[BlueSky: 2844] Re:2837 凶悪犯カウンセラー+インターネットゲーム殺人事件


[From] "akira   " [Date] Tue, 6 Feb 2001 00:39:32 +0900

Takataさんこんにちは、akiraです。

893さんの話、興味深く読みました(笑)
実は今ぼくはある武道をやっているのですが、身近によく似た
話を聞いたことがあります。
うちの道場はこの世界ではかなりハードで知られる所です。
先生も昔はその筋では名高い強者で、ご存じかどうか、武道家と
893さんは結構親交があって、現在70過ぎの先生が若いころには
よく、その筋の方から暴れん坊の少年を預かってくれ、と頼まれた
そうです。

関節技を主体とした武道なのですが、この関節技という代物、どんな
にがたいのでかい鼻っ柱の強い兄ちゃんでも、日頃関節の鍛練を
していないと、めちゃくちゃに痛い。それは殴られたりする痛みなど
比べ物にならないほど、こたえる痛さです。
もちろん、単なるしごきやいじめではなく、稽古というひとつの「秩序」
の中で徹底的に可愛がられた兄ちゃんは、半年もしない内に、とても
礼儀正しい青年に生まれ変わるそうです。
痛みそのものも重要ですが、生身のぶつかり合いの中で、礼儀と
相手を思いやる気持ちを培うことが、より、重要だと先生は言われ
ています。

武道関連が続きますが、最近訪ねたサイトで、ある道場主がかつて
悪名?を轟かせた戸塚宏さん(ヨットスクール校長)と対談していました。
アドレス ⇒ http://www.hino.gr.jp/butowa.html

ぼく自身は戸塚校長がかつて起こしてしまった傷害致死事件について
なんら擁護するものでも無いのですが、彼の理論の中にたいへん面白い
なと思うものがあるのは、否定できません。

それは脳幹理論というものです。

人間の脳は階層構造になっていて、呼吸や自律神経、原初的な情動や恐怖など
の本能、つまり生物システムとしての根本を司る脳を脳幹と言い、その上に大脳と
極めて人間的な大脳新皮質がかぶさっているのが、人間の脳だと言われます。

現代の文明人の生活は、極めて皮相的な大脳を刺激することに偏って、
生命としてもっとも大切な脳幹の成長・発達が損なわれている。それが、
社会病理ともいえる現代特有な若者の問題の根本原因になっている、と
戸塚さんは言っています。

人工的な軟弱な生活環境の中で生命力が磨滅してしまった子供たちが、
海という、陸上で肺呼吸する人間にとってはもっとも危険な環境に文字通り
「投げ込まれる」ことによって、彼らの中で眠っていた「生きる力」つまり
脳幹が活性化して、子供たちは見る間に立ち直りその表情さえも激変
すると言います。

これは実際に危険と恐怖と痛みを伴う武道を実践している身としての実感
なのですが、この脳幹理論はかなり鋭いと思っています。

Takataさんの発言を読んで、この脳幹理論を思い出しました。
刑務所の中で極悪な?囚人につばのかかる近さで恫喝された少年は、
多分、脳幹レベルで戦慄したのではないかと。それが改心へとつながったとしたら
やはり、大脳レベルのお説教という経験よりも、脳幹という生命の根幹レベルの
「経験」の方が経験としての重さにおいて、雲泥の違いがあったというか。

人間の大脳は直立二足歩行によって手が自由になり、手を使って様々な細かい
作業が可能となり、その手の使用が大脳をさらに活性化して、大脳化が進んだ
結果だと言います。
考えてみれば、テレビゲームで遊ぶ時に要求されるのはひたすら精緻な指遣い
ですよね。それって、もろ大脳だけを極端に刺激する作業じゃないですか?

発展途上国に行って日本に帰ってきて痛切に感じる子供たちの表情の違い。
これはもしかしたら脳幹人間と大脳人間の違いなのかも知れません。

ある心理学者が言っていたのですが、人間には機能快、とも言うべき性質が
あって、ある機能を発揮することには快を感じる(そのままか・・)らしいの
ですが、大脳における視覚機能とマニピュレーション機能を、極端に働かせる
テレビゲームというものには、ある種麻薬的な魅力があるのでしょう。
だからこそ売れる。そしてはまる。

子供と言うのは本質的にあまり自制心とは縁が薄い。麻薬があればひたすら
溺れるでしょう。だとしたらそれをコントロールするのは「大人」の役目。

このMLを読んでいる親御さんたちは、どう思うのでしょうか。

それでは。   akira






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