[BlueSky: 3564] Re:3563 排出削減と構造改革


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Mon, 30 Jul 2001 11:54:24 +0900

今日は葛貫です。

一ノ瀬さん、丁寧な説明、ありがとうございます。

吉野川の第十堰や、農薬とGMOのスレッドの時のように、論点を
ずらして一ノ瀬さんを呻吟させてしまうと申し訳ないので、整理させ
て下さい。

現在の”大量生産大量消費社会”を維持する場合、

温暖化ガス排出削減の推進は、産業、運輸面でのエネルギー原単位が
高く、コスト高の原因となって産業競争力を圧迫している場合は、
経済の発展の妨げにならない。

現状では、これ以上に削減しようとしても、既存技術では設備投資等の
コスト負担が、原単位低減によるメリットを上回るため、経済成長に
マイナスに寄与してしまう。

新技術導入により、この状況を打破できる可能性はあるが、新技術には
リスクが伴い、それは、日本を未知の新技術の実験場にしてしまうこと
を意味し、国民にかかるコスト負担も増す。

削減のための努力をするのは問題ないのだけれど、削減目標を国際公約
してしまうことには、非常に大きなリスクが伴う。

社会のあり方を見直し、環境負荷の小さい社会に変えて行くことも考え
なければならない。

***********

既存の産業を縮小/消滅させる一方で、スムーズに新規産業が立ち上がら
なければ、大きな雇用のミスマッチが生じる。環境負荷の大きなものの
生産を止めて、環境負荷の小さなものの生産にヒトとカネをシフトさせ、
なおかつ、その環境負荷の小さなものを、消費者に喜んで買って貰わな
くてはならない点に、環境適合型構造改革の難しいところがある。

************
 
特に今は時期が悪く、普通の政治家ならば、このような危険度の高い改革
には二の足を踏んでも当然で、深刻なリスク−−痛み−−が伴うことを、
正しく国民に説明せずに、「やれば簡単に出来るのに、やらないのは、
政治家が企業寄りの姿勢であるためだ」だと言い切ってしまうのは、
如何なものか。

ということですよね。

国単位で考えると、手も足もでないような気がしてきて、ため息が出ちゃい
ますよね。

「経済成長」が、どの時点と比較しての「成長」か、考えてみる必要も
あるように思われます。バブル期を基準にしては、どうしようもないん
じゃないかなとも思うのですが、その頃の金回りを基盤にして、様々な
企業が経営を拡大してきたわけで、通常(?)の状態に戻すのは大変です
よね。

>  環境NGOの方々は、結局環境の事しか見ていない様に感じられます。
>  環境のことだけ考えることが許されるのならば、環境問題など、とうの
>  昔に解決してしまっています。

問題提起する時は、まず、自身のメリットをあげ、相手の持つデメリット、
陥りやすいリスクを指摘する(あげつらう?)ことになるのだと思います。
そこに留まらず、どう、新しい解決策を形作って行けるかが、今後の課題に
なるのだと思われます。
*****で、囲った範囲のことを、上意下達の形で達成するのは、至難の技で、
良識のある環境NGOとの連携は、大切なことのでは。

リアルワールドで激烈に(?)「自分の正義」を主張する人と、どうしても
何処かで折り合いをつけなければならない場面に行き合ったことがないから、
こんな暢気なことが言っていられるのかもしれませんが・・・・・。




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