[BlueSky: 2959] Re:2955  脱ダム宣言


[From] NOIKE Motoki [Date] Fri, 23 Feb 2001 19:48:34 +0900

長野の野池です。
小宮さん、葛貫さん、ご意見ありがとうございました。

小宮さんが憂慮なさっている「決め付けでは、後に遺恨を残すと思う」という点については、
田中知事はダムの必要性をもう一度議論し直すことを狙っていると考えています。
以下、葛貫さんがご推測どおり、ことは進むのではないでしょうか。
ただし、県議会が予算案を否決するなら、また逆戻りになる可能性もありますが。

"Y.Kuzunuki" wrote:
> 一旦、拒んだ上で、現場の調査をしたり、地元住民の意思を
> 確かめたりしながら、上から与えられたというかたちではなく、
> 現地で十分討議し、現地主導のかたちで、事業を進める、
> または、中止なさるつもりでは、と思ったのですが。
> どうなるのでしょうね。
>
> 中央省庁関係者は権威を守りたがっている、田中さんは地方
> 行政が独自に裁量できる部分を増やしたがっているのではと
> 思います。
> 意地の張り合いにならず、現地にとって、一番望ましい選択
> 肢が取られますよう、祈っております。

> 一旦、拒んだ上で、現場の調査をしたり、地元住民の意思を
> 確かめたりしながら、上から与えられたというかたちではなく、
> 現地で十分討議し、現地主導のかたちで、事業を進める、
> または、中止なさるつもりでは、と思ったのですが。
> どうなるのでしょうね。

お二人のご意見や、その後、目にし耳にした話をもとに、
改めて「脱ダム宣言」を考えましたので、考えを述べさせていただきます。

やはり一番大きな問題は、国の補助金制度です。
以前、石垣島や西表島などの土地改良事業を調べたとき、
補助率の高い国営事業にするために、「受益」面積を無理して広げ、
その結果、環境破壊を招いたとことを知りました。
補助金依存は開発にりません。
たとえば長野県は「新エネルギー活用指針」という立派な報告書を2年前につくりました。
これは100%国庫補助です。
ところが、そこに書かれた施策はいっこうに進みません。
担当課で、どうすれば進むのかとたずねたところ、
知事のリーダーシップが必要です、みたいなは話をしてくれました。
これは、知事が「脱ダム宣言」を発表した翌日のことです。

たぶん行政担当官の主導で行けば、
補助金に頼る施策がどんどんできあがってくるでしょう。
そうでないものは、やはり首長のリーダーシップにかかります。
環境施策なんて、ほとんどそういう性格のものでしょう。

ともあれ、こうした補助金への国と地方のもたれあえに対して、
田中知事は断固、NOを突き付けたのでしょう。
そのためには、ここのダムの必要性を先に議論するよりも、
それは後回しにして、
「脱ダム宣言」を行ったのだと思います。

この場でも紹介された河川審議会の答申は方向転換を示していて、
それ自体は評価できます。
しかし、治水に関する補助制度まで変えない限り、
現場での方向転換は容易に進まないと考えます。

また知事の手法批判は地元マスコミもしています。
けれど、環境保全に向かうためのどんな具体案があるのかと思ってしまいます。

それと、これはおまけの話ですが、
知事が公約であげた3つのダムの一時中止について、
3つを中止にするのは難しいから、二つを中止、一つは建設、
そういった旧来型の政治決着をしようとする動きが
間違いなく県庁内にでてきていたことは確かです。
そういう手法も知事は断固拒否しました。


「脱ダム宣言」は、環境問題はもちろん、本気で社会変革を実現しようとする、
田中知事の政治生命をかけた大きな挑戦だと思います。


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