりますから
他の対策とどちらが低コストで出来るかという問題に過ぎず、日本も化石燃料由
来エネルギーのまだ2割程度は石炭に頼っていますので、それを石油に転換すれ
ば削減余地は有ります(天然ガスへの転換は、民主党が政策提言していましたが、
天然ガス輸送網において損失するメタン量は年間総生産量の2-4%と推測されて
おり(Sheppard1982、Seiler1884、Crutzen1987)、メタン1分子はCO21分子の
約20倍温暖化に資するとされていますから、日本の様に遠くから運んでくる国
では天然ガス輸送中の漏出を、石炭→天然ガスの転換で約2%以下、石油→天然
ガスの転換で約1%以下に抑えなければ、地球全体としての削減効果はなく逆効
果になりかねないことになります)。

 ですから削減容易性という点では、EUの方が有利であるかもしれませんが、公
平性という観点からは議論の余地があるでしょう。例えば、水力以外の自然エネ
ルギー・再生可能エネルギーの全エネルギーに占める割合は、日本は2.1%で、
EU全体で約3%、アメリカやカナダの約4%に比べ(1997)(IEA)、まだ努力の
余地があるでしょう。また下記の通り日本の省エネ努力も十分とは言えないでしょ
う。

 後の冬季の暖房の影響の話ともだぶりますが、イギリス・ドイツの例えばGDP
あたりのエネルギー消費量、一人あたりエネルギー消費量がEU国の中で多い方に
属する原因は、主に冬季暖房の影響が大きいと考えられます。

 例えば家庭用等その他用途のエネルギー消費が全エネルギー消費に占める割合
は、日本が14.1%(1人当たり石油換算576kg)であるのに対し、ヨーロッパ平
均27.1%(950kg)、ドイツ28.3%(1198kg)、フランス23.2%(982kg)、デン
マーク28.7%(1152kg)、イギリス26.2%(1020kg)、イタリア25.4%(723kg)、
アメリカ17.3%(1376kg)、カナダ16.6%(1305kg)等軒並み高く、特に冬寒く
生活レベルが高い国で高くなっています(1997年IEA、OECD)。この差は、排出
量差の大きな一要因が産業以外の民生部門の差−大きいものは暖房に用いるエネ
ルギー差、勿論日本が人口密度が高く家が小さいということも大きく影響してい
ます−に起因していることを示しています。

 例えば、GDPあたりエネルギーCO2排出量を並べてみますと、イギリス0.82、イ
タリア0.54、ドイツ0.89、フランス0.49、アメリカ1.12、カナダ1.05(トン
/1000 US$、1991年)で、寒い国大きい国で排出量の多い傾向が有ることがわか
ります(OECD)。

 例えばGDP当たりエネルギー消費を比較しますと、日本0.23に対し、カナダ
0.51、アメリカ0.43、フランス0.28、ドイツ(西ドイツのみ)0.28、イタリア
0.20、イギリス0.29、OECD全体0.34(原油換算トン/1000 US$、1991年)で
(IEA,OECD)、ドイツ、イギリス、フランス等と日本を比較すればその差は2割
程度で、上記家庭用等の差14%程度と、以前に書きました運輸部門の差5%程度
を加味すれば殆ど同じ程度となって、日本が省エネが進んでいると主張する根拠
は有りません。家庭用以外に商店・公共サービス部門でも暖房用エネルギー差は
出ているはずですし、日本が円高が1985年頃までに急激に進み、その結果先
進国中生活コストが非常に高い国になっていることを考えれば、逆に日本の方が
エネルギー効率が悪いといえるかも知れません。

 一人あたりエネルギー消費でみても、日本3.54に対し、カナダ7.84、アメリカ
7.65、フランス4.07、ドイツ4.35、イタリア2.75、イギリス3.78、OECD全体4.81
(原油換算トン/1000 US$、1991年)で、同じく寒い国大きい国で排出量の多い
傾向が有り、それを割り引けば日本のエネルギー効率は必ずしも高いとは言えな
いことがわかります。



>
>
> 2.「旧東独地域の経済崩壊の影響は、無視して良い」か?
>
>  この点について、
> <
> ・東独のGDPが4割減ったいう統計的根拠を示せ
> ・ドイツの原油消費量の主な減少は1980から1990年の間に起きている
> (=東独の経済崩壊の影響はない)
> >
> と指摘されました。
>
>  まず、GDPについてですが、統合後の旧東独地域のGDPデータは、統合さ
> れてしまっている以上簡単には解りません。
>  けれども、直接に証明できないから「まぼろしだ」と断ずるのはおかしい。
>
>  より2次産業の比率が低いロシアですら、1990から1995年の間に32%、炭酸
> ガス排出量が減っていることを考慮して、同レベル或いはそれ以上の減少が東独
> で起こったと見なすことは合理的です。
>  むしろ、”東独の経済崩壊の影響は軽微だ”とする、藤井さんの主張こそ、一
> 般常識に反します。
>
>  次に、原油消費量ですが、二つの点で温暖化ガス排出量を議論する為には無意
> 味です。
>  化石燃料としては、石油以外に、天然ガス、石炭等があります。ドイツのよう
> な石炭依存の強い国で、石油だけを見るのは不合理です。

 石油は手元に1990年の統計が有るのが石油消費量だけだったので付け足しに書
いただけで、前に書きました様にエネルギー消費量が殆ど増えていないわけです。
もういちど前に書いたことを以下に転記しますよ。
 すぐに出てくる手元のOECDの統計では、1987年から1997年の間にド
イツのエネルギー消費は5%減っているだけで、(すぐに出てくる手元の統計が
完備していないのですが)1987年から1989年の間でも5%近く減っているので、
1990年以降はあまり変わっていないかもしれません。


>  また、1990年と94年の比較もされていましたが、ドイツ統合に伴う1700万
> 人の人口増の効果はどう補正しているのでしょうか?
>

 補正も何も、統合前の統計は東と西を足したもののはずですが。


>  この二つの問題があるので、一人当たりの炭酸ガス排出量で見るのがベターで
> す。
>  統合直前の、1988年の排出量は、次のようになっています。
>
> 米国:5.79トン/人
> 日本:2.25トン/人
> 西独:3.25トン/人 東独:5.25トン/人
> 英国:2.95トン/人
> カナダ:5.10トン/人
>
>  驚く無かれ、東独の排出量はカナダよりも多かった。
>  藤井さんによると、
>
> 「ドイツの排出の削減は、主に統合以前に起こっている」
>
> そうですが、となると、東独は、未だに、こんなに大量の炭酸ガスを垂れ流して
> いるのでしょうか?
>  藤井さんは、西ドイツの排出量が多いことについて、色々弁護しておられまし
> たが(#3548)、その論法では、東独の大量排出は正当化できません。
>  せめて、旧西独と同じレベルにまで炭酸ガス原単位を改めるのが当然の義務
> で、その分(ドイツ全体の12%分に相当)は、京都議定書とは別カウントにす
> るのが当然です。そうでなければ、他国は納得しません。
>

 1986年の1人当たりエネルギー消費は、西ドイツ石油換算3.970t/人、東ドイ
ツ5.561t/人ですが、1989年には東西合計して4.042t/人と西ドイツのレベルに
なっています。GDPについても、西ドイツの一人あたりGDPは1987年の14,460
ドルから1989年は20,750ドルへと急増しています。だから、エネルギー効率の改
善は主に1990年以前に起きていると思われるといっているのですが。


>
>
> 3.「旧東独地域から西独地域へ生産移転しても、排出削減には寄与しない」
> か?
>
>  完全な誤りです。
>
>  同じものを同じ量だけ生産する場合、東独地域は西独地域よりも圧倒的に大量
> の炭酸ガスを排出します。それが、5.25トン/人という異様に高い値となっ
> て現れています。
>
>  東独地域の工場を閉鎖し、その分を西独地域の工場の稼働率アップでカバーす
> ると、炭酸ガス原単位の差の分だけ、まるまる排出量が減少します。
>
>  これは、西独地域の企業にとっておいしい話です。しかも、それで「地球に優
> しい」という事になる。
>  でも、それはまやかしで、”今までが酷すぎた”だけのことです。
>

 いえ、だから、上記の数字のとおり、エネルギー効率の改善は主に1990年以前
に起きていると思われます。1990年以降のドイツのCO2排出量削減は、主にエネ
ルギー転換によるものです。


>
>
> 4.「ドイツの排出量が多いのは、冬が寒いからである」?
>
>  そうか、すると、ドイツの夏は、日本の大阪並に暑くって、クーラーも、日本
> 並にガンガン使っているのかな?
>

 平均気温0℃近い冬の室温を十数℃にまで上げるのにかかるエネルギーと、平
均気温二十数℃の夏の室温を二十数℃に冷やすのと、どちらがべらぼうにエネル
ギーが要るか、少し考えればわかると思いますが。夏の冷房のエネルギー必要量
なんか、寒い国の冬季の暖房エネルギー必要量に比べれば少ないものです(これ
から温暖化がうんと進めば、都市廃熱の影響も有りますし、変わってくるかも知
れませんが)。


>  失礼ながら、#3548は、真面目に反論する気の失せる噴飯ものの内容ですが、
> ちょっとだけコメントとしておきます。
>
> 藤井さん;
> a)運輸部門のエネルギー消費量割合が日本がOECD諸国(の平均)に比べ非常に小
> さいのは、国土が狭いせいである
> b)国土の広いアメリカでは、上記一人あたり道路交通量は1万4、200kmにもな
> る
> c)ドイツは冬季の暖房に石炭等を大量に燃やしている(だから排出が多くても仕
> 方ない)
>
> コメント:
> a)OECDの中には、アメリカも入っていますね。
>  国土は狭いけれど、その分都市部では渋滞が多い。
>  日本は小型車が多い。
>    等々の影響を含めないと、分析としては物笑いの種です。

 日本の輸送エネルギーが少ないのは厳然たる事実です。

 前に英文で書きました様に、移動発生源からのCO2排出割合は日本19.5%に対し、OECD
国平均は24%です(1989)(OECD report)。1990年度エネルギーバランス比較で
も、日本の運輸部門のエネルギー消費の割合23%(資エネ庁)に対し、OECD全体
のそれは31.3%(IEA)です。

 前に書いたことをもう一度転記しますが、
 例えば一人あたり道路交通量は日本は5,100kmで、ドイツは6,600km、国土
の広いアメリカは1万4、200kmにもなります(1991)。(OECD、国際道路連合統計
による)。

 渋滞が多くとも、運輸エネルギー消費割合が他国に比べ少ないことは歴然とし
ています(上記は全体に占める割合や一人あたりですが、特にGDPあたりの運輸
部門エネルギー消費で比較するとより明らかです。上記の通り、日本は家庭用等
の排出割合が少なく、産業部門が運輸部門に比べ排出割合が高い特徴を有します)。

 小型車が多いのは、主に国土が狭いからであって、省エネのために皆がそうし
ているわけでは無いと思いますが。


> b)すると、アメリカは炭酸ガス排出量を削減できなくても、仕方ない、と言うこ
> とになるのですか?

 国土が広い以上、その分排出が多くなるのはある程度止むを得ないのではない
でしょうか。しかし削減できなくても良いことにはなりません。京都議定書の削
減目標は1990年時点の排出量からの削減割合ですから、運輸部門の排出が多くて
も、多いものを決められた割合で削減すればよいわけです。


> c)燃やす方が悪い。天然ガスや石油に早く切り替えよ。
>

 天然ガス・石油への転換はごもっともで、上記の通りそれが行なわれてきたこ
とがドイツの削減につながったと言うことだと思います。


>  以上の指摘は、末節です。
>  #3548の藤井さんの主張には、より根本的な矛盾があります。
>
>  #3548の様に、個別の国毎の経済、社会、産業の状況を分析して、削減可能性
> を積み上げ、合理的な削減目標を定めるという、方法自体には大賛成です。
>  しかし、京都議定書の6%、7%、8%の目標は、そうして決まったものです
> か?
>  違います。
>

 個々の国の排出量が国情で多かろうと少なかろうと、どこの国もそれを6%な
りの削減をする努力をしようという目標は、一応妥当性が有るでしょう。それに
国情(EUバブル等も)を考慮して、削減割合に多少の調整を行なった結果が上
記の京都議定書の削減目標値だと思いますが。

 だから逆に、日本が3.8%も森林吸収で認め実質2.2%の削減でよいことに
しろというのなら、その根拠を示すべきだと思います。上記の通り決して他国
に威張れる状況でない過去の省エネ努力とか、地下鉄まで温暖化対策援助に入れ
たODA額とかでこの数字を引き出したのでは、まやかしです。ドイツ等にエネ
ルギー転換の余地があり、日本にはその余地が少ないことから削減率の軽減を考
慮しろと言う理屈はそれなりに正当性が有り得るかも知れませんが、エネルギー
転換にもコストが必要ですから、それが妥当かどうかは疑問の余地もあります。
例えば、日本の事例について、石炭を天然ガスに転換した場合のコストを計算し
た事例がありますが、0.9万円余/C-tのコストがかかると試算されています(地
球環境工学ハンドブック、オーム社、p.521)。このくらいの価格で出来る他の
対策も沢山ありますし、もっとコストの掛かる対策も沢山あります。例えば、
2005年におけるCO2削減量の内訳という試算によれば、1万円/C-tで出来る対策
を取った場合の削減量は27MtCと試算されていますから(地球環境工学ハンドブッ
ク、オーム社、p.522)、日本の排出量の8.4%くらいに相当することになります。
従って、ドイツの燃料転換にも上記程度のコストが掛かり、この試算がほぼ正し
いとすれば、日本もドイツと同程度の投資をすれば削減は出来るわけで、ドイツ
がしていることを、日本はしないで文句を言って削減量をまけてもらう根拠はな
いことになります。


>  すなわち、藤井さんが#3548で議論した手法が合理的で必須のものである
> ならば、その様な分析に基づいていない京都議定書の正当性は、失われます。
>
>  自分で自分の主張(京都議定書)を否定されては、困りますね。
>

 京都議定書は、一定割合削減しようと言う発想からできていますので、あなた
が言う様な不合理性は有りません。それを「京都議定書の否定だ」などというあ
なたの姿勢は相当に歪んでいます。私は、本当に日本は省エネが進んでいるのか
どうか(日本が削減量をまけろといっている口実が正しいか)を議論しただけで
す。

 「真面目に反論する気の失せる噴飯ものの内容」といった事実無根の汚らしい
暴言はやめて欲しいものです。


>
> 5.おまけ:環境税について
>
> 藤井さん(#3536)<
>  1997年の環境庁の環境税検討では・・・・
> ガソリン1リットルあたり2円程度の環境税を掛け税収を補助金に使用する低税
> 率型
> ガソリン1リットルあたり20円程度の環境税を掛け税収を一般財源に用いる高税
> 率型
> 等の複数案の環境税が検討され・・・温暖化対策が実現可能であり、
> 低税率型ではGDPへの影響も- 0.06%程度と小さいものとの試算がなされてい
> ます。
> >
>  私は環境税には必ずしも反対ではありません。が、このご意見はダメです。
>
>  低税率の場合、補助金が期待通りの温暖化ガス排出削減効果を上げてくれなく
> てはダメです。
>  そのためには、補助金が有効に利用されているかどうか、チェックされなけれ
> ばなりません。
>  しかし、日本は、そういう機構が非常に弱い。これから整備して行かなければ
> ならない状況です。
>  しかも、たとえそういう機構が機能したとしても、技術開発は水物で、金をつ
> ぎ込んでも上手く行くとは限りません。
>  環境庁は、”補助金”に対して、適当な係数をかけて投入金額の一定割合が排
> 出削減に寄与すると計算しているのでしょうが、その係数には、一体どの程度の
> 合理性があるのでしょうか?

 非常に低税率の環境税をかけ、年間1兆円の税収でも、例えば上記の10倍の
10万円/tCで出来る対策を行なったとして、年間1000万tCもの対策が出来るこ
とになります(これは1990年の排出量の3%余にもなります。勿論10%でも20%
でもいつもこんなに都合良くお金をつぎ込んで出来る対策が有るとは限らないか
もしれませんが)。
 例えばこれで、熱帯材燃材購入の補助をすれば、重油燃料を約4000万トン薪発
電に変えることが出来ます(他に設備投資も要りますが)。これは、日本のCO2
排出量を1割近く削減できることに当たります。
 また例えば、これを全額太陽電池の補助金に充てれば、現状の補助率
(12万円/kw)で計算しても約833万kWの太陽電池が設置できます。太陽電池
の稼働率を10%としてもこれは83万kWの原子力発電所を代替できます(これは
エネルギー消費の0.2%程度に当たりますから、これを10年続ければ2%程度
の削減になります)。そのうちに太陽電池のコストも下がって補助金も僅かで普
及する様になると思われますから、これだけで対策が出来るかも知れません。

 このように考えれば、低率(リットル当たり2円程度)の環境税で得られる1
兆円程度の税収でも、有効に使えば十分対策が可能であることがわかります。そ
の上に環境税の省エネ効果もあります。無論あなたが書かれている様に、使途を
十分吟味することは是非ともせねばならない重要なことです。しかし、あなたの
は、やる前から出来ないとかなんとか口実をつけて、温暖化対策を渋っているだ
けに過ぎないと思います。他にもっと削減に有効で効率的な方法が有るでしょう
か。早急な温暖化対策は、地球を守るために必須のことだと思いますよ。


>
>  高税率の場合、現在の不況下の日本では、採用は不可能です。
>  また、ガソリンは、価格弾力性の小さな商品です。20円程度の税で効果があ
> るとは、一体どういう根拠に基づくのか、大変に疑問です。
>
>  要は、環境税はやってもいいが、過大な期待は禁物で削減量の国際公約なども
> ってのほかである、というところですか。

*********************************************************
藤 井 久 雄(fujiihi@nisiq.net)
森林NGO緑友会(森林・林業・自然と研究のためのNGO)事務局
http://www2s.biglobe.ne.jp/~ryokuyu/ E-mail ryokuyu@nisiq.net
TEL 090-1800-4721
*********************************************************


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