[BlueSky: 228] Re:223 RE:173


[From] can32960@pop07.odn.ne.jp (yuichiro) [Date] Sat, 31 Jul 1999 23:26:38 +0900

池田さん初めまして。兵庫県で半導体エンジニアをやっている小宮です。

ドイツの行政のお話ありがとうございました。僕は政治にはまったく疎い
ので、このような観点から見た情報、御意見は非常に参考になりました。


>企業による暴走を食い止めるには、確かに、行政による規制、法律の制定などが一
>番効果があると思います。しかし、それらは日本では、ほとんど実行されていませ
>ん。その理由はおおまかに次の2つの点にあるのではないかと思います。
>
>1)行政の構造上の問題
>地方に権限がないこと。環境破壊は地球レベルの問題ですが、個々の問題
>は地域レベルで解決していくのが望ましいと思います。国家レベルでの大
>きな改革より、たくさんの地域レベルでの改革のほうが、はるかに効果的
>ですし、時間のロスも少なくて済みます。住民の声も反映しやすいでしょ
>う。そのためには、時間のロスが多く、地域住民の声を反映しにくい中央
>集権のシステムから、地方分権のシステムへ移行を進めていく必要がある
>のではないでしょうか。
>
>2)行政のなかでの人材の質的量的な不足
 ー中略ー
>賄賂にまみれた腐敗した官僚だけが弱い行政の問題ではないような気がし
>ます。しっかりとした倫理観を持った官僚、役人の方はたくさんいると思
>います。ただそういった方々も、組織の構造、人材、お金などの問題のた
>め、なかなか自分のアイデアを実行できないでいるのではないかと思いま
>す。

確かに、中央集権の政治システムの弊害は大きいでしょうね。小回り
のきく地方分権のシステムの採用、有能な専門家が安心して働ける
環境等整備すれば、もっともっと日本でも行政が機能する気がします。

しかし…、日本の官僚と企業の癒着はひどいものですからね。大蔵省の
役人が風俗店で接待を受けていたり、厚生省が、天下りさきの薬品会社
のエイズの危険性がある血液製剤を認可したり…。このような企業と
官僚との結びつきをなくさない限り、何をやっても無駄のような気も
します。ドイツではこのような低レベルの政治腐敗が糾弾されたことは
ないと思いますが…。しかし、これも日本の中央集権システムの弊害
なのかもしれませんね。

>なぜ、ドイツでは環境団体が力を持っているのか。社会を変えていくことができた
>のか。それは、その団体が持つ経済力、職員として従事している多くの優秀な専門
>家のおかげだと私は思います。社会を変えていくには、長期的には、環境教育など
>で子供大人の倫理観を育てていくことが望ましいと思いますが、いまの社会には、
>放っておいたらとんでもないことになってしまうかもしれない問題、すぐに解決し
>なければいけない問題がたくさんあります。そういう問題は、前にこのメーリング
>リストでも議論されていたように、倫理を訴えるだけでは解決できないでしょう。
>やはり、科学的なデーターとお金が必要になってくると思います。
>
ー中略ー
>
>よく、ドイツに視察に来られた日本の方から、「ドイツ人は環境に対する意識が高
>い、日本人はそれに比べたら、まだまだ。」といったことをよく聞きます。でも私
>はそうは思いません。ドイツでも一般市民の環境に対する意識はそれほど高くない
>です。ただ、ドイツでは、主に知識階級の人たちが、社会をかえれるような組織を
>作り、強力なリーダーシップを発揮して、効果的な運動を展開しています。個々の
>市民の環境意識のレベルはドイツでも日本でもそれほど変わりはないと思います。
>ドイツが環境先進国といわれるまでになった理由は、環境運動家が「社会を変えて
>いくためにはどういう組織を作ればいいか」と考え組織づくりをしているから、「
>人を動かすにはどうしたらいいか」といつも念頭において運動を展開しているから
>、だと私は思います。

欧州の環境への意識の高さ(環境運動家の強さ)は、僕もいつも感心
していました。遺伝子組み替え食品を拒否したり、自然動物保護を
訴えたりと、本当に積極的に活動していますね(多少やりすぎの感
もありますが)。玉奥さんが201で示された通り、電力使用量が
アメリカ型の国に比べて低いというのも、このような環境への意識
の高さのあらわれであると思います。

ちょっと横道にそれますが…

アメリカは他民族国家であるので、独自の文化が存在しない、という
話を聞いたことがあります。そのため、「法」というものが力を持っ
ており、この法の下ではどの民族も自由である、と。そういう意味
ではアメリカのような国には法を超えた理念、理想というものは生まれ
にくい、もしくは生まれても、最大限に行動するのが難しいのかも
しれません。結果、法が許す範囲で企業が最大限に活動してしまう。
個人の自由、権利を主張して、どんな環境破壊でも行ってしまう。

日本も欧州のシステムから多くを学ばなくてはいけないと思います。

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yuichiro komiya (小宮祐一郎)
e-mail:can32960@pop07.odn.ne.jp


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