[BlueSky: 232] Re:223 RE:173


[From] keimika@246.ne.jp (Keiichi Hino) [Date] Sun, 1 Aug 1999 09:05:28 +0900

Bluesky-MLのみなさん、池田さん
おはようございます。 世田谷の日野です。

書き込みの時間が無くなってしまったので、この部分だけレスさせて下さい。
池田さんのドイツ報告、非常に役立ちました(^^)

At 11:37 99.7.31 +0200, Noriaki Ikedaさん wrote:
>これらの団体に従事している専門家は大学でドクターやディプローム(マスターと
>同等)などを修得した人たちです。そういう優秀な専門家が、一般企業などではな
>く、こういうところで、自分の理想に近いところで仕事ができ、それによって生活
>ができること、そういう受け皿があることはすばらしいことだと思います。それを
>経済的に支えているのは、一般会員の会費です。「会費は、使い道のはっきりした
>特別な税金」という認識を会員は持っているようです。

これは非常にうらやましい構造ですよね。
ご存じかもしれませんが、日本にもそれなりに専属の職員を雇用して
運営されている自然保護団体はいくつかあります。自然生態系保護の観点から
成り立っているので有名なのは、日本野鳥の会・世界自然保護基金日本委員会(WWFJ)・
日本自然保護協会があります。3団体とも環境庁の認可法人で財団法人化されて
います。ただ間違って理解してほしくないのは、3団体とも財源はきわめて自主運営
による収益でうみ出しており、政府からの補助金は受けていません。
従って、いわゆる天下りはいないということです。
抱えている専属職員は約50・40・15人くらいです。
どこも共通している問題が、会員増についてですね。公称ですが、
野鳥の会が50000人、WWFJが40000人、自然保護協会が15000人くらいだったと
思います(どこも職員数×約1000倍というところが面白い)。

各団体の魅力がないという点は否めないのですが、日本人の気質として
会員制の団体へ自分が加入することへの抵抗感があることは見逃せません。

あと会費の使われ方に対する関心度の違いは、ドイツとどのくらい違うのかが
気になりますね。前にこのMLでも話題になっていました、ナショナルトラスト
ですが、あれは日本ではまだ上手に運用されていません。なぜなら、日本では
この運動が「オーナー主導型の土地買い取り運動」と理解している人が多いから。
「土地神話」という言葉あるくらい、日本人は土地に対する執着心が強く、
それが買い取り運動に悪影響を出しているようです。口悪く言えば
「お金出してトラストに参加したのだから、管理面にも参加させてくれ」というもの。
イギリスで成功したこの運動は、その団体のナショナルトラスト方式に賛同した
人が供託金として出して、その後の運営管理までは口を出さないのがルール化
されています。日本では「知床100平米運動」がもっとも一般的ですが、ある百平米の
オーナーは「手付かずで、そのまま放置した状態にしてくれ」といい、隣の百平米の
オーナーは「毎年下草刈りをしてくれ」といい、その前のオーナーは「動物が集まる
森にしてくれ」という。あの運動を企画実施した北海道の斜里町役場は、さぞ困った
のではないでしょうか。

当初、イギリスの制度を直輸入して実施しようと考えたらしいのですが、
「土地管理に意見できないなら関心がわかない」という反応があったというで、
オーナー参加型のトラストにした、という記事をどこかで読んだ記憶があります。
#あやふやですみません。

僕が感じているのは、会費に対しての見返りが日本人の方が強い気がします。
そのあたり、ドイツではどうでしょうか?
上記した3団体はいずれも会報を発行していますが、会費の約半分をその発行
費用にしているそうです。計算が単純過ぎますが、これに当てはめると、
4000円の会費の内2000円は会報発行費。残る2000円で活動費と人件費。
たとえばこれを1000+1000にしたとしても、15000人の自然保護協会なら、
人件費としての年間予算が15,000,000円。活動費も15,000,000円。
これで何人のスタッフが、まともな給与がもらえ、どんな活動ができるのか?
かなり厳しい限りです。実際には、会費以外の寄付金や販売物の収入などがあるので、
もっと加算されると思いますが、単純化するとこんな感じはないでしょうか。

各団体とも魅力ある活動をしてもらいたい。そうすれば会員も
増えるでしょうが、同時に魅力ある活動をしてもらうためにも、
市民から積極的に会員になってゆく時代にもなっているような気がします。

一応3団体のURLを明記しておきます。
http://www.nacsj.or.jp/
http://www.museum-japan.com/wbsj/index.html
http://wwfjapan.aaapc.co.jp/index2.htm


ではでは




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