[BlueSky: 2626] Re:2624 シッダルター


[From] yuichiro komiya [Date] Wed, 20 Dec 2000 11:31:36 +0900

はじめまして、akiraさん。小宮といいます。akiraさんの御意見を伺って思ったこと
を書きます。

> 考えてみると、シッダルターに与えられていた王宮内部の生活は、現代の
> 我々の生活に酷似していませんか?
> 我々先進国内部の生活と、第三世界の飢餓や戦争、病と死に満ちた生活は
> そのまま、王宮内部と門外の現実との落差に当てはまりませんか?
> あらゆる快適、安全、便利を追求し、感覚的享楽や物質的富に囲まれた王侯暮ら
し。
> 彼の目線の動き一つで、召使たちは彼の意志を察知して甲斐甲斐しく仕えたでしょ
> う。我々の生活の中では「機械奴隷」がやっている事を、シッダルターの周りでは
> 人間奴隷がやっていたわけです。
> それはある意味、はるか2500年前に先取りされた「現代」だったのかも知れませ
ん。
> そして、出家せずにはいられないほど彼を追い込んだ「苦悩」は、現代を先取りし

> 苦悩だったのかも知れません。

これにはまったく同感です。本当に今の時代というのは、快適さという点では
昔の王侯の生活と変わらないものなのでしょうね。そういう過度な快適さが現
代人の苦悩にもつながっているというのもそうだろうと思います。ただ、ひとつ
思うのは、今の子供達、や大人も含めた現代人は、シッダルターと同じく、自
らが望んでそういう環境におかれているのではないんじゃないか?ということ
です。別に昔の人がストイックであったわけではなく、ただ今のように物質的
に豊かな環境に生まれてなかっただけではないのか?だから、現代人が特
にあさましいわけではなく、こういう環境に生まれてきたのだから、快適さを
求めてもそれは当然なのではないかと(だから、社会が健全とか、暗黒時代
というのとはちょっと違う気がする)。で、今のように過度の快適さを求める生
活になってきたのは、個々人が望んでいるからではなく、グローバリゼーション
が進んだため、企業間に生き残りをかけた厳しい淘汰圧がかかり、新製品を
つぎつぎに生み出さない限り生き残ることができなくなったからでしょう。そう
いう意味ではそういう状況にまきこまれて翻弄されている現代人は、被害者
といえるのかもしれません。科学技術が進んでも、自らをコントロールする
能力は昔からそう変わっていないのですから、精神的な面ではだんだんと
幸せに生きるのが難しい世界になってきているのかもしれませんね。



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