[BlueSky: 2331] Re:2330 労働と教育


[From] Minato Nakazawa [Date] Fri, 08 Sep 2000 12:16:35 +0900

中澤@東京大学人類生態です。

(件名:[BlueSky: 2330] 労働と教育に於て)
Fri, 8 Sep 2000 11:55:44 +0900頃,HIROKI Masatoさん:
> 中沢さんの紹介していた、教育改革国民会議第一分科会のレポート、
> とりあえずざっと見てみましたが、
> なんですか、あれ。
> 父親の役割とか、母親の役割とか。
> 旧態依然としたジェンダー指向を押し付けようというのでしょうか。
> 父子家庭、母子家庭はどうすればいいんだろう。
恥ずかしながら奉仕活動の部分しか読んでいませんでした。今,読
んでみましたが,たしかにご指摘の通り,「父の職場」「家庭の
母」とか表現の端々にジェンダー指向が見えますね。男女共同参画
とかをどう考えるのでしょうね。レポート全体については批判すべ
き点も多々あると思います。地域と社会が教育に冷たいという指摘
は,多くの都市で地域社会が崩壊している現状を考えれば空疎に聞
こえます。むしろ地域社会の再生を謳ってほしかったと思います。
でも,引用した奉仕活動に関わる部分の理念には,やはりぼくは賛
成します。

> また、若年層の労働力搾取は、一部の家庭にとっては
> 重要な働き手の喪失にもつながることになりかねません。
理念から言えば,そういう場合が無いように福祉で助成すべきなの
でしょう。小中学生や高校生の段階で賃金労働をしなくては生きて
いけないという状況は解消されねばならないということになると思
います。教育の機会均等という視点からいえば,自ら目的をもって
賃金労働している子どもにも,それ以外の「生きる」ことに直接関
わる労働に従事する機会を提供することは「教育として」意味があ
ると思います。

> などの経済的不平等が未だに数多く残っています。
つまり,こちらを解消することが大事で,奉仕活動の義務付けの理
念とは次元が異なります。もちろん,広木さんがいわれる「経済的
不平等」の解消の方が先決ですが。

> 「教育」と言うことを無視して、
> 単純に各個人の公的負担(要するに税金を体で払う)
> としての義務労働ならば納得できます。
> ただしその際には正当な報酬が支払われるべきです。
うーん,いわれてみれば,たしかに報酬があってもいいのです。無
償である必然性はありませんね。報酬があると「教育」となじまな
いというのは偏見かもしれません。

> こういう考えをする人もいるということを知っていただきたく思います。
ご指摘大変刺激になりました。ありがとうございます。

=====
Minato Nakazawa, Ph.D. <minato@sv3.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
Department of Human Ecology, Univ. Tokyo
[WEB] http://sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/~minato/index-j.htm


▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。