[BlueSky: 2248] Re:2239 自然の価値


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Mon, 21 Aug 2000 10:36:53 +0900

こんにちは、葛貫です。

昨日は近くの公園に、子供達が作った紙飛行機を飛ばせに
行きました。上手にく風にのると、スーッと滑るように、結構、
長い時間、飛んでいました。
中原中也の「逝く夏の歌」という詩の中に、

「飛んでくるあの飛行機には、
昨日私が昆虫の涙を塗つておいた。」

という一節があるのですが、紙飛行機なら、この詩人に、
周囲に飛んでいたトンボ達の涙を塗られないですむかな、
等と思いました。
 #紙飛行機の現実的な用途なんて思いつかないけれど。


須賀さん:
>ですから、このように外部からのサポートをおこなうときには、
>地域社会の自律性に対して最大限の注意と敬意をはらわなくては
>ならないと思います。
>
>けれども、だれかはこのようなことを考え、とりくんでいなければ
>ならないのではないでしょうか。


を、読んで、宮沢賢治の「農民芸術概論」の中にあった、

「……おお朋だちよ いっしょに正しい力を併せ われらのすべて
の田園とわれらのすべての生活を一つの巨きな第四次元の芸術
に創りあげようでないか……
まづもろともにかがやく宇宙の微塵となりて無方の空にちらばらう
しかもわれらは各々感じ 各別各異に生きてゐる」

という部分を思い出しました。

題名を忘れてしまったのですが、何年か前に、緒方直人さんが賢治
を演じられた映画をみたことがあります。
亡くなって60年以上経ち、資料の整理も進み、その仕事の文学的・
科学的な面の評価もあらかたなされ、所謂「偉人」として語られる
「賢治」ではなく、同時代を生きた人の目で賢治を描いていた映画
でした。その中で、法華経の信者であった賢治が、同志と思ってい
た親友から「信仰の押売りはやめてくれ」と、決別を告げられる場
面がありました。

かがやく宇宙の微塵となって無方の空にちらばって、自分の光の
元に信者(?)を集めて星をつくろう、と言うのではなく、
「しかもわれらは各々感じ 各別各異に生きてゐる」ということを
受容するに至るまでの、賢治の心の流れを思うと、頭が下がります。

知識や技術の進歩は、人の心の成長を待ってくれない。
哀しいですね。


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