[BlueSky: 243] Re:228、232 環境団体


[From] "Noriaki Ikeda" [Date] Mon, 2 Aug 1999 00:58:42 +0200

日野さん、小宮さん、皆さん、こんにちは。
フライブルクの池田です。

日野さん:
>ご存じかもしれませんが、日本にもそれなりに専属の職員を雇用して
>運営されている自然保護団体はいくつかあります。自然生態系保護の観点から
>成り立っているので有名なのは、日本野鳥の会・世界自然保護基金日本委員会>(WWF

J)・
>日本自然保護協会があります。3団体とも環境庁の認可法人で財団法人化されて
>います。ただ間違って理解してほしくないのは、3団体とも財源はきわめて自主運

>による収益でうみ出しており、政府からの補助金は受けていません。
>従って、いわゆる天下りはいないということです。
>抱えている専属職員は約50・40・15人くらいです。
>どこも共通している問題が、会員増についてですね。公称ですが、
>野鳥の会が50000人、WWFJが40000人、自然保護協会が15000人くらいだったと
>思います(どこも職員数×約1000倍というところが面白い)。

貴重な情報ありがとうございます。ドイツに住んでいると、なかなか日本の情報が
入ってこないので助かります。
ドイツで一番大きい環境団体であるBUNDも、政府からの援助金は年間収入の3
パーセントに過ぎません。経済的、政治的に独立しているといえます。ちなみに会
員数は23万人です。収入の約90パーセントは会費によるものです。

日野さん:
>僕が感じているのは、会費に対しての見返りが日本人の方が強い気がします。
>そのあたり、ドイツではどうでしょうか?
>上記した3団体はいずれも会報を発行していますが、会費の約半分をその発行
>費用にしているそうです。計算が単純過ぎますが、これに当てはめると、
>4000円の会費の内2000円は会報発行費。残る2000円で活動費と人件費。
>たとえばこれを1000+1000にしたとしても、15000人の自然保護協会なら、
>人件費としての年間予算が15,000,000円。活動費も15,000,000円。
>これで何人のスタッフが、まともな給与がもらえ、どんな活動ができるのか?
>かなり厳しい限りです。実際には、会費以外の寄付金や販売物の収入などがあるの>

で、
>もっと加算されると思いますが、単純化するとこんな感じはないでしょうか。

私が会員になっているBUNDは年間の会費が一般で約7000円、学生、その他
社会保障を受けている人などは3000円です。日本の感覚から言えばかなり高い
といえますね。

日野さんは日本人は、会費に対する見返りが強いと書いておられますが、私は、そ
れは適切な表現ではないような気がします。団体が提示する会員への見返りがあま
り明確ではないため、会員はそれぞれ個人的な要求をしてしまうのではないでしょ
うか。
今、私の手元に、BUNDの会費の請求書があります。最近懐がさみしかったので
、まだ払っていませんでした。それにはこう書いてあります。

「残念ながら、まだあなたの会費が支払われていません。お金なしでは、自然保護
と環境事業はできません。なるべく早いうちに会費を振り込んでください。」

自分が支払ったお金によって、団体が活動でき、それによって社会がよくなり、社
会がよくなれば自分も満足する。核となる見返りはこれではないでしょうか。その
ほか、会誌によって環境情報を得ることができるとか、ボランティア活動に参加し
て喜び、達成感を味あう、などあると思います。

ドイツ人は、お金に関してかなりシビアな感覚を持っています。自然、時間などす
ぐにお金に換算する傾向があります。私の友達のほとんどは、大学での学生生活も
将来のための投資と位置づけています。自分が自分に投資する時間とお金を無駄無
く使う、という強い意志を持っているのはいいのですが、あまりににも目的意識が
強すぎるため、私は時々閉口します。学生生活を楽しもうという意識が他の国の大
学生と比べて少ないようです。こういう気質のため、国の税金の使われ方、店の商
品が値段に見合っているかどうか、などは日常的に話題にされます。環境団体での
会費の使われ方に対する会員の関心度も高いといえます。

日野さん:
>各団体とも魅力ある活動をしてもらいたい。そうすれば会員も
>増えるでしょうが、同時に魅力ある活動をしてもらうためにも、
>市民から積極的に会員になってゆく時代にもなっているような気がします。

小宮さん:
>欧州の環境への意識の高さ(環境運動家の強さ)は、僕もいつも感心
>していました。遺伝子組み替え食品を拒否したり、自然動物保護を
>訴えたりと、本当に積極的に活動していますね(多少やりすぎの感
>もありますが)。玉奥さんが201で示された通り、電力使用量が
>アメリカ型の国に比べて低いというのも、このような環境への意識
>の高さのあらわれであると思います。

会員にとって魅力ある団体の活動とは、どんな活動か。私は、会員が議論や、事業
などに参加できることが一番大切ではないかと思いまa7。また、その団体の活動に
よって、社会が目に見えて変わること、会員が社会的に役に立ったと思えることが
大切だと思います。BUNDは、各地域に支部を置いて、その地域の会員が活動に
参加しやすいようにしています。また、私が、BUNDの活動で効果的だと思うの
は、経済、政治の中に入り込んで活動していることです。環境におおききな影響を
与えているのは人間の経済活動です。それを規制するのに一番効果的な道具が政治
です。団体の中に経済、政治の専門家が従事しているというのは大きな強みだと思
います。

池田憲昭
Noriaki Ikeda
Peterbergstr. 31
79117 Freiburg, Germany
tel/fax. 0761/4002053
email. ikeda@uni-freiburg.de


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