[BlueSky: 2271] Re:2268 青刈り


[From] Minato Nakazawa [Date] Tue, 29 Aug 2000 11:51:35 +0900

中澤@東京大学人類生態です。

(件名:[BlueSky: 2268] Re:2267 青刈りに於て)
Tue, 29 Aug 2000 11:08:53 +0900頃,Y.Kuzunukiさん:
> 佐川さん【2267】:
> >無理してお米を食べる必要はないと思います。
> >パン・うどん・パスタ・ピラフ、いろんなものを食べればよいと思います。
> >だって、白米が主食になったのは最近のことで、それまでは粟・ヒエ・麦
> >等の雑穀も食べていたわけですから。
>
> 言われてみれば、その通りですね。
> 手元にあった資料をざっと見ただけなので不正確かもしれません
> が、パン、うどん、パスタ等の原料となる小麦の自給率は20%に
> 満たないようです。豆類の自給率は10%前後でした。このような
> ものを作るようにすれば、いいのでしょうか。
小麦の自給率を上げればいいというのも一つの戦略かもしれません
が,日本のように水が豊かな国土であれば,小麦よりも水田で米を
作るほうが向いているような気がします。
# 専門家ではないので間違っているかもしれません。どなたか詳
# しい方,フォロー願います。

それと,最初に葛貫さんが言われたとおり,
> 青刈りするしかないのでしょうか?
という青刈りへの疑問が「米を食べよう」という問題意識の出発点
だということは,このままいけば稔るであろう米を無駄にしたくな
い(せっかく昨年の農基法の改正[Bluesky:78]で自給率を向上させ
ると謳ったばかりですし)という意味ですから,「米を特別視しな
くてもよい」では論理がずれているように思います。

いわずもがなだとは思いますが,なぜ青刈りするのかといえば,大
量に在庫を抱えた政府がこれ以上倉庫の古米を増やすわけにもいか
ず,かといって市場に流れてしまうと供給超過になって価格が下が
るので農家にとって損になるからでしょう。
供給超過にならないようにするには,需要を増やせばいいというの
が一案ですが,ただ米を食べようというよりは,米を使った商品開
発をすればいいのではないかと思っています。

> 実際、農業に携わっている方は、政策や気象に振り回され、大変だな
> と思います。
ぼくもここは同意します。だからこそ,食品加工の研究をしている
方々に声をあげてもらって,米を原料として使う,多様な食感をも
たらす保存食をもっと開発してもらえばいいと考えます。
フレキシブルに供給を引き受けられる販路が長期的に確保できれば
いいので,食品工業側としても小麦の輸入枠などと同等のスパンで
考えられる米の供給があれば対応可能だと思います。パンやうどん
やパスタの原料になりうるように米を粉末化して精製する技術くら
いありそうなものですが。
そうすればせっかく稔りそうな米を無駄に切らずに済みます。

=====
Minato Nakazawa, Ph.D. <minato@sv3.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
Department of Human Ecology, Univ. Tokyo
[WEB] http://sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/~minato/index-j.htm


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