[BlueSky: 2746] Re:2736 贅沢は素敵だ! ?


[From] "akira" [Date] Sat, 13 Jan 2001 01:25:03 +0900

こんにちは、akiraです。

広木さん:
> あと、問題解決のプロセスはあくまでも人間の営為であるから、
> そこに人間以外の生き物の権利とかを入れるのは、
> 合意を得るのにかえって障害になるのでは、ともおもっています。
> もっとも人間の「権利」なんて、ただの個体間の契約にすぎませんが。
> 「結局は我が身にはねかえる問題なんだよ」という形で、
> あくまでも「資源」と言う形で捉えて行かなければ合意は難しいと思います。
> それでも難しいかも知れませんが、そうしないと不可能な気が。

広木さんの言っている事はよくわかります。人間の営為だからこそ難しい。
ただ、この人間を主体とした「資源」として自然をとらえている限り、その
合意点は、人間にとってひたすら都合のいいものに止まらざるを得ないでしょう。
資源という言葉には、財であり、所有され、売買され、消費されるという意味が
逃れようもなく含まれています。(ちなみに、労働力資源という概念は、アメリカ
の黒人奴隷制下で、もっとも的を得た形で使用されていました)

屋久島の縄文杉を中心とした生態系が「世界自然遺産」に指定されました。
遺産、すなわち人間によって所有される資産。運用され、消費される資源。
世界自然遺産に指定されて以後、屋久島を訪れる観光客は激増し、入山に伴う
環境破壊は深刻化の一途をたどっています。
もし、この世界遺産という概念に、生態系の主体的な生存権が含まれていたら、
当然、選定と同時に厳しい入山規制などの環境対策もなされたはずです。
しかし、どこまでも人間を主体とした「資源」だったために、選定がかえって
生態系の破壊を推進する役目を担ってしまった・・・

> 当然生き物の尊厳とかは考えて行かなければならない問題なんですけど。
> 誰かが(ゲンゴロウさんだったかな?)前に書いていらしたと思いますが、
> 生かしてもらっているありがたさ、ですか。

この事実を、法律という極めて人工的なシステムの中で概念化するというのは、
非常に困難な事業だとは思います。
そもそも現代の法概念自体が、激動する西洋近代史の中で、いかに社会を
円滑に運営するか、という目的の為に体系づけられたものだから・・・
自分が座っている座布団を、座ったまんま自分で取り替える事はできない
という箴言がありましたね。

麻薬はすべての人にとって魅力的なものです。あらゆる麻薬に反対している
モラリストも、一度それを経験してみれば、陶然としてしまう自分に直面せざる
を得ないでしょう。麻薬は気持ちいい。これは普遍的な事実です。
でもモラリストは麻薬に反対する。なぜならそれが「麻薬」であると
自覚しているから。
この文明が我々に与えてくれる「贅沢」はある意味、麻薬の様なものかも
知れません。誰もがそれに魅了されて、周囲を省みずにそれを追い求めて
しまう。陶酔している瞬間を得る事が、幸せだと思って、気がついたら自分も
周囲も、ボロボロになってしまって・・・・

(麻薬だとしたら、それを供給して私腹を肥やしているシンジケートが存在
するでしょうね。そのトップに君臨する方々は、案外都会から離れた南海の
無人島なんかをドーンと買い込んで、原初の楽園生活を謳歌してるかも。
大気汚染に苦しみつつ、過労死しそうなほど働いて、ウサギ小屋で家庭
内別居している日本人を思いながら、「ジャンキーは生かさず殺さず」と
ほくそえんでいる、なぁ〜んて、ちょっとブラック過ぎますか?)


> 問題は「(贅沢を)する/しない」であり、
> そのためには人間行動の本質を見据える必要がある、
> と言いたかったのです。

ぼくの一連の発言は、まさに人間行動の本質を見据えた上で、提出され
ている、と自分では思っていますが。
人間行動のショーケース = 歴史、です。本質を見据えるためには歴史を
見据えるべきではないでしょうか?

ナチスのホロコーストが人類に対する犯罪なら、アメリカによるインディアンの
殲滅も、人類に対する犯罪でしょう。東条英樹が死刑になるのなら、トルーマン
(真実の人!)も死刑になるべきでしょう。
表の歴史は常に勝者によって記述される。勝者に媚びるものは、そのスロー
ガンに踊らされる。これもひとつの歴史の教訓です。

どうも、話題が飛び回っていかんですね。


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