[BlueSky: 2999] Re:2994 文化相対主義 


[From] "akira " [Date] Tue, 27 Feb 2001 12:52:02 +0900

akiraです、こんにちは。

ダイさん:
> 日本における個人主義の曲解、敗戦後に神(特にキリスト教)の概念が弱いにもか
> かわらず植え付けられた民主主義を1因とする現日本の社会問題を考えてみても、

> 際化と欧米化を同一視すると必ず大きな弊害が起こるので、日本は今後も国際化を

> 指すならば、安易に「世界水準」といった既成の概念を賛美するばかりではなく、

> 化相対主義的な視点を持ち、非欧米国にも目を向けるべきではないでしょうか。

基本的に賛成です。
日本が、真のグローバリズムにおいて、異なった文化・歴史・社会的背景を持った
国家間に、対等な関係性を再建することを理想と掲げるものならば、非欧米国や
日本自身の固有の文化について、もう一度見つめなおすべきでしょう。

最近強く思うのは、科学・学問の分野です。数学や物理・化学など、純粋に論理的
なものはともかく、生物学、医学、社会学、心理学、歴史学、などなど、文化的な
精神風土に大きく関わっている学問分野では、その国独自の学問体系が構築
されてしかるべきだと思います。

いわゆるメンタリティとか精神風土とか精神構造、あるいは自我意識のあり方など
明らかに日本人と欧米人では異なります。欧米で発達した心理学をそのまま移植
して、日本人(非欧米人)の『心の問題』を解決することができるのか?欧米で発
達した法概念をそのまま移植して、日本社会(非欧米社会)がスムースに秩序づ
けられるのか? などなど、重要な問題だと思います。

日本には伝統的に仇討ちという概念が根強く存在しました。最近話題になっている
被害者の遺族感情と量刑のアンバランス。そして懲罰主義と教育更生主義の問題も
見つめなおす必要があるのかも知れません。
(筒井康隆の小説であったよう気もしますが、日本政府が仇討ちを法制化でも
したら、アメリカが人権侵害でねじこんで来るのでしょうね(笑) I shall return
と言ってとことんリベンジしまくったお国が、変われば変わるものです)  

その点、イスラム教国というのは興味深いですね。社会の根幹である法システムが
イスラム法という欧米近代法とはまったくことなる体系によって成り立っているとい
う点で、その内容の善し悪しはさておいて、社会現象として、面白いです。
仏教が生きている東南アジアや、ヒンドゥの国インドなど、伝統的な宗教が元気な
国というのは魅力があります。


なぜ生物学や医学もそうなのかというと、
日本人がサルを見る視点と、欧米人がサルを見る視点では、まったく異なると
思うからです。日本人の猟師はニホンザルを害獣駆除するのをいやがると言います。
人間に似て不憫だ、と感じるからです。日本人の心には、山川草木・鳥獣虫魚・悉く
これ仏なり、という生命との一体感や、道教的『自然(じねん)』思想、アニミズム
・自然崇拝の伝統があります。それは、世界の中に神と人と被造『物』しか存在し
ないキリスト教の乾いた世界観とは、全く異なったものです。

果たして欧米人の世界観が唯一絶対なのか? 生物学や医学の根底には
『生命観』が存在しています。移植医療・遺伝子操作・動物実験や進化論などの
根底には、欧米的な生命感が確固として横たわっています。
それは果たして、日本人(非欧米人)の世界観と合致するものなのか?
さらには『真理』そのものとも合致するものなのか? 
考えていくべきテーマだと思います。

ただ、現代の日本はすでに欧米化が進みすぎて、伝統を持ち出すとかえって
違和感を感じてしまうかも知れませんね。
何しろ、日本語を捨てて英語を公用語にしよう、なんて、真剣に識者が論じる
お国柄ですし・・・ 精神的には植民地そのものです(^_^;)




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