[BlueSky: 2463] 温暖化とマラリア分布域 Re:2456 ナガサキアゲハ (


[From] Minato Nakazawa [Date] Mon, 23 Oct 2000 20:55:30 +0900

中澤@東京大学人類生態です。
先週後半は学生実習の指導で忙しく,コメントできませんでした。

(件名:[BlueSky: 2456] ナガサキアゲハ( Re:2453 温暖化?)に於て)
Fri, 20 Oct 2000 13:05:25 +0900頃,Kimio OTSUKAさん:
>  マラリアについては中澤さんが詳しいお話をして下さると思いますが、
> かつてマラリアが温帯域でも猛威を振るっていた点、蚊に刺されないよう
> にする様々な対策が功を奏したという点は葛貫さんが紹介された記事の通
> りだと思います。
そうですね。
葛貫さんご紹介の記事は,たぶん誤訳か変換ミスと思われる点も多少
ありますが(例えば,デング熱の病原体は原虫でなくウイルスが正しい
です),概ね正しいと思います。何でも温暖化のせいにするのは間違い
だという指摘には同意します。人為的影響は大きいと思います。

ただし,ハマダラカが繁殖できる最低の温度というのはおそらく存在する
ので,最低気温がある水準以下にならない地域が拡大すれば,それに
伴ってハマダラカの分布域が拡大する可能性は否定できません。

それと,ハマダラカの中でも,種類や密度によって媒介能は違いますから
An. farauti No.1みたいな媒介能が高い種が高密度で中高緯度地方にも
分布するようになったら,シナハマダラカやコガタハマダラカしかいない
状況に比べて流行の危険は増すかもしれません。

>  マラリアは病原体と媒介する蚊の両方に薬剤耐性が進化してきているの
> で、これから脅威が増すのではないかと心配しています。
これにも同意します。といって,行動防御にも限界があって,どうすれば
いいのかは問題なのですが。

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Minato Nakazawa, Ph.D. <minato@sv3.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
Department of Human Ecology, Univ. Tokyo
[WEB] http://sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/~minato/index-j.htm


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