[BlueSky: 2625] Re:2623 質素と暇


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Wed, 20 Dec 2000 11:19:34 +0900

おはようございます、葛貫です。

葛貫wrote:
> > 身一つでどれだけのものか、を知っておくこと、どれだけ
> > 少ないもので生活できるかを知っておくこと、大切なことだと思いました。

二木さんwrote:
> 感想、どうもありがとうございました。消費の量は、「これで充分」という自分の満
> 足があるかどうか、という精神的なファクトで決まるように思うのです。そのこと
> が、このHPのテーマです。次々アップしていきます・
> おそらく、「足るを知る」ということを全人類がやった場合、今の社会問題のいくつ
> かは軽減されるのでは、と、これはばくぜんとした想いですが。

身一つでどれだけのものか、どれだけ少ないもので生活できるかを
体験しておけば、足りない「かも 」という不安や恐怖から開放される
かも知れませんよね。

若い頃、4人の仲間が背負えるだけのものを持って、山に入って、
1週間ほどテント生活をしたこがあります。テレビもない、新聞もない、
ラジオは持って行ったけれど、聞いたのは天気予報だけ。
今、この場の景色を眺め、果たさなければならないノルマは、暗くなる
前にキャンプ場に着き、テントを建て、夕飯を食べ、片付けること位。
白馬の山頂で、暴風雨にあった時は、フライシートが破けて、テントの
ポールが曲がっちゃって、本当に怖かった。慌てて山小屋に避難した
のですが、晴れた翌々日、ハクサンコザクラが何にもなかったように、
小さなピンクの花を咲かせている様子を見て、本当にヨワッチイのは
どっちなんだろう、などと思いました。蓮華温泉まで降りてきたら、安心
して、逆に急に皆、不機嫌になっちゃったりして。
東京に戻ってテレビをつけたら当時の総理大臣が極悪人として映し
出されていました(笑)。

それぞれ帰る家があるという安心感があり、そこから資源を持ち込ん
だ小さな冒険でしたが、背負えるだけの荷物で、この程度の生活が
できるのだ、ということを体験することができて、良かったです。

以前、読んだリンドバーグ夫人の「海からの贈り物」(新潮文庫、昭和
42年、何年か前に落合恵子さんの訳で出版されたものの方が読み
やすいかも)という本を思い出しました。
子育てと仕事に追われる日常生活を離れて、島のコテージで自炊しな
がら過ごした数日間に、浜辺で拾った貝を眺めながら夫人が考えたこと
を書き綴ったエッセーなのですが、空間や時間を埋めることに必死に
なるのではなく、敢えて、質素であること、暇を持つことの意味について、
考えさせられた本でした。

では。




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