いわおさん みなさん
須賀です。
いわおさん:
> 校庭(園庭?)で待っている間に気づいたのですが、あっちこっちの桜の木の
> 周辺に、大きなマルハナバチらしきのがブーンと飛んでいました。大きいから、
> よく知らない人はきっとすごく怖がるだろうと思いましたが、幸か不幸か気づ
> いた人はほとんどいなかったみたいです。
>
> 桜の花に惹かれてきたのかと思ったのですが、花に寄るのではなく、少し離
> れたところで一点にホバリングしていました。
>
> これは何をしているところなのか、どなたか教えていただけませんか?
>
> 2個体が出会って激しく喧嘩しているような姿もあったので、縄張りを作っ
> てるのかなと思いましたが、なんのためのなわばりなのか。
むずかしいけど、面白い話しですね。
いわおさんにこんなことをきくのは失礼かもしれませんが、
マルハナバチでなくて、クマバチかもしれませんね。
クマバチはなわばり行動をする、という話しをきいたことが
ありますが、勉強不足で文献は知りません。
マルハナバチもクマバチも今ごろの季節にでてきて
おなじようなムードを漂わせながらブーンととんでいる
のをみることができます。どちらも太くてまるっこい大きな
ハチです。藤棚の紫色の花に両方の種類が何匹も同時に
ブンブンうるさくおとずれているのをみたことがあります。
クマバチは胸部の背中側に黄色い毛が密生していて、
胴体はほとんど毛がみえず、黒光りしています。マルハナ
バチは胸部にも胴体にも背中側にふさふさした毛がはえ
ていますが、毛の色はマルハナバチの種類によってちがい
ます。クマバチは胴体が黒光りしているだけでなく、はね
も黒っぽくて、全体にサイズがマルハナバチよりやや大きめ
なので、慣れれば簡単に見分けられます。
クマバチもマルハナバチも図鑑などにつかわれている和名
ですが、一般につかわれている呼び名でクマンバチという
のがあるのでちょっとややこしいです。クマンバチはスズメバチ
をさすこともあり、また場合によってはマルハナバチも一括して
クマンバチという呼び名でいわれることがあるかもしれません。
スズメバチは肉食性のカリバチのなかまで、クマバチとマルハナ
バチは蜜と花粉で子育てをするハナバチのなかまです。カリバチ
のなかまを英語ではwaspといい、ハナバチのなかまをbeeといい
ます。ミツバチ(honey bee)もハナバチのなかまです。
このへんはいわおさんならご存知のことだと思いますが、ほかの
みなさんにもわかりやすいように説明してみました。
マルハナバチとミツバチはどちらもミツバチ科に属し、
クマバチはコシブトハナバチ科に属しています。
ですから、からだの大きさやぱっとみた感じでは、
マルハナバチとクマバチが似ているように思います
が、くわしくみるとミツバチとマルハナバチの方が
近い関係にあります。ミツバチとマルハナバチは
娘が女王とワーカーにわかれる社会性のハチです
が、クマバチは巣の中で母と子の共存がみられる
程度で女王とワーカーという関係にはいたりません。
マルハナバチは花の種類を学習することがしられています。
花によらずに少しはなれたところでホバリングしていたという
のは、そのために何か「考えるところ」があったのかなあ、
などと思ったりしますが、あやしいので信用しないでください。
学習するといったって、人間が大脳皮質を活動させるのとは
ちがうところがあるだろうし、逆に人間の大脳皮質の活動にも
ハチが花を「学習する」のとはちがうなかみがあるでしょうしね。
なんのためにけんかしているのかわからないといえば、先日
僕も長野市の旭山にのぼったとき、アゲハチョウと赤い色の
タテハチョウがはげしく争うように飛び回っているのをみました。
何なのか不思議ですね。進化的にはそのような行動にスイッチ
がはいることが可能なようにできていることで、確率的な意味で
子孫をのこすうえで何かの役立ってきたのかもしれませんが、
そのできごと自体を個体レベルの現象としてみるなら試行錯誤
のひとつであって、それ自体に特別な意味はない、というような
行動なのかもしれませんね。
雑木林の話からいつのまにか虫の話に深入りしてしまいました。
須賀
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