[BlueSky: 2599] Re:2594 金銭コストとカロリーコスト


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Sun, 17 Dec 2000 19:40:25 +0900

こんにちは、葛貫です。

akiraさんwrote:
> つまり、貨幣経済とか、貨幣価値とかいうのは、人間社会のある任意の場所と
> 時間において、恣意的に決められた、ひとつの仮想にすぎないという事です。
> 中国人が藁を集めたって、日本人が藁を集めたって、労働量はたいして
> 変わらないはずです。それが、「貨幣価値」という尺度で計ってしまうと、
> 雲泥の違いが表れる。
> どこか、おかしいですね。

はい。
その仮想の上で、安心して(?)貨幣を集めることに必死になっている様、
ある意味では滑稽ですよね。貨幣価値の暴落を経験したことのある国の
人は、紙幣を信じない。侵略が繰り返さ、いつ何時難民になるかわから
ない国の人は不動産も信じない。「金」で持っていた方が安心だと思ってた
としても、いくら「金」があっても、安全な食料等、生存に必要なものが極限
られた量しか存在しなくなってしまったら、その価値は暴落してしまう。

> いわゆる、自然生態系には、貨幣経済論理などというものは存在しません。
> 彼らは基本的にカロリーコスト、つまり、植物によって同化吸収された太陽エネル
> ギーをいかに浪費しないで蓄え、地域内で循環させ、個々の活動を維持
> していくか、という論理で動いています。

はい。
【2193】【2207】にも書いたのですが、出発駅と行きたい駅を入力すると、
どの電車にのり、何処で乗り換え、料金はいくらで、時間はどれだけかかる、
というのがでて、安く行きたい、短時間で行きたい、乗り換え回数を少なくし
たい等、何を優先したいかを選ぶと、その順に経路を示してくれるソフトが
あります。
物の処理や中間産物の利用は、物理的、化学的、生物学的手法や、その
組み合わせで考えて行くわけで、今迄、各分野で蓄積されてきた知見や技
術を、上手にコーディネートさ、パズルを組み立てるようにはめ込んで行けば、
このようなソフトがつくれるのではないか。このようなソフトと、ISO14000シリ
ーズ等を利用すれば、各々の企業がエネルギー、時間、コスト、どれに主眼
を置いた環境対策をとっているのか、消費者が評価し、選択できるのではな
いか、と思うのですが。ソフトを完成させる過程で、望む処理法を実現させる
ために欠けている部分が明らかになり、その部分を埋めるための研究が進
むのでは、とも思います。

私達の生活圏へのエネルギーのインプットは、太陽からの光・熱エネルギー、
または、マグマ等地球の深部から供給される熱・運動エネルギー位なもので、
それを、どのようにフルに利用するか、ということが課題になるわけで、送る
距離が長くなるほどロスが大きくなってしまう。

で、澤口さんが仰しゃる、「環境バランス的には大規模専業化という施策が
根本的にダメなのだと思います。」ということに繋がるのかな。
(読み違えていたら、ご指摘下さい。)
石油が輸入されてくる港、分留したり、種々の石油化学製品を作ったりする
関連企業が集まってできたコンビナートとか、幼い頃は凄いなと思いました。
(回収ルートを考えていなかったのが拙かった。)
農業でも、それほど大規模にしないで、稲作農家の近くで畜産業をやてもら
って、それらの消費地も、それほど遠くない範囲に限定して、ふん尿を回収
する、みたいなことができれば、いいのかな、等と思いました。

> そこを支配しているドグマは、「人は消費すればするほど幸せになれる。浪費すれば
> するほど豊かになれる」というなんとも非論理的なものです。
> 「浪費すればするほど、豊かになれる」これって日本語としておかしくないですか?
> 正しくは、浪費すればするほど貧しくなる、のはずですね。
> こんなことは小学生でさえ分かりそうなものですが・・・ 

はい。これも仮想の真偽を云々する暇もなく躍らされているわけで。
話がはずれてしまいますが、12月16日の朝日新聞に、倉本聰さんが
「・・・前略・・・東京は極端な消費社会。当時はテレビ業界の狭い世界でしか
生きていなかった。一方こちら(富良野)は農業や林業といった生産者が
中心の社会。一人前の人間とは生産者のことで、文化人はみそっかすのよう
なもの。だからこそ逆に、東京が文化の中心だと思っている人々を驚かせる、
新しい文化をここに根づかせたいとファイトがわきました。・・・後略・・・」
と、書いていらっしゃいました。
ほしいものがない、ほしいものがほしい、本当はほしくもないものを、
ほしいような気分にさせられ買わされる消費社会は、心を病ませる
ものなのかもしれません。
右上がりの経済成長とは、なくてはならないものなのでしょうか。
好景気になればホームレスはいなくなるかな。もっと深いところで
人は疲れてしまっており、問題の根は深いような気がします。>小宮さん

> 繰り返しますが、自然生態系はカロリーコストの収支によって成り立っています。
> 貨幣経済コストなどというものは、人間社会の内部でだけ通用する仮想であって、
> それは、自然生態系の論理と真っ向から対立する、というより、その存在を完全に
> 否定すらしかねないものです。
>
> そういう視点から環境問題について改めて考えてみると、面白いかも知れません。
> 原発とか、温暖化対策とか、自然に優しいテクノロジーとか、まず、
> カロリーコストで考えて見るのです。

はい。
カロリーコストからみえてくる現実を、どう貨幣経済という仮想に浸っている
世界に導入してゆくか。仮想の世界が大きな破綻を来す前に、できれば、
大きな混乱を招かない穏便なかたちで、なんて、ヒトにはできないでしょうか。

では。



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