[BlueSky: 3240] Re:3220 企業活動の拡大


[From] "yuichiro komiya" [Date] Sat, 14 Apr 2001 00:25:13 +0900

ゲンゴロウさんこんにちは、小宮です。

> 企業が経済環境という「企業の外」の状況に目を向けて、
> どのように業務を行って利益を上げて行くかを考える場合に、
> 企業はその企業維持を考えるのか、それとも拡大を測ろうとする
> か、それによって企業の行動も違ってきます。
> しかし、これは考えるに及ばずで、企業は、もう絶対に
> 拡大路線を走りますね。

ゲンゴロウさんのお話を伺って思い出したのですが、企業の
活動が拡大するということを危惧していた本を昔読んで感銘を
受けた覚えがあります。断片的で申し訳ありませんが、ちょっと
引用してみます。


「私の先生であるオスカール・ハインロートは彼らしい激しい
調子でよくこういったものである。『現代人の労働のテンポは、
セイランの風切り羽についでもっともばかばかしい種内淘汰
の産物だよ。』ーセイランの場合、似たような構造を持つ多く
の動物同様に、環境の影響が、種内淘汰によってその種が
奇怪かつ最終的には破局につうじる進化の方向をたどるの
を妨げている。人間の文明の発達に対しては、このように
有益な調節をしてくれる力はまったく働いていない。人間は
不幸にも、自分の種の外にある環境のあらゆる力を支配す
ることを学んだが、自分自信についてあまりわずかしか知ら
なかったために、種内淘汰の悪魔的なはたらきをどうしよう
もなくほっぽらかしてきたのである。

今日の人間の心にもっと大きな障害を与えているのは何な
のか、問うてみなくてはなるまい。それは盲目的な金銭欲
なのだろうか、それとも人をくたくたにする忙しさなのだろうか。
ーけれど私には、所有欲やより高い地位に対する欲望、あ
るいはその両者に対する欲と並んで、不安、競争で負ける
不安、貧困化の不安、誤った決定を下す不安、全体的な苦
しい状況に耐えない、あるいはもう耐えられないという不安
ーがきわめて重要な役割をはたしていることも大いにありそ
うに思われる。

たとえ地球の人口過剰は今日おそれられているほどには
進行すまいという根拠のない楽観的仮定をするとしても、
人間どうしの経済的競争はそれだけでも人類を完全に滅ぼ
すのに十分であるとみなさねばなるまい。正のフィードバック
をともなうあらゆる循環過程はおそかれはやかれ破局に至る
し、ここで問題にしている過程は、そのような循環過程をいく
つか含んでいる。常に速まる労働テンポにもとづく商業的な
種内淘汰以外に、ヴァンス・パッカードが多くの本で注意を
喚起している第二の危険な循環過程も働いている。そしてこ
の循環過程のおかげで、人間の欲求はどんどん高まる結果
になっている。いかなる生産者も当然彼らが作り出す商品に
対する消費者の需要をたかめようとする。

フィードバックされた生産と需要の高まりという悪循環の結果
生じる浪費的構造は、西側諸国とくにアメリカにとっては、その
住民が東側諸国の浪費的でもなくより健全な住民達ともはや
競争できなくなる結果、おそかれはやかれ破滅の原因となる
であろう。だから消費者の生活水準を高めることを報酬として、
血圧を高め神経をすりへらす隣人との競争を消費者に続けさ
せ、それに「条件付ける」というこれまでのやり方に固執するこ
とは、資本主義の権力者の立場からみて、きわめて近視眼的
である。」

…「文明化した人間の八つの大罪」コンラート・ローレンツ(新思索社)

これはだいぶ昔1970年頃の本なのですが、現在の状況を
かなり的確に予想していると思います。でも、いくらローレンツでも、
東欧やアジアを含めた世界中に大量消費システムの資本主義が
広がるとは思ってなかったかも知れませんが。


>
> で、思うのですが、人間に期待しないで規制をかけるという
> 考え方もありますが、規制とか規則も、人が理解しなければ
> 裏では、やりたい放題の社会が出来てしまいます。
> 規制は理解の上にあるものにしたいものです。
> つまり、規制が社会の風潮を作り出し、規制などはもう
> いらないというくらいの風潮を作り出してしまえば良い
> のかもしれません。
ー中略ー
> でも、いないわけですから、もう私たち自身が、
> 自らの統率者になるしかない。。すなわち、私たちの
> 全体の意思(風潮)が、指導者の役割を果たせるチャンスが
> その辺に見えます。


そうですね。そのためには、やはり世界中の人がより正しい現状の
情報を知って、環境に対する意識を高めることが必要なのでしょう
か。現在はインターネットというものがあるので、それほど無理な話
でもないでしょうね。









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