[BlueSky: 312] Re:310 RE:307


[From] Ken Goto [Date] Fri, 06 Aug 1999 01:17:49 +0900

池田さん、水野さん、青空MLのみなさん、こんばんは。
                       後藤@帯畜大です。

池田さん【310】:
> 私は、オチコボレが続出するようなことにはならないと思います。ただ計算問題を
> 解くだけだった算数を、現実のことがらを表わすための道具として使うことによっ
> て、それまで、退屈だったものが、おもしろいものに変わってくると思います。算
> 数に興味を持つ子供が増えてくるのではないかと思います(計算能力が向上する、
> しないは別問題。数字の意味を理解するという観点から)。そして、社会に出てか
> ら役に立つのは、計算問題を解く能力より、こちらのほうではないでしょうか。

今問題にしている初等環境教育は小学校高学年生を対象にしたものであり、
そのときには既に、算数の落ち零れが大量に出ているはずだという前提で僕は話
しています。

・・・もちろん、算数落ち零れの高学年生が、環境教育における定量的考察をき
っかけに算数に対する興味をも回復できるなら、文句なし、です。それが
可能なら推進して欲しいと思います。

さて、算数は計算問題を解くだけの教科ではないと思います。僕も、結構、頭を
こねくり回して、問題を解いた記憶があります。初等幾何など論理的思考力を培
うのにとても相応しい分野だと思いますが、違うのでしょうか?

・・・もちろん、落ち零されてしまえばどうにもならない話なのですが、、、だ
から、算数落ち零れをなくすような努力の方を僕は重視したい、と言った
ら叱られちゃうな。

> 今の日本の算数の授業は、論理的思考の訓練にはあまり役に立っていないのではな
> いでしょうか。私は水野さんの主張される、問題の定量的把握は、算数を子供たち
> にとって興味深くする、と思います。そして、算数を現実のことがらと結び付ける
> (算数と現実との間に橋を架ける)ことによって、今までふらふらと泳いでいた算
> 数の知識がしっかりと固定された生きた知識に変わるのではないかと思うのです。

今の算数教育の実態を知っているわけではないのですが、、、世間を知らない腕
白小僧でも、算数の世界だけは、現実的な(つまり、算数の考え方にしたがった)
思考をできると思います。

・・・「現実的な」という言葉を、ここでは、こどもが身近に体験したり直感で
きたり、という意味で使っています。

・・・やはり個人的経験に基づく話なので、一般化するのは躊躇うのですが、理
科的思考、社会科的思考は、「ひととしての成熟」が必要であるのに、算
数的思考はその成熟は必要ない、ということです。

・・・例えば、社会科の歴史などはとても難しい教科です。そもそもが、
人間の心や政治・経済を理解しないと、歴史も理解できないわけで、、、
でも、それにもかかわらず、歴史が動いた「要因」が、教科書には
書いてある。高校生にとってさえ難しい教科ではないでしょうか?
その「要因」に対する深い洞察を行う機会が与えられないまま、そ
の「要因」が正解としてまことしやかに語られるのは、ほとんど
「洗脳」でしょう。もちろん、史実の物語ならば受容可能な範囲で
す。

・・・僕自身の小学生時の経験からして、実感としてためになったと思わ
れる勉強は算数だけです。で、僕の息子(今、大学4年生)にも算
数だけは勉強させました。あとは(極端な話)やらなくてよい、と。

社会に対する関心は主体性に任せきりにしてあります。「社会に対
する関心は」基本的に「大人の関心」だから、そこには「親として
は」干渉したくない。

ひととしての成熟は、ものすごく個人差があります。女子は一般にこの時
期(小学5,6年生)男子より先行して、とてもませていますが、おぼこ
い女子もなかにはいるわけです。

もちろん、算数だけが論理的思考力の訓練になる、といいたいわけではありませ
ん。ただ、現行の小学校教育の成績評価システム、知識詰め込みシステム、画一
的正解システムなどの中では、教科学習より、遊びの方が有効だろう、と本気で
思っているわけです。

・・・自然の中、あるいは人間関係の中で天衣無縫に遊ぶことが創意工夫の力を
育む源泉になるし、また、自然の中、人間の中で(といっても狭い世界で
すが)「楽しく生きる(遊ぶ)」ために自分はどうしたらよいか、思考を
積み重ねる大切な過程であろう、と思うわけです。何度も言うように、こ
のプロセスが極端に不足しているのが現代の日本のこども、だと思うので
す。

何度も言いますが、好きこそ物の上手なれ。これしか僕は言っておらない
ようでもあります。

「遊び」を強調していますが、学ぶことも一つの遊びであって楽しい過程です。
でも、勉「強」は苦痛な過程です。日本の初等・中等教育(大学教育は棚に上げ
ておきますが、これは僕の「逃げ」ではなく、初等・中等教育はこどもの人生を
左右するほどに影響力の強い大切な場であるからです)が「勉強」から「学習」
に移行していって欲しいと願っている次第です。ですから、「教科学習」全体を
否定するような主張を行っているわけではありません。

こどもの成長に見合った学習方法もあるだろうし、楽しく学べる方法もあるだろ
う、ということです。

大分頭が朦朧としてきましたので、この辺で失礼します。

後藤 健
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