森林NGO緑友会 事務局 藤井久雄様へ
尼崎市 一ノ瀬より
ご意見どうも有り難うございました。
ただ、やや感情的な筆致が目立ち、内容に散漫の嫌いがあったのが残念です。
ご指摘の主要と思われる点について、以下に私の意見を述べます。
論点:「産業・経済偏重」
藤井さん<
アメリカや日本の様に、産業・経済を偏重して環境をなえがしろにし、出来る
だけ国内努力をせずに済む議定書にしようとしているのが本音で交渉されては、
まとまりようが無いのではないでしょうか。
>
確かに、本音で言えば、私が京都議定書に反対する理由は、
「あれを、もし額面通り100%実行すれば、日本の産業・経済は破綻する」
「正味の6%削減を保証する、技術的裏付けが全くない」
という危機意識に寄っています。その意味で、ご批判は当たっている部分もあり
ます。
が、日本の場合、
「EUに20年先駆けて省エネ、環境改善のための国内努力をしてきた」
「東独効果が入っているはずの95年時点でなお、一人当たり排出量は、日本よ
りドイツが多い」
「EUは、20年以上に亘って、対策を採らずに炭酸ガスを垂れ流してきた」
「そして、その責任については、口を拭っている。NGOも同断」
事実を忘れないでいただきたい。
民生面ではEUに学ぶべきところが少なくありませんが、産業面では、明らか
に日本が優れています。
また、”90年基準”を持ち出すことで、それ以前の20年間無策の責任を糊
塗しています。
こんな取り決めをされては、憤懣が吹き出すのも当然です。
日本は、既に産業面では、導入できる主立った省エネ技術は、殆ど導入しきっ
ているといっても過言ではありません。
産業面におけるEUの省エネ技術導入の遅れについては、藤井さんもご存知の
筈です。
逆に、EUは、日本で実用化され、有効性が確認された技術をそのまま導入す
れば、容易に温暖化ガス排出削減が実現できます。
であるが故に、日本の温暖化ガス排出削減は非常に難しい。
”2%の差を付けた”と仰っいますが、技術的な合理性の全くない、政治的な
誤魔化しの産物でしかありません。
アメリカの場合は、基本的にやる気がないのが原因とも言えますが、1)自動車
の燃費の革命的な改善、2)自動車依存の社会構造を改革、のどちらかが実現でき
ないことには、温暖化ガス排出削減のめどが立てられないと言う事情はあると言
えます。何れも、2010年までに実現する目処はありません。
加えて、現在アメリカは電力不足に直面し、アメリカ発の経済後退の一因とな
っています。(しかも、EUは、世界の景気後退の原因はアメリカにあるのだか
ら、何とかしろ、って迫っていますね。まぁ、気持ちは分かるけれど、アメリカ
に景気浮揚を迫る一方で、温暖化ガスの排出削減も迫るとは、端から見ると甚だ
矛盾しています。)一層難しいと言えるでしょう。
要は、私は、当面の、産業・経済の活力維持を重視する立場です。
最低限の経済成長を維持できていない状況では、技術革新のための投資資金が
捻出できなくなって、排出削減のため努力は「持続」できません。
”恒産無くして恒心無し”の諺通り、経済状況が悪化する一方では、国民自体
が、環境問題を、二の次三の次の課題としてしまって、省みなくなります。
その様な状況が定着してしまえば、万事は窮します。
なお、失礼な物言いになってしまいますが、日本のNGOというのは、無茶な
ことを政府に要求するだけで、その実行までは一切責任を負おうとしていないよ
うに見えます。
技術的な裏付けもないまま、削減を強要し、その実施は政府任せ、がNGO
だ、というのでは、情けない。
(ちなみに、#3535の環境税の話、あれじゃダメですよ。ちょっと考えれば、理
由は解るはずです)
結局、国民一人一人が、痛みを負うことを求めなければならないのならば、そ
れは、政府や政治家に要求すべきことではありません。例えば、NGOが先頭に
立って、具体的な項目について、痛みを負うことを誓った署名を、一千万件も集
めるべきだと思います。
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