[BlueSky: 2688] Re:2680 贅沢は素敵だ! ?


[From] "akira " [Date] Wed, 27 Dec 2000 09:15:50 +0900

akiraです、こんにちは。

広木さん:
(贅沢は素敵だ、という言葉に関して)
> 人間に限らず、生き物すべてに関して、
> 成り立つ普遍的事実であると考えます。
確かに、これは「普遍的な事実」かも知れません。
野生のニホンザルは木の葉や芽、果実など、環境の中に小さく散在している
エサ資源をその生活の基盤としています。非常に効率の悪い、したがって
独占しようがない資源です。だからエサをめぐる争いは相対的に小さい。
でも、人間の餌付けが始まると彼らの生態は大きく変わります。
芋や麦といった効率の良いエサが、しかも大量に一カ所に与えられる事によって、
どの個体も、歯をむき出して争い、我がちにエサに群がります。
なぜなら、贅沢は貧しいよりも、素敵だからです。(彼らの姿は素敵だろうか?)

これは、すべての生物種、バクテリアからシロナガスクジラに至るまで、普遍的な
事実でしょう。ぼくも、それを否定しているわけではありません。

ただ、自然生態系の論理というのは、ある人が言ったのですが、共存共貧です。
例えば、熱帯雨林にそびえ立つ樹齢100年の大木が、一年間で一万個の種を
落としたとします。でも、そのうちで発芽できるものは数%。さらに親木として種を
作れるようになれるのは、さらに少ない。これはどの木をとっても同じです。
すべての種は発芽成長する力を持ち、欲望を持っています。それが、すべて
満たされるのが親木にとっては理想でしょうが、それは現実的にはあり得ません。
結局、個々の欲望がせめぎ合って、それぞれがそれぞれに、理想からはほど遠い
貧しさを我慢しあっているのが、生命社会・生態系なのです。
「贅沢をしたい、けどできない(しない?)」これが本当の、生命に普遍的な事実で
す。

そんな中、我慢ならねー!と叫んで、一人だけ生態系のルールから逸脱したのが
文明人です。その極みとも言えるのが、現代の文明システムで、その逸脱が
限界を超えて、地球環境問題、と言われるまでに自然生態系との対立が深刻化
したのが、現状です。
そういう文脈で以下の:
> > 「贅沢は素敵だ」という思想や価値観、生活様式は、生命の歴史に照らせば、
> > 限られた時代の限られた集団においてだけ通用する、極めて特殊なものです。
という発言はなされています。

> 上記の理由で、この考え方は支持しません。
> 「贅沢できる/できない」は問題にしていません。
すべての生命が贅沢を欲していながらそれを我慢しているにもかかわらず、
人類だけがそれを極端に実現してしまっている。それが、環境問題の本質です。
ですから、「贅沢できる/できない」を問題にしなければ、いけないのです。

そしてもう一つ。贅沢、という言葉の持っている意味を考えてみてください。
昨日5であれば、今日獲得された8は贅沢であり、素敵な事です。
けれど、明日同じ8を得ても、それはもはや贅沢でも素敵でもありません。
9や10を獲得しなければ、それは素敵な贅沢とは言えないでしょう。
贅沢は素敵だ!という言葉を、まず普遍的なものとして肯定した所から
スタートすれば、この際限のない贅沢レースは決して止まらないでしょう。
広木さんが「贅沢」という言葉を使った時点で、自覚の有る無しに関わらず、
この極めて現代的な特殊な贅沢レースを肯定してしまっています。その
贅沢レースが加速度的にほとんど狂気に近いスピードで暴走したのが
ここ100年、中でも最近の50年でしょう。その結果が環境問題です。
それが気になって、あんな激しいレスを返したわけです。
サルは自分で餌付けする事はできませんが、人間はできるのですよ。
つまり、人間が獲得してしまった力と、それに伴う責任、でしょうか。

自ら餌付けして自らむさぼる事のできるヒトが、60億頭も群がって鼻息を
荒くしている姿に、全生命が戦慄して震え上がっているというのが、環境
問題の根底にある姿なのではないですか?

言ってみれば、目つぶし金的は禁止というルールでみんなリングに
上がっているのに、ひとりだけ反則しまくったボクサーが連戦連勝している
ようなもので、彼は果たして優れていると言えるのでしょうか?
同じルールに従いながらチャンピオンになる、という道はないのでしょうかね。
ちょっと例えが不適当か・・・(^_^;)

ぼくが学生時代、ちょうど欧米では「社会生物学論争」というのが活発で、
既成の社会学が人文科学の枠の中で自閉しているのが我慢ならなかった
ぼくは、よく理学部生物学科の教室にもぐり込んで、生態学の講義を聞きました。
松田さんのサイト、ありがとう。訪ねてみます。

それでは。    akira



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