[BlueSky: 3128] Re:3125- ミーム


[From] Ken Goto [Date] Fri, 16 Mar 2001 19:38:37 +0900

後藤@帯畜大です。

広木さん【3125】:
> 「愛情もない」は、言い過ぎでしょう。
心理・行動メカニズムとしての、世間的意味での利他性の場合、その根底に
愛情がある、というのが僕の推論です。で、僕が引用したドーキンスの
一節は、この利他性を否定しているので、、、ということになります。

> 互恵的利他行動などを、ドーキンスは当然考慮しています。
確かにそうですね。しかし、僕が引用したドーキンスの一節は、これと
は無縁のように思います。

念のためにもう一度引用しておきます。
【私の議論から人間的なモラルを引き出すとすれば、次のようなものと
なろう。 私たちは、子供たちに利他主義を教え込まなければならない
のだ、ということである。子供たちの生物学的本性の一部に利他主義が
組み込まれていると期待するわけにはゆかないからである。ドーキンス
(「利己的な遺伝子」223ページ)】

・・・「私の議論から」とあるように、ここは、総括(まとめ)の意味
合いを持っていることに注意して欲しいと思います。

本当に、こどもたちには、利他主義が微塵も組み込まれていない
のですか?

いずれにせよ、この総括が、血縁淘汰の議論、互恵的利他主義の
議論と矛盾することは明らかですね。元来、進化的に利己的な遺
伝子をベースにして、どうして行動としての利他主義が進化しう
るのか、が議論の出発点でしょう?

利己的な遺伝子というネーミングが、いかにドーキンス自身をも
混乱させているのか、ということですね。先に引用したフランス
ドヴァールの一節は、ドーキンス自身にも当てはまる、というこ
とです。

> 「無私の愛」みたいなの、すなわち受け手を限定しない奉仕、
> はあまり期待できないわけですね。
この辺はとても難しいですが、「植え付ける」という視点と「ひき出す」
という視点の違いを強調したかったのでした。
・・・利己と利他の矛盾として捉えるか、利己の権化としてとらえるか
で、躾や教育の指針もおのずと変わってきます。

須賀さん【3126】:
> そうかなあ。別のコンテキストでよめばそれとはちがう
> よみかたもできると思いますよ。
是非、その「別のコンテキスト」と「ちがうよみかた」を教えてくださ
い。

後藤 健
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生命を考える http://www.obihiro.ac.jp/~rhythms
帯畜大 生物リズム学 Phone (& Fax): 0155-49-5612


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