[BlueSky: 284] RE: [BlueSky: 238] 小学生に環境問題をどう教えるか?


[From] "Noriaki Ikeda" [Date] Tue, 3 Aug 1999 17:39:56 +0200

多田さん、皆さん、こんにちは、
ドイツフライブルクの池田です。

多田さん:
>子ども達の課題選択のテーマがこれくらいでいいのか?他にもっと適切なものは
ない
>か?と考えています。また,子ども達の質問を,このMLに送らせていただこう
かと
>も考えています。子ども達に学ばせる視点などについて,皆様のお知恵を拝借で
きれ
>ばと思っています。未来をになう子ども達にどんなことを伝えたいか・・ご意見
をお
>待ちしています。

あるドイツの教育学者の講演会に出席した時、「持続可能教育」という言葉を聞き
ました。簡単にいうと、持続可能な社会を作っていくための教育です。この教育学
者は、次のように主張していました。

「持続可能教育は、従来の環境教育より広範囲な教育である。持続可能な社会をつ
くっていくための教育は、理科系の教科を中心とした学習だけでなく、子供の社会
的能力(コミュニケーション能力、政治的能力、国際性など)を養っていくことも
含まれる。」

子供の自然に関する感性、情緒、科学的理解を育てること、子供が(大人も)社会
のなかで起こっている環境問題を正しく理解することは大切だと思います。そして
、次にその問題解決のために何か行動する、という段階があります。その時に
私が大切だと思うのは、一つは、自分の考えをわかりやすく相手に伝える能力、議
論をする能力です。また、個人個人で環境にやさしい生活にこころがけるだけでな
く、社会(行政や企業)に働きかけることも重要だと思います。私は、このような
社会的能力が今日本の子
供たち(大部分の大人も)にかけているのではないか、と思います。

こんな事を言うのも、実は、私自身が、ドイツに来た最初の頃、自分の社会的能力
のなさに劣等感を覚えたからです。自分の考えをうまく話せない、またはそう深く
考えたこともなかった。議論の中に加われない、何を質問していいかわからない。
これは、言葉の問題ではなくて、自分が、日本でそういう教育を受けていなかった
こと、日常的にも、深く思考する、自分の考えを述べる、ということをほとんどや
っていなかったことが原因です。

「国際性」について私なりの意見です。
4年間の海外生活で、私が感じたことは、国際人として一番必要なことは、自分の国
の文化、歴史、経済、政治についてしっかりとした知識を持っていること、それら
について自分なりの考えを持っていること、です。海外生活で一番質問されること
は、「日本てどんな国?食べ物は?
宗教は?政治のシステムは?」などなどです。自分の生まれ育った国についての知
識、考えは、自国のことを好きでも嫌いでも、よく思っていても悪く思っていても
、外国人とコミュニケーションをする際の核、支柱となるものだと私は思います。

人とのコミュニケーション能力、国際人としての能力は、これから環境問題を解決
していくために必ず必要になってくるものだと思います。


池田憲昭


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