[BlueSky: 2713] Re:2710 新陳代謝・多様性の保持


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Mon, 8 Jan 2001 11:39:51 +0900

葛貫です。

昨日、私の住んでいる丹沢山麓の街では、この冬初めての雪が
降りました。家の周辺はもうとけてしまったけれど、窓から見える
山々は、うっすらと雪化粧しています。

佐藤さん:
>もちろん、脳細胞を構成する物質は日々入れ替わっています。
>3ヶ月まえに私の思考を構成した神経細胞内の水素原子は今は
>廃水処理場の名も知れぬ細菌の膜になっているかも。昔は脳細
>胞は減るばかりで、再生しないなんて考えられていたのですが、現
>在では通常状態でも再生しているだろうと言う考えが一般的かと
>思います。

物は移り変わっても、記憶等の情報は保持されている、どのような
メカニズムでなのでしょうね。

最近問題になっている、「化学調味料製造に欠かせないバクテリア
を保存するための添加剤の製造に、豚の酵素が使われていたこと
に対して、約8割がイスラム教徒であるインドネシアの警察当局が、
日本人役員1人を含む社員4人を消費者保護法違反で逮捕し化学
調味料、焼きめし用の粉末など全製品の回収に乗り出した」 という
事件は、何なんだろう、と思います。
ミクロにみれば、ブタの吐いた二酸化炭素、ブタの排泄物が肥料と
なった農産物等々が世界を経巡っているわけで・・・・。
認識できる範囲のブタ関連のものを食べないことによって、「特別な
自分達」を演出するメリットって、何なんだろう。
#小馬鹿にしているわけではありません。様々な紛争の種子にも成り
#得る「こだわり」によって得られるメリットを知りたいなと思いました。

>私もこういった類推や演繹による想像・思考の展開を楽しむ方なのですが、たとえ

>社会学にダーウィニズムを持ち込んで現実の姿を捻った視点で捉えることになった

>うに、類推・演繹には気をつけた方が良いのではないかと思っています(ごめんな

>い、質問しておいて、批判的な事言って。と言うのも、最近の青空メールを見てい

>と類推を根拠とする話が多い様に感じましたので。)

はい。ご意見をうかがうために投稿しているので、ご指摘、ありがたく
思っています(^^)。
どこぞのMLに投稿したら「知の欺瞞」だと言われてしまいますよね。
人にできることは、知識や経験を帰納し、そこから演繹し、また帰納し
の繰り返し。検証して裏付けしなければ、言葉の遊びになってしまう
わけで・・・・。

さて、話の順番が前後しますが、私が初めてミームという単語を目に
したのは、リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」という本でした。
ドーキンスは「いのち」を司る情報である遺伝子geneのアナロジーと
して、文化の伝達や複製の基本単位としてミームmemeというものを
考えたようです。そして、それはウイルスのように感染し、変異しなが
ら広まって行く。

ダーウィンが発した「進化論」とうミームは、意識的あるいは無意識に
変異させられて来た。ダーウィンが背負っていた背景や彼が持ってい
たユートピア像を識らなければ、彼の伝えたかった「質」に近付くことは
できないのかもしれません。

>で、往々にして、生き残るのは非の打ち所のない屈強な生物種ではな
>く、単なるはみ出し者のへなへな者であったりするわけです。変化を予測して自ら

>変える事が自分の生の主導権をとることになるのでしょうか?

少なくとも、ヒトはそうできると考えているように思えるのですが・・・・・。

以前、DGCメッセージボードに
http://www.affrc.go.jp:8001/dgc/DGCboard/DGCboard_J.html に、

「効率化による勝ち残り、複雑化による負けない生き残り 」
http://www.affrc.go.jp:8001/dgc/DGCboard/messagesJ/531.html
という投稿をしたことがあります。
この投稿に関して戴いたフォローアップは、佐藤さんが提起された
希少動物の保護、バイオデバーシティの保持の問題に対して、正解は
ないのだ、という答えを下さっているように思えました。

私は、多様性の保持の動機として、リスク回避的な考えを持っています。

上記のボードに投稿した「Re: 自己責任ということ」
http://www.affrc.go.jp:8001/dgc/DGCboard/messagesJ/378.html
にも書いたのですが、私は学生時代、家庭排水の処理をしている屋外
の曝気槽の活性汚泥と、特殊ではあるけれど成分が限定されている
工場排水を種々の管理のもとで処理しているタンク培養の活性汚泥の
菌叢の季節変動を、菌体に含まれる化学物質を指標として調べていま
した。管理が行き届いた単純な系は、管理にほころびが生じた時、壊滅
してしまう。
タンク培養の汚泥が管理システムの停止により腐って行く様子はショック
なものでした。合目的の「目的」が、つまるところ好みによるものなら、
リスク回避のために緩やかな管理というか、あまりに合目的的に収斂
させず、効率を重視する人には無駄に思えるような遊びの部分を残して
おくことも大切なのでは、また、それを要求する権利もあるのでは、と思
います。

系の崩壊により生じた腐敗の中から、新たな系が生れて来るのを「善し」
とするなら、話は別ですし、短期的な目でみた場合、とヒトにとって不利な
影響を及ぼす病原菌等を含め、どの程度の多様性を保持を許容するか
という設定も難しいと思うのですが・・・・・。

では。




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