[BlueSky: 2774] Re:2772 自然の権利


[From] "suka" [Date] Thu, 25 Jan 2001 00:06:46 +0900

葛貫さん、みなさん

   須賀です

奄美大島の「自然の権利」訴訟、ガラパゴス諸島沖のタンカー
事故、どちらも気になっていろいろなことを考えながら、それを
どうことばにしたらいいのか、と感じていました。

奄美大島の裁判では、裁判官が判決をくだし、ガラパゴス沖の
事故ではエクアドル政府が非常事態宣言をだしました。
http://news.yahoo.co.jp/headlines/jij/010123/int/10244802_jijintx318.html

こういうむずかしい問題に社会としての意思決定をする人物
としてことばを発することのむずかしさはどんなものだろう、
などと考えてしまいました。

日本の「自然保護問題」で政府が非常事態宣言をだすという
事態が想像できるでしょうか。わたしのように生態学や進化の
勉強をしてきたものにとっては、ガラパゴスの生態系が危機に
瀕している、ときくと、ひかえめに言っても京都の古寺や神社
がすべて燃えあがったようなことだと(少なくとも感覚的には)
感じられるのですが、(わたしのこの感じ方が妥当なものか
どうかはともかくとして)みなさんはどうお感じになるでしょうか。

一方、奄美大島の裁判では、
『「森林法の規定する「環境の保全」は、自然観察などで訪れる者の
「個別的利益を保護する趣旨ではない」と指摘。また原告の居住地
が開発予定地とは離れているとし「開発による災害で生命などの
被害が生じるとは認められない」と判断した』
とのことですから、(この裁判そのものの経過をわたしはよく
知りませんが)保全すべきその環境が人類にとって共通の遺産で
あるという発想はとられなかったということなのでしょうか。残念な
ことです(ここでわたしは自分の価値観を無防備にまるだしにして
いるわけですが、これに対する忌憚のないご批判を歓迎します)。

葛貫さんのもうひとつの話題:
> 小2男児、サルにかまれけが=大阪(時事通信)
> http://news.yahoo.co.jp/headlines/jij/010122/dom/19331201_jijdomx207.html
> のように、野生動物が人を襲った場合は、どうするのかが、問題に
> なってくるのでしょうね。
> 被告「サル」に弁護士をつけることになるのかな?

の場合、
かまれた小学生にとっては迷惑でしかない暴論をあえてのべると、
ヒトとサルのつきあいという大きなレベルで考えるなら
(そのような大局的議論が必要なのがという疑問もありますが)、
「サルはかむものだ」という認識をもってつきあいを考えていくのが
繁栄した野生生物としての「人類の矜持」(カッコ内あるすばらしい
環境派経済人のことば)というものではないかと思います。

人類が野生生物だというと驚かれる方もいらっしゃるかもしれま
せん。どこで読んだのかわすれましたが(どなたか思い出させて
いただければさいわいです)、繁殖を人為的にコントロールできる
のが家畜・栽培植物で、コントロールできないのが野生生物だ、
という「定義」があるそうです。これにしたがうと、人類は「定義に
より」野生生物だ、ということになるそうです。

それではまた。

   須賀 丈


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