[BlueSky: 2686] Re:2681 知的所有権とリサイクル


[From] "ICHINOSE,Takeshi" [Date] Wed, 27 Dec 2000 01:18:28 +0900

尼崎市の一ノ瀬です。

ゲンゴロウさん#2681<
この「知的所有権の話は環境問題のMLでは深入りするのは避けた方が」と
いう部分に,私は納得できなかったようです。
私にすると「なんで?」と,なります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その趣旨は「環境問題は多くの問題をはらんでいるので,多くの
分野の知識を結集しないと,存在自体に自己矛盾を起こす事柄で
ある。」です。

 この点についてのご意見には、全く異論ありません。
 ただ、私には、ゲンゴロウさんが、知的所有権の問題にこだわる理由が、今一つ把握できず
にいます。

「中古物には知的所有権は及ばない」

という専門家の現行の解釈は、既に述べたように、環境保護と整合する方向になっています。

 モノのリサイクルを進めるためには、こういう解釈でなければ困ります。
 ゲームソフトにしても、中古販売がおかしな制約がない方が、不要な新規ゲームの販売数が
減って、CD-ROMに使われているポリカーボネート樹脂等の生産を節約できますから、環境負
荷を減らす方向に寄与していると言うこともできます。

 現状の解釈で、環境保護と大きな矛盾を生じないのであれば、敢えて深入りする必要もな
いだろう、と考えて、先のように発言しました。

 なお、#2670でゲンゴロウさんが指摘しておられた、「ニンジンは消費するとウンコになって再
販不能だが、ソフトは使用しても再販可能であるという違いがある」という点ですが、確かに難
しい問題を孕んではいると思います。
 しかし、事はかなり複雑です。

”ソフトは使用しても再販可能である”かもしれませんが、古くなるほどソフトの価値は低下して、
中古値段はどんどん下がって行きます。”鮮度”があって、放って置くと腐って行く、と言っても
良いかも知れません。
 一方、ニンジンは、食べれば確かに失われますが、食べるのではなく、大量に仕入れて、そ
の一部を転売したり、或いは家庭の主婦が大安売りで沢山買い込んできて、余りを近所にお
裾分けする場合もあるかも知れません。このどちらの場合も「中古物には知的所有権は及ば
ない」ことになっていないと、特許使用料等を支払わねばなりません。この場合は、”食べると
ウンコになる”というニンジンの性質は、関係してきません。

 結局、購入者、或いは消費者が、そのモノを、どの様に使うか、どの程度使い続けられるか、
と言う観点から知的所有権のあり方を考え出すと、無数の人達のあらゆる場合を考えなけれ
ばならなくなって、手に負えなくなります。また、一体何のために、そのような様々のパターン
を考慮する必要があるのか、必要性も不明確です。

 そうではなくて、要は発明者や著作権者の保護が目的であるのだから、どこかで1回、確実
に利益が上げられるようにしておけばいい、と割り切ることもできます。最初の販売の段階で
特許使用料を徴収する事に決めてあとは自由、としておけば、それで大きな問題は生じない
ように思われます。それで不足と思うのならば、ビジネス用ソフトの例の様に、企業が自主的
に購入者との間で契約を結ぶことにして、補完すればよいわけです。

 以上は、#2681でゲンゴロウさんが指摘した内容の一部にしか答えられていません。
 残りは宿題とさせて下さい。



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