[BlueSky: 3548] Re:3546 ドイツは33%削減せよ


[From] "Hisao Fujii(藤井 久雄)" [Date] Mon, 23 Jul 2001 06:44:19 +0900

一ノ瀬殿
森林NGO緑友会 事務局 藤井久雄

 相変わらず客観性を欠いた投稿を繰り返して、日本の産業優先・環境軽視、国
家エゴの片棒をかつがれるのはいい加減になさるべきではないですか?


On Sun, 22 Jul 2001 23:33:36 +0900
ICHINOSE-Takeshi <Nose@t.email.ne.jp> wrote:

> 尼崎市の一ノ瀬です。
>
>  NGOの方々には、EU(=ドイツ)の温暖化ガス排出の削減目標が、如何に
> 見せかけだけのものであるか、そして、日本に課されている6%削減が、如何に
> 過酷なものであるかということを、もう少し理解していただきたいと思います。
>
>
> 藤井さん#3542<
>  東独の排出減少は、あなたがお書きになったように大きなものではないと思い
> ますが。・・・1987年から1997年の間にドイツのエネルギー消費は5%減ってい
> るだけで・・・・1990年以降はあまり変わっていないかもしれません。他のEU
> 国の1987年から1997年の間のエネルギー消費は軒並み増えていますから、(EU
> の排出削減を)ドイツの削減でまかなえるというような状況とはほど遠いと思い
> ますが。
> >(カッコ部、一ノ瀬が付加)
>
>  まず、ドイツの削減でEUの削減はまかなえない、と言う主張は、京都議定書
> での削減分担と矛盾します
>  最大排出国のドイツと、イギリスの削減で、EU全体の削減の90%をカバー
> しています。
>

 EU内の排出分担はEU内で決めることで京都議定書で決めることではありま
せん。京都議定書で決めているのはEU全体で1990年排出量より2010年
に8%削減ということだけです。


>  次に、そのドイツの削減の内訳ですが、確かに、東独地域の経済破綻だけで全
> てをカバーするのは無理でした。しかし、計算してみると、ドイツの削減目標2
> 1%の半分をまかなっていることがわかります。
>
>  計算に当たっては、藤井さん提示の”OECDのデータ”は使用しませんでした。
> 私の手元にない上に、”エネルギー消費”ではなく、CO2排出量が必要だから
> です。
>

 確かに京都議定書で重要なのはCO2排出量ですが、エネルギー消費以外のC
O2排出は先進国では殆どが製品・廃棄物の廃棄後の排出でしょうから、輸出率、
リサイクル率、製品歩留まり等に左右されますが、例えば石油についてはエネル
ギーとして使用しない割合は、1973のKeelingの推計で8.5±6.1%で天然ガス・
石炭はもっとずっと少ないです(例えば日本の1996年の石油製品に占めるナフサ
の割合は6.76%です)から(その他に木材等の有機資材もありますが例えば日本
の年間木材消費は年間CO2排出量の1割程度と思われます)、大きな量は占めな
いと思われます。


> *計算
> ・旧東ドイツの人口は、旧西ドイツの3.7分の1
> ・旧西ドイツ人の排出量:3.31トン
> ・旧東ドイツ一人当たり排出量は不明なのですが、旧ソ連よりはかなり
>  多かったとみられるので、仮にカナダの値を使う。
>
>  旧東ドイツ圏のGDPとエネルギー消費は4割減ったと言われています。
>  これに従って、旧東ドイツ地域のCO2排出が40%減ったとすると、それだ
> けで10%以上CO2排出は減少することになります。非常に大きいと思いま
> す。
> (排出量のデータについては、
> http://www.atom-enecho.meti.go.jp/energy/graph/e02-24.html を利用)
>

 これでは何の統計的根拠もないのと同じではないですか。少なくとも「4割減っ
たと言われている」のが本当かどうかの統計的根拠を示すべきでしょう。また、
本当に大幅に東ドイツ圏のGDPとエネルギー消費が大幅に減っていたとしても、
それは大部分が西ドイツ圏への生産シフトかもしれず、ドイツ全体として見ねば
意味はありません。例えばドイツの原油消費量は1980年が1億2,190万トン、
1990年が9,640万トン、1994年が1億830万トンで、主な減少は1990年以前に起き
ています(国連エネルギー統計)。


>  更にいうなら、ドイツは、元々一人当たりの排出量が非常に大きいことが問題
> です。
>
>  先ほどのサイトで、一人当たり排出量を比較すると、日本はドイツに比較して
> かなり少ないことが分かります。
>  一般に排出量は、経済・産業構造に大きく影響されるので、産業構造が異なる
> 国同士を単純に比較しても無意味ですが、ドイツと日本は、どちらも輸出立国の
> 工業国なので、比較には妥当性があります。
>
>  データによると、1990年基準でドイツが21%削減しても、2.61トン
> /人で、同じく1990年日本の2.35トン/人にも、1995年の2.50
> トン/人にも及びません。
>  仮に、日本が要求されている6%削減を達成した場合、2.2トンに減ります
> が、ドイツがここまで減らそうとすると、33%の削減率が必要になります。
>  ドイツは、10%の下駄を履かせて貰っても、21%しか削減できません。そ
> れ以上は目処が立たないからでしょう。
>

 当方の書いた要望書くらいは読んでから発言してください。

On Sun, 15 Jul 2001 18:09:20 +0900
"Hisao Fujii(藤井 久雄)" <fujiihi@nisiq.net> wrote:

>  世界的にも最低レベルの、水力を除く自然エネルギー・再生可能エネ
> ルギー導入率、環境に配慮した税制を殆ど導入していない先進国中希な
> 国という事実からもわかる様に、CO2削減努力が世界的にも著しく不
> 足している日本が、アメリカの京都議定書離脱表明を悪用し京都議定書
> 存亡のキャスティングボートを悪用して、京都議定書の抜け穴を拡大し、
> あるいは自国に有利な条件を引き出そうとしてる交渉姿勢は、国際的に
> も国際倫理上も許し難い行為と考えます。
>

>  日本政府・産業界は過去に省エネを進めてきていることを強調してい
> ますが、日本は国土が狭く人口が密集しており輸送に掛かるエネルギー
> が少ないこと、冬季に著しく寒い地域が少ないこと、GDPについては9
> 0年前に急速に円高が進みまた生活コストが諸先進国と比して高いと言わ
> ていることを考えると、日本の、先進国平均よりやや低い程度の1人当
> たりエネルギー消費量、低いGDP当たりエネルギー消費量は、必ずし
> も省エネ努力によるものとは言えず、割り引いて見なければなりません。

 英文要望書http://www2s.biglobe.ne.jp/~ryokuyu/tok0132.htm#yobo_e
の方に、より具体的統計数字も挙げておりますので引用しておきます。

> The Japanese Government and the Japanese industry emphasize the
> Japanese advances in the energy savings in past years, but the
> transport energy requirements in Japan are smaller than those of many
> other countries due to the narrower national land area and high
> population density (Japanese CO2 emissions from moving sources is
> 19.5% of the total energy CO2 emissions in 1989, whereas in total of
> OECD countries 24% emissions is from moving sources, according to the
> OECD report), and the heating energy requirements in Japan are also
> smaller because the areas where it is very cold in winter is
> relatively limited in Japan. Furthermore, regarding the GDP, the
> exchange rate of the yen has risen rapidly before 1990 (1 US dollar
> was 280.00 yen in Dec. 1973, 232.00 yen in Dec. 1983, and 135.40 yen
> in Dec. 1990 and it is 124.27 yen in Jun. 2001) and the living cost
> in Japan is said to be higher than in many other developed countries
> (the living cost in Tokyo is 154.3 when that in New York is 100,
> according to the survey in 1998 by Swiss private institute). For
> these reasons, the Japanese per capita energy consumption which is a
> little lower than the average of developed countries, and the very
> low Japanese energy consumption per GDP are not necessarily the
> results of the past efforts of energy savings, and a considerable
> part of them should be discounted.

 少し補足しておきますと、例えば日本の一人あたり道路交通量は5,100kmで
ドイツは6,600kmです(1991)。上記の通り、これは主に、運輸部門のエネル
ギー消費量割合が日本がOECD諸国に比べ非常に小さいことからもわかる様に、国
土が狭く運輸にエネルギーが要らないからです。国土の広いアメリカでは、上記
一人あたり道路交通量は1万4、200kmにもなります(OECD、国際道路連合統計
による)。

 またドイツの多くの都市の1月の平均気温は0℃前後で、日本の東北北部くら
いに相当します。その結果、ドイツは冬季の暖房に石炭等を大量に燃やしており、
例えば冬季のSO2濃度は夏期の数倍に上昇します(1987、BLfU)。また上記要望
書に書きました日本の円高と生活コストの高さは皆様良くご存じでしょう。

 こういった国情の差を無視して、日本は省エネが進んでいる等と主張し、日本
にだけ森林吸収の抜け穴を大きくさせる等の特例措置をとらせようとしている日
本政府や、あなたの姿勢は、詐欺にも等しい国際倫理上許されない行為と考えま
す。

 あなたは「平等」が重要と言われていましたが、平等を欠く主張をしているの
は主に日本やアメリカだと思います。例えば、一ノ瀬さんが削減義務を要望して
おられた途上国については、現在の一人あたり排出量が多くは先進国の数分の1
以下なのですから、平等と言うことを徹底するならば、先進国が現在の半分に削
減するならば途上国は現在の何倍かのレベルに抑えましょうということになると
思います。過去の排出量の責任は、もっと先進国に重いでしょう。その意味で、
当面途上国に具体的数値削減目標を負わせないとした京都議定書の内容は平等で
あると言えるでしょう(現実の温暖化の切迫した状況を見ればそんなことは言っ
ておれないという意見は有ると思いますが)。


On Sun, 22 Jul 2001 23:33:36 +0900
ICHINOSE-Takeshi <Nose@t.email.ne.jp> wrote:

>  日本に要求されている6%の削減が、如何に厳しいものであるか、この比較か
> らも明らかです。
>  まともに達成することなど、純技術的には不可能なのです。

 技術的に不可能でなく、こうやって実現すべきと言う方策案も、私ども森林N
GO緑友会の要望書には記載しています。そもそも、環境税も導入せず、水力発
電以外の自然エネルギー導入率2%程度という様な努力不足の国が、言うべきせ
りふでは有りません。




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藤 井 久 雄(fujiihi@nisiq.net)
森林NGO緑友会(森林・林業・自然と研究のためのNGO)事務局
http://www2s.biglobe.ne.jp/~ryokuyu/ E-mail ryokuyu@nisiq.net
TEL 090-1800-4721
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