[BlueSky: 267] 情報の整理


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Tue, 3 Aug 1999 11:34:52 +0900

こんにちは、葛貫@JICST抄録員です。

ここ10年ほど、科学技術振興事業団の情報部門の抄録員として、各研究機関の
報告書や学会誌等に掲載された論文を読んで、抄録を作る仕事をしています。
これらの抄録は、研究者や情報を必要とする人が文献を検索するために
公開されています。

後藤さん【186】
>「夢中になって遊んでいる子供のようなところ」がないと優秀な研究は生まれな
>い、とは思います。しかし、問題の真因はもっと別なところにあるように思いま
>す。
>少なくとも、大学や国公立の研究機関の場合、研究者の研究テーマにはかなりの
>自由度が与えられています。


横山さん【213】【222】
>科学者の意志とは全く無関係に科学の成果は現に技術に直結しています。
>純朴な科学者自身が知らないだけなのですよ。
>そう言う意味で,(第三者的には)どんなに技術と縁遠そうな研究も,少なくともやってる
>本人は技術に直結しているのだと考えて行う必要があると言いたかったのです。
>法的責任論ではまた話は別ですが,現実の世界では厳密な区別などないと考えた方が
>良いのです。少なくとも環境問題のような複雑な問題を扱う場合はこの視点は不可避です。
>「科学は悪くない,技術が悪い」とか,「技術自体は悪くない,作った企業の責任だ」,
>「否,企業は使う人間がいるから作るんだ」,「否,認可した国が一番悪い・・・・」,
>などと言った不毛な議論をしなくとも済むのです。
>科学者も当然結果責任を負うべきで,仮に将来核兵器が地球環境を破壊すると
>したら,アインシュタイン氏にも責任があると言わざるを得ないでしょう。
>科学者がそのような自覚を持たないと「規制しろ」と言うような極論に説得力を持たせて
>しまいますよと申し上げたいのです。

科学的な事実は、誰か気付いていようが、いまいが、厳然としてそこにあるもの。
もし、アインシュタインが相対性理論を発表しなくても、遅かれ早かれ、他の誰かが発表し
ていたように思われます。そして、原爆を作るという愚行を、遅かれ早かれ、人は一度は
する、してみなければ気がすまないのではないかという気がします。
(性善説をとる気にはなれない)

個々人の自覚を促すことも大切ですが、今、専門が細分化され、各々の研究者が、自分の
研究が全体のどの位置を占めるかを把握することが、難しくなっているように感じられます。
いろいろな文献を読んでいても、グチャグチャに混ぜられたジグソーパズルを眺めている
ようです。ジグソーパズルを組み立てるように既知の知見を体系立てて、もう少し広い構図を
見渡せる利用しやすい形に情報を整理する必要があるのだと思います。
科学・技術に関する研究を規制することは、意味はない、新しい情報はどんどん集められた方
がいいのだと思います。
ただ、全体を俯瞰し、長期的な見通しをもって、ある技術を使うかどうかを選択できるようにし
ない限り、その場凌ぎの繰り返しになり、住みよい世界はやってこない。

全体を見渡せる力、洞察力のようなものがあったら、内分泌撹乱化学物質の存在の可能性
をもっと早く気付くことができたのではないか、そして、もっと早期に有効な対応ができたので
はないかと思うと残念です。

Y.Kuzunuki <kuzuny@geocities.co.jp.>



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