[BlueSky: 3275] 書評その他


[From] "yuichiro komiya" [Date] Mon, 7 May 2001 21:27:15 +0900

小宮です。みなさんゴールデンウィークはいかがお過ごし
でしたでしょうか?小泉政権もいよいよ経済改革に向かって
本格始動するみたいですが、どうなるんでしょうね。

ゴールデンウィークに、このMLで出てきた話題に関係のある
本を何冊か読んだので、その書評を少し書きます。個人的な
意見なので、あまり参考にはならないかも知れませんが。

○経済のニュースが面白いほどわかる本[日本経済変]
  −細野真宏(中経出版)
「小学生にも分かる」と書いてあるとおり、日本経済のしくみを
イラスト入りでシンプルで分かりやすく解説した経済入門書。
断片的な経済のニュースが、まとまって全体的に見渡せる
ようになる。日本のバブル経済の原因と結果、公共事業の
効果と問題点、不良債権、経常黒字と景気の相関、あたりが
ためになりました。もちろん、経済のことに詳しい人には物足り
ないと思います。

○虹の解体ーいかにして科学は驚異への扉を開いたか
 −リチャード・ドーキンス/福岡伸一訳(早川書房)
科学がどれほど詩的な喜びと驚異を与えてくれるかを中心に、
様々な項目に関して述べたエッセイ集。ドーキンスのユーモア
あふれる文章が楽しい。項目では、擬似科学,オカルト,反科学論
批判、利己的遺伝子論に対立する意見,グールドやフランス・
ドゥ・ヴァ−ルの批判、ヴァーチャル・リアリティ、ミームあたりが
MLでの話と比較できて興味深かった(全部にうなづけたわけ
ではないが)。この本からみると、ドーキンスはミームをかなり
遺伝子に近いものと捉えているのではないだろうか(ミームが
正統的ダーウィニズム的な意味で淘汰の対象になるか、
ミームの感染力に差があるか考察している)。また、MLでも
紹介されたスーザン・ブラックモアの「ミーム・マシーンとしての
私」も賞賛してとりあげている。

○日常生活を経済学する
−デイビッド・フリードマン/上原一男訳(日本経済新聞社)
人が合理的に行動すると仮定することで、集団としての人の
行動を説明する、経済学の啓蒙書(?)。補助金は国民にどう
影響を与えるか、英雄が敵に囲まれたとき生き延びるにはどう
すればいいか、自由貿易はどう国民に利益を与えるか、
どろぼうから家を守るにはどうすればいいか、なぜ多くの国民
は政治に無関心か、なぜ先進国では農作物に関税がかけら
れるか、政治、宗教、犯罪、愛情と結婚などなど…様々な人間
活動を経済学の基本原理の応用、わかりやすい図解と言葉を
用いた価格論の基礎を用いて説明する。個人的には一番の
お勧め。


あと、関係ないですが、昨日5日の日経新聞にナノテクノロジー
の特集がありました。僕はあまりよく知らなかったんですが、
ナノテクというのもかなり現実的になってるんですね。
カーボンナノチューブや量子半導体が実現されたら、環境問題
解決の大きな一歩につながらないでしょうか?(特に資源問題
解決に)









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