[BlueSky: 2155] Re 命の軽さ、危機管理


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Fri, 14 Jul 2000 11:12:00 +0900

こんにちは、葛貫です。

大企業の乳製品製造過程に関する様々な不備が報道され、
テレビや新聞に向けた会見の中で、トップが謝罪をしています。

後藤さん【2142】:
>「社会における複雑度の増大」との関連で述べたことと思うのですが、
>人類が西洋的一元化の歴史を歩む過程で、群れの構造が重層化し、
>群れが巨大化してきました。
>社会的文脈における「命の軽さ」は、この、群れの巨大化のひとつの帰
>結であるように思います。

何年か前に読んだ「平気で嘘をつく人たち」(スコット・ペック著)という
本の中に、「巨大化した組織は、分業化が進み、組織が産み出した
問題に対して、個人が責任を感じなくて済むように(?)なっている。」
と、私には読み取れる部分があったように記憶します。

今回の事件でも、それぞれの立場の人が、どれだけ痛切に責任を
感じているのかな、と思います。
自分の子共が食中毒を起こしたら大騒ぎだけれど、顔も知らず、
苦しんでいるところに立ち会ってもいない消費者の一人の食中毒は、
そのものの生産の極一部に関っただけと思っている生産者一人一
人に切実な責任感を喚起するほど迫ってこない。
今後の組織の運営のために、トップがでてきて謝罪はする、休業や
廃業になって生業を失ったら困るから管理も厳しくするし、マニュアル
には従う。でも、結局、全体における自分の位置、自分の作業が潜
在的に持っている危険性を認識し、自浄力を持つ組織を形成するに
至らないのではないか、と心配です。

邑瀬さん【2128】:
>技術系の人は科学のことを、科学系の人は実用(現場)のことをもっと
>考えてくれたら、こういった事故を減らせるだけでなく、廃棄物の再資
>源化などももっとスムーズに行くだろうと常々思います。

言われたことを、そのままこなす(それさえ、できなくなりつつある)
だけでなく、何処の部署にも大雑把な全体の流れを教える、できれば
短期間でも科学・技術系の人も、現場を体験するようなオリエンテー
ションを入社時にした方がいいのかも、と思います。

大企業に、原料の仕入れから、アフターケアまで、一人で請け負う
職人さんのような仕事を期待するのは無理だし、歯車の一つになる
ことは、別に悪いことじゃない。ただ、自分がどういう働きをしている
のか自覚していないのは拙いな、と思います。
 
衣食住がある程度満たされたら、経済的な余裕の部分で、職人さん
が求められるようになるのかもしれない、と思いました。

後藤さん【2142】:
>「個人の尊重」を体現できる人格を形成するためには、愛情豊かで強靭
>な感性が育てられるような社会的仕組みが必要であると思われます。

社会的な地位に自分のアイデンティティを求める傾向は、地位に対して
払われる敬意と、自分個人に対する敬意の履き違いを実感すれば、
身近な人との間で「自分が誰であるか、ありたいか」を考える方向に
変わるかもしれない、と思いました。



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