[BlueSky: 269] Re:266 Ecophobia


[From] Ken Goto [Date] Tue, 03 Aug 1999 13:15:17 +0900

青空MLの皆さん
            後藤@帯畜大です。

中澤さん【266】:
> エコ・フォビアという話は,読んだ当初は,なるほど,と思っていた
> のですが,どこにも根拠となるデータが出ていません。因果関係として,
> 環境問題の提示がエコ・フォビアを生むというのならば,提示された
> 群の子どもが,されなかった群の子どもよりも,成長してからのエコ・
> フォビア発生率が高いというフォローアップ研究がなされなければ
> なりませんが,どうもそうではないようです。学術論文を探したの
> ですが,見つかりませんでした。

確かに、「自然科学的には」因果関係は証明されていない、ということになるの
でしょうが。

エコ・フォビアを、より批判的な(冷静な)視点で検討すべきである(↓)とい
う問題提起として受け止めましたが、「フォローアップがなされなければならな
い」というのは極論のような気がしますが、どうでしょうか?

> もしデータがないのならば,青空MLでも何度か話題になった,
> 「環境問題に対してことさらシニカルな態度をとる人」を説明する
> 『仮説』の1つと見るのが妥当でしょう。説得力はありますが,
> だからといって,「子どもに環境問題の提示をするべきではない」
> と結論するのは尚早と思います。むしろ,「ターザンごっこの
> できる町」と両方与えるべきではないでしょうか。目隠ししたって,
> 問題がなくなるわけではありませんから。
>
> 自然保護・環境保護の活動家に,幼い頃自然に親しんだ人が多い
> というアンケート結果が,エコ・フォビア仮説の根拠の一つとして
> あげられているのは,論理的には飛躍があります。
どういうアンケート結果か教えてもらえますか?

・・・僕自身の素朴な(勝手な)印象・思い込みとしては、「都会人(田舎の人
より自然に親しむ機会が少ない)の方が自然保護・環境保護の活動家の割
合が多いのではないか」というものでした。

> 子どもだって,親に意見することはできると思うので,たとえば,
> 自動車のメリット,デメリットを相対的に評価する考え方を示す
> ことは,十分意味があると思います。
> 頑張ってください>多田さん

僕が環境教育において最も恐れることは、環境問題が複雑で総合的な問題である
のに対し、思春期前のこどもにとって、本来の問題関心が、より広い社会ではな
く身の回りの社会だけなのだ、というギャップです。

・・・思春期前の男子は腕白であり、女子はお茶目である(もちろん、ステレオ
タイプ化して表現していますが、本当の社会(或いは日本、世界)に目覚
めるのは、性に目覚める頃、と僕は思っています)。

したがって、特に「小学生と環境」という点では、あくまでもローカルな課題で
「楽しむ=遊ぶ=学ぶ」という視点が重要だ、と思っています。

・・・「成績評価」や「総合的な視点」を導入すると、本来の子供の素直な問題
関心と現実の問題とが遊離し、環境問題について「頭でっかち」の態度を
養成してしまうのではないか、ということです。

もちろん、小学生にも親や教師を批判する力が備わっているとする点で、中澤さ
んに同意しますが、さて、現実の学校教育の場で、そのような青空教室が展開で
きるのかどうか、こころより期待しています。


後藤 健
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帯畜大 生物リズム学 Phone (& Fax): 0155-49-5612

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