邑瀬です。水崎さん、こんにちは。
> 自然界での物質循環について、分解者である微生物の関り方の研究は
> そんなに進んでいないと思いましたが、どなたか識者の方、現在の研
> 究レベル教えてください。
自然界にいる微生物のうちで我々が特定できているものはほんのわずかです。
例えば、近くの川の水を一般的な培養法で調べても、全細菌のうちの数%わか
ればいい方です。理由としては、培養条件が特定の菌種にしか有効でない、生
きていても増殖しない状態の菌がいる、などが考えられます。もちろん死んだ
菌もいるでしょうが、菌が生きているか死んでいるかの明確な判断方法もまだ
確立していません。
バイオフィルム(つまり台所の流しなどにできるヌルヌルした膜状のもの)が、
自然界の至る所に見られ、微生物の主要な棲息場所の一つとして最近注目され
ていますが、それすらまだよくわかっていないというのが現状です。
ここからは私見ですが、仮に微生物を細かく特定できたとしても([2118]で書
いたような)遺伝子のやりとりが微生物の間であるわけですから、個々の事象
から物質循環全体を捉えるという帰納的な方法は事実上不可能に思えます。
微生物を用いた商品をよく見かけます。しかし、微生物を特定する術を我々は
ほとんど持ち合わせていないのに、ヨーグルトなどの限られた菌(を利用して
作ったもの)ならまだしも、複数の微生物種の入った製品の品質管理をどうや
ってしているのだろうと常々不思議に思います。納豆の種菌(たねきん)です
ら、結局は農家の方に代々伝わる技術で、なおかつそこでないと殖やせないそ
うです。つまり、中身が科学的にはわかっていないのです。
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