[BlueSky: 2731] Re:2603 動物の権利


[From] "yuichiro komiya" [Date] Wed, 10 Jan 2001 08:08:01 +0900

こんにちは、小宮です。今も話題になっていますが、akiraさんが
言われた動物の権利のことをずっと考えていました。

akiraさん:
> 人間は自ら制度・法律を作り、自らそれに従う生き物です。
> 日本国憲法という国家の根本法によって消費文明が保障・推進されている
> 限り、環境問題の解決などあり得ません。
>
> そこで、考えうる選択は:
> 人間以外の生物種やその営みの複合体としての生態系に、「主体的な生存権」
> を認め、憲法13条を改正し、公共の福祉における「公共」に、それを明記する、
> ということです。それはどこまでも、彼らの主体的な権利でなければなりません。
> 人間にとっての利益、をその対象にしてはならないと考えます。
> 我々の欲望以上に、最大限に尊重しなければならないものが存在するのだと、
> 憲法の名において宣言するのです(これまでの文脈を見れば、それが条例や法律
> ではなく憲法でなければならない意味が分かると思います)
> そしてもちろん、この新憲法はひとつのムーブメントとして、世界中に普及しな
> ければ意味がありません。

動物の権利に対しては以前ここでも少し話題になったのですが、
僕も個人的には動物に対して何の権利も与えない、動物の資源
としての利用に制限をつけないというのではなく、何らかの権利
(というか動物の利用に対する規制)を設けるべきではないかと
思っています。理由ですが、まず第一に最近の生物学の貢献に
より、動物と人間の間の区別というものが薄まってきたことにあり
ます。昔は動物は本能によって動くもので、理性をもつ人間は
動物とは比べ物にならない存在、という考えが主流で、人間と動
物の間に大きな溝があったわけですが、今は動物も種類によって
は道具を使い、意識や文化を持ち、社会を形成することが分かっ
てきています。チンパンジーは鏡に映る自分を認識することができ、
イルカは音声によって仲間と情報伝達を行い、日本猿はグループ
内で文化的伝達を行い、象は死んだ仲間の骨をいつまでも触って
仲間の死を悲しむらしいです。類人猿やある種のイルカ類などは
仲間への共感能力も持つそうです。また、遺伝子の解析でも、チン
パンジーと人間の差は遺伝的にもほとんどないというころが分かっ
たらしいですし、人間と動物を分ける境界というのは段段薄くなって
いくでしょう。第二に、最近の科学技術の発達により、動物の利用
に昔では考えられない極端なものが存在するようになったことです。
昔は食べるために殺すのが主な利用方法だったのですが、今は遺
伝子組替えで体の構成の比率を変えたり、生きたまま脳に電極を
埋められてロボットアームを動かされたりというケースも出てきてい
ます。技術の発達により段段と動物の利用方法も過度になってきて
いると思うので、どこかでなんらかの歯止めをかける必要はあるの
かもしれません(ただ、これは利用している人の権利とのトレードに
なるわけですが)。

憲法とまでいかなくとも法律でなんらかの動物の権利を認める必要
があるのかもしれませんが、その場合、どの種の動物まで適用する
か、どんな権利を認めるか、を判断するのが難しいかもしれません。
まあ、何の根拠もないですが、僕だったら

・類人猿の実験動物への利用の禁止
・哺乳類への遺伝子組替え実験に関する何らかの規制

くらいが妥当な線ではないかと思います(前者に関しては、最近規制
されたようなうわさを聞いた覚えがありますが、詳しくはわからない)。
ただ、これももちろんその方面の科学の発展を阻害することにつなが
るので、判断が難しいのかもしれませんが。

ちなみにWEBで探したら、他国での動物の利用に関する法律の情報
がありました。実は実験動物に対する規制はアメリカやヨーロッパには
すでにあるらしいです。そういう面では日本は遅れているのかもしれま
せんね。

動物実験廃止・全国ネットワーク
http://www.ava-net.net/0001221.html

------------
EU(ヨーロッパ連合)法
英国・動物実験規制法
米国・動物福祉法
他、フランス、ドイツ、オーストラリアなどにも動物実験を規制する法律がある


#後、日本も法規制はないのかもしれませんが、最近では薬剤関係の
企業などでは業界内での自主規制も昔に比べたら進んでいるという話
もきいたことがあります。


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